いじめの代償

凰雅柚月

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いじめの代償 2

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────翌日

警察官も頑張ったのであろう。
鑑定結果が出たと教室に昨日来た警官と校長が入ってきた。

『昨日は協力を頂きありがとうございます。
君達の指紋を盗まれた集金袋の指紋を照合した結果を報告します。
盗まれた集金袋からは本人と家族、そして担任の先生以外の指紋が1つだけ出ました。』

警察からの報告で教室内はざわめいた。
あちらこちらから少女が犯人何だと囁かれ始めた時に警察が口を開いた。

『先に申し上げます。
犯人と言われてた女生徒の物では有りません。
真っ先に照合しましたが女生徒の指紋は盗まれた集金袋からは一切出ていません。
故に女生徒は犯人では有りません。
誰かが罪を捏ち上げる為に女生徒の荷物に隠したものだと思います。』

警官の言葉に女生徒以外は他の生徒たちと顔を見合わせる。

『じゃあ、誰が犯人なんですか?』

一人の生徒が発言をする。
それは誰もが知りたい事だ。
あれだけ少女が犯人だと声高に言っていた生徒たちは本当の事を知りたい。

『犯人は…まだ確定はしてませんが後程一人一人に話を聞かせてもらいたい。
もちろん保護者の方と担任と校長先生に立ち会って貰います。』

そう言って警官と校長が教室内から出ていった。
教室内は静まり返っている。
何時もなら率先して発言をするいじめグループ達も鳴りを潜めている。

暫くすると別室に順番に呼ばれる。
呼ばれた生徒は教室に帰っては来ない。
そして…教室には少女といじめグループ達だけとなった。

少女の番になり呼ばれて教室を出ていった。
残されたグループ達は不安の色を隠せない。
少女が呼ばれて15分ほど経った時に教室には担任の教師、校長、警官とグループの親達が入ってきた。



何故、自分達だけ残された教室に教師や親達が入ってきたのか…
頭の中で何故が渦巻いていた。
徐に警官が口を開いた。

『何故、自分達が残されたか分かりますか?』

警官の問いに自分達が犯した犯罪が知られていると察した。

『先程も言いましたが盗まれた集金袋からは関係者以外の指紋が1つだけ出ました。
その指紋を照合した結果……
君の指紋が出ました。』

いじめグループのリーダーに向けて言った。

『わ…私の指紋が出たからって前に着いた物かも知れないじゃない!』

『そうですね。
でも今回の集金袋が前回も使われていたなら有り得ますが集金袋は今回新しくしたものなので指紋は担任の教師と受け取った生徒、生徒の保護者以外に付く事は無いはずです。
集金袋は生徒本人が直接教師に渡さなければならない筈です。
そうじゃないのですか?』

学校側はどんな理由が有ろうと教材費は直接生徒が教師に渡さなければならない。
他の生徒が纏めて提出するのは認めてない。
もしくは保護者が直接学校情報出向き担任教師に渡す。
そうする事でトラブルを防ぐ。
毎回集金がある度にお知らせには書いてある。


なので…他の生徒の指紋が付く事は有り得ないのである。


追い詰められたリーダーの生徒の顔は益々青くなっていった。
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