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第1章 迷宮創生編
第56話 冒険者クエスト
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ラッセリアと食堂に行くと、朝食の用意は既に済んでおり、テーブルには目玉焼きの乗ったトーストにサラダ、スープが並んでいた。
「準備、早!」
「違うのぉ、私じゃないの・・・」
泣き顔のアルデリアちゃんだ。
「朝食は、私とカエデさんで用意したわよ」
シルエラが既に用意してくれていたらしい。
「さ、席について朝食にしましょう」
「ごめんなさぁぁい・・・」
「気にしなくて良いわよ。偶には、私も料理したいし、夜通しエッチした後は起きれないでしょう?」
「ま、まあ確かに・・・・」
シルエラの言葉に皆が相槌を打つ。あははっ、それは共通認識なんだね。
「朝起きた時に、ヤマト様がいると嬉しいのよね」
「そうそう」
「あら? 羨ましい。私もそんな体験したいわ~」チラ
ちょっとカエデさん? 最近カエデさんがちょくちょくアピールしてくる。娘の前でもお構い無しに誘惑してくるので困ってしまう。
「それよりも、はやく朝食を頂きましょう」
「そうだね」
朝食を食べ終わり、俺たちは街に仮設置されている冒険者ギルドに来ている。
正式な支部の設立はもう少し後のようだが、臨時の職員さんが派遣されており、今後のギルド運営について話をしたのが・・・職員のうちのひとり、この受付嬢のお姉さん、ただ者ではない。
知的な眼鏡美人なんだけど、営業スマイルに隠されているが、立ち振る舞いが素人のそれじゃない。絶対そこらの冒険者より強いよね。これが荒くれ者の多い冒険者ギルドの受付嬢のデフォルトなの? だとしたら受付嬢恐るべし。
それにシルエラほどではないが、なかなかご立派なモノをお持ちで。これは男性冒険者に人気になりそうだ。
「なにか手頃なクエストはないかな?」
シルエラの目線が怖いので、リュネールさんとクエストボードを見ている。塔の攻略の前に魔物退治をする予定になのだ。
「何なに? 薬草採取に、人探し、荷物の護衛、ふむふむ、魔物退治でと・・・おっ? オーガの討伐、これなんか良いんじゃないかな?」
俺が選んだクエストは、ブルストの街から大分離れた小さな農村、その付近に現れたオーガ種の調査・討伐依頼だった。
「オーガ種か、クエストレベルも報酬も手頃で良いんじゃないかな」
「ならこのクエストを受けよう」
「OK、手続きしてくるからちょっとまってな」
「依頼のあった村まで距離があるが、ヤマト殿の魔動機ならそんなに時間もかからないと思うけど、すぐ出発するかい?」
「今から出発しても到着は昼過ぎになると思う。朝食も遅かったし中途半端な時間だから、サンドイッチでも買って途中で食べようか。準備でき次第出発しよう」
「了解!」
目的地の農村は、ミカワの街から北に暫く行った所らしい。ブルストの街からは、直接行ける道もないので途中まで街道を通り、後は山道をショートカットだ。
俺の運転する魔動ミニバンは、街道を抜け山脈を迂回する山道を駆け抜ける。鬱蒼とした木々の間を通り、小高い峠を越えると眼下に集落が見えてきた。あれが目的地の農村だろう。
目的地の場所と方角さえわかれば、曲がりくねった峠道などお構いなしに最短距離を進んで行く。
オフロード車さながらの走破性能を誇る魔動機ならではの強行突破だ!
村の入り口にたどり着くと、手に武器を持った村民が見慣れない魔動ミニバンを警戒するように集まってくる。
こんな山奥の農村だし、魔獣の襲撃と勘違いされたようだ。
村人の案内でクエストの依頼主である村長さん会いに行き、クエストの詳しい詳細を聞くことになった。
近くの山でオーガらしき魔物を遠目に見たとの目撃情報が多数あり、被害が出る前に討伐して貰いたいとのことだった。
個体数は不明だが、恐らくは魔属領から流れてきた魔物だろうとのこと。オーガ種は大型の個体が多く、そのパワーは凄まじく危険度はかなり高い魔物だ。
俺のマップ索敵範囲には、モンスターの反応は無い。範囲外のようでパーティメンバーも同様だったので、とりあえずは目撃情報を基に調査してみよう。
案内役に狩人のトルマンドさんが同行を申し出てくれて、目撃情報があった山にやってきた。
山には沢山の山栗の木が植えられており、木にはまだ小さいがイガイガの実がなっている。秋には美味しい栗が収穫できるだろう。
そのためには、魔物の脅威は排除しなくてはならない。
索敵してみると、多数の獣に・・・おっ? これがオーガかな? 少し距離はあるが大きな反応が5体ある。
トルマンドさんの案内で、山の中を進んで行く。けもの道を通り少し開けた所に草木でできた家屋が見えてくる。今は留守のようだがオーガの住処なのだろうか?
少し離れた林の中に反応がある。
トルマンドさんにはここで待機してもらって、俺たちはオーガに気付かれないようにそっと近づいていく。
「皆、止まってくれ!」
リュネールさんの声に、皆が足を止め音を立てないように茂みの陰に身を潜めると、遠目に人影を発見することができた。その人影は人よりも一回りほど大きく、額には大きな角を生やしている。
特徴からしてオーガ種に間違いないようだ。
「あれは、レッドオーガと配下のオーガのようだな」
小声のリュネールさんと、どうするか相談する。まだ敵には気付かれてないので奇襲できるが、その方法だ。相手は魔物とは言え、人型であり知能も高い。魔法で攻撃しようにも魔力の高まりで気付かれてしまう可能性と、なによりステラさんお得意の爆炎魔法は、森の中では山火事の危険があるので使えない。となるとミスティの弓での狙撃が一番だった。
「少し距離があるが、いけるか?」
「任せて! 何も問題ないわ」
自信満々のミスティだが、この時ばかりは頼もしく思えてしまう。
ミスティが弓を構え、矢をつがえ狙いを付けている。その鏃は特別製で魔鉱石でできており、一般的な鉄製より貫通力があり、魔力も込めることができる。
狙うのは、先頭を歩くオーガだ。
「行くわよ!」
ミスティが放った矢は、先頭のオーガのこめかみを見事に打ち抜き、オーガたちに戦慄が走る。
「うおおおおっ‼」
俺とリュネールさんが一斉にオーガに突っ込んでいく! 後方ではステラさんの魔法の詠唱の声が聞こえてくる。
愛用の長剣を抜き放ち、オーガの隊列に切り込んでいく。目指すはボスのレッドオーガだ!
2mを軽く超える巨体に赤銅色の肌、その身体はムキムキマッチョで、いかにもパワータイプだ。
『レッドオーガ』
種別:オーガ種
属性:火
LV:19
HP:1925/1925
MP:378/378
SP:866/866
STR:C VIT:C AGI:D
DEX:D INT:E LUK:D
オーガの進化系、凶暴で好戦的、強靭な肉体が特徴。
初手は奇襲に成功した俺たちが取った。
気合の声とともに、レッドオーガに斬りかかる。振り下ろされた刃は、レッドオーガの身体を袈裟斬りにするが、斬りつけられたレッドオーガは怯むことなく、その拳で殴りかかってくる。
迫りくる豪拳を躱し、向かい合う俺とレッドオーガ。
さすがに一撃では仕留めれないか。強靭な肉体を誇るオーガ種は、HPが高く生半可な攻撃は通用しない。ミスティにこめかみを打ち抜かれたオーガも、致命傷には至っていないようだ・・・どんだけだよ。
リュネールさんや、ロザリーも苦戦を強いられている。
強烈な拳打を躱しつつ、石弾丸を放つ。
魔弾はレッドオーガの脇をそれ、離れた所でロザリーと戦っていたオーガに直撃する。怯んだオーガにロザリーの一撃が入りその巨体が倒れていく。まずは1体。
「ナイス、ロザリー!」
「ヤマト様もフォローありがとう!」
ロザリーと声をかけ合う。オーガは残り4体だ。
もう一体もステラさんの魔法攻撃で瀕死になっている。倒されるのも時間の問題だろう。
仲間を倒され、怒り狂ったレッドオーガが雄叫びを上げ突っ込んでくる。
迫りくる豪拳を後退しつつ躱して、大木を背にして長剣を構え直す。
レッドオーガは俺を追い詰めたと思っているだろうが、それは俺の作戦だ。
当然のようにその拳を俺に振るってくるレッドオーガ。その拳を見切り、身を躱すと見事に空振りしたオーガの拳が大木を叩きつけた。
大木はあっさりと粉砕され木片が辺りに飛散する。
凄まじい一撃だな。だがその豪拳も当たらなけらば意味がない。飛散した木片を目くらましに、レッドオーガの側面に回り込み急所の脇腹へと剣を突き立てた。
肉を貫く感触が俺の手に伝わってくる。
「ぐおおおおっ!」
レッドオーガの叫び声とともに、裏拳が俺に襲いかかってくる。なかなかにしぶとい。
そんな折、レッドオーガの片目に矢が突き刺さった。
苦しむその隙を見逃すはずもなく、止めの一撃を放つと、ようやくその巨体が崩れ落ちる。
援護の矢を放った射手は、次の獲物を狙っている。
矢をつがえるなり、即座に矢を放つ。これまた見事にオーガの眉間に突き刺さり、ロザリーが止めを刺す。
残りは、リュネールさんと対峙しているオーガ1体のみである。オーガの拳の軌跡と、リュネールさんの斬撃が交差する。
血しぶきを上げオーガは地に倒れていく。
「ふう、終わったぜ!」
「おつかれ!」
俺とリュネールさんは、互いの手のひらを上げハイタッチする。戦いの高揚感もあり、仲間と勝利の喜びを分かち合う。やっぱりこの達成感が心地よい。
「しかし、ホントにオーガってしぶといな。斬っても平気で突っ込んでくるんだぜ! ありえないだろ普通」
「同感ですね。しかしミスティさんもヤマト様もナイスアシストです」
「ああ、ミスティの弓の腕は一流だな。百発百中だったんじゃないかな? 今後もこの調子で頼むよ」
「えへへ♡」
パーティーでの連携も上手くいき、褒められたミスティは嬉しそうだった。
シルエラが少し傷を負ったリュネールさんの傷を癒し、オーガの討伐証明となる素材、オーガの場合は魔石と額の角が証明になるそうだ。証明となる部位を取り除き、トルマンドさんと合流する。
オーガの死体は、開けた場所でステラさんが火葬している。ダンジョンではないので、死体を放置して腐敗、最悪の場合アンデット化されても困るので、魔物の死体処理は必ずすることにしているそうだ。
「いやあ、皆さまのおかげで助かりました。まさかこんなに早くオーガ種を倒されるとは、思ってもおりませんでした。これで安心して暮らせます。これは僅かですがほんのお礼です」
村長から報酬の入った袋を受け取り、それとは別に秋に収穫された栗の買取を打診すると、快く引き受けてくれた。
これで秋の味覚も確保できるだろう。
帰りはステラさんが魔動ミニバンを運転したいと駄々をこねてくる。絶叫マシンに乗りたくない俺は、シルエラとともに飛行機型の魔動機で帰宅することにした。
すまんな、飛行機はふたり乗りなんだよ。
「きゃあああああぁぁぁぁ!」
「助けてぇぇぇ!」
村の入り口にて俺とシルエラを残し、爆走していく魔動機を眺めている。山にロザリーとミスティの悲鳴が響きわたるのは、言うまでもなかった・・・・合掌。
「準備、早!」
「違うのぉ、私じゃないの・・・」
泣き顔のアルデリアちゃんだ。
「朝食は、私とカエデさんで用意したわよ」
シルエラが既に用意してくれていたらしい。
「さ、席について朝食にしましょう」
「ごめんなさぁぁい・・・」
「気にしなくて良いわよ。偶には、私も料理したいし、夜通しエッチした後は起きれないでしょう?」
「ま、まあ確かに・・・・」
シルエラの言葉に皆が相槌を打つ。あははっ、それは共通認識なんだね。
「朝起きた時に、ヤマト様がいると嬉しいのよね」
「そうそう」
「あら? 羨ましい。私もそんな体験したいわ~」チラ
ちょっとカエデさん? 最近カエデさんがちょくちょくアピールしてくる。娘の前でもお構い無しに誘惑してくるので困ってしまう。
「それよりも、はやく朝食を頂きましょう」
「そうだね」
朝食を食べ終わり、俺たちは街に仮設置されている冒険者ギルドに来ている。
正式な支部の設立はもう少し後のようだが、臨時の職員さんが派遣されており、今後のギルド運営について話をしたのが・・・職員のうちのひとり、この受付嬢のお姉さん、ただ者ではない。
知的な眼鏡美人なんだけど、営業スマイルに隠されているが、立ち振る舞いが素人のそれじゃない。絶対そこらの冒険者より強いよね。これが荒くれ者の多い冒険者ギルドの受付嬢のデフォルトなの? だとしたら受付嬢恐るべし。
それにシルエラほどではないが、なかなかご立派なモノをお持ちで。これは男性冒険者に人気になりそうだ。
「なにか手頃なクエストはないかな?」
シルエラの目線が怖いので、リュネールさんとクエストボードを見ている。塔の攻略の前に魔物退治をする予定になのだ。
「何なに? 薬草採取に、人探し、荷物の護衛、ふむふむ、魔物退治でと・・・おっ? オーガの討伐、これなんか良いんじゃないかな?」
俺が選んだクエストは、ブルストの街から大分離れた小さな農村、その付近に現れたオーガ種の調査・討伐依頼だった。
「オーガ種か、クエストレベルも報酬も手頃で良いんじゃないかな」
「ならこのクエストを受けよう」
「OK、手続きしてくるからちょっとまってな」
「依頼のあった村まで距離があるが、ヤマト殿の魔動機ならそんなに時間もかからないと思うけど、すぐ出発するかい?」
「今から出発しても到着は昼過ぎになると思う。朝食も遅かったし中途半端な時間だから、サンドイッチでも買って途中で食べようか。準備でき次第出発しよう」
「了解!」
目的地の農村は、ミカワの街から北に暫く行った所らしい。ブルストの街からは、直接行ける道もないので途中まで街道を通り、後は山道をショートカットだ。
俺の運転する魔動ミニバンは、街道を抜け山脈を迂回する山道を駆け抜ける。鬱蒼とした木々の間を通り、小高い峠を越えると眼下に集落が見えてきた。あれが目的地の農村だろう。
目的地の場所と方角さえわかれば、曲がりくねった峠道などお構いなしに最短距離を進んで行く。
オフロード車さながらの走破性能を誇る魔動機ならではの強行突破だ!
村の入り口にたどり着くと、手に武器を持った村民が見慣れない魔動ミニバンを警戒するように集まってくる。
こんな山奥の農村だし、魔獣の襲撃と勘違いされたようだ。
村人の案内でクエストの依頼主である村長さん会いに行き、クエストの詳しい詳細を聞くことになった。
近くの山でオーガらしき魔物を遠目に見たとの目撃情報が多数あり、被害が出る前に討伐して貰いたいとのことだった。
個体数は不明だが、恐らくは魔属領から流れてきた魔物だろうとのこと。オーガ種は大型の個体が多く、そのパワーは凄まじく危険度はかなり高い魔物だ。
俺のマップ索敵範囲には、モンスターの反応は無い。範囲外のようでパーティメンバーも同様だったので、とりあえずは目撃情報を基に調査してみよう。
案内役に狩人のトルマンドさんが同行を申し出てくれて、目撃情報があった山にやってきた。
山には沢山の山栗の木が植えられており、木にはまだ小さいがイガイガの実がなっている。秋には美味しい栗が収穫できるだろう。
そのためには、魔物の脅威は排除しなくてはならない。
索敵してみると、多数の獣に・・・おっ? これがオーガかな? 少し距離はあるが大きな反応が5体ある。
トルマンドさんの案内で、山の中を進んで行く。けもの道を通り少し開けた所に草木でできた家屋が見えてくる。今は留守のようだがオーガの住処なのだろうか?
少し離れた林の中に反応がある。
トルマンドさんにはここで待機してもらって、俺たちはオーガに気付かれないようにそっと近づいていく。
「皆、止まってくれ!」
リュネールさんの声に、皆が足を止め音を立てないように茂みの陰に身を潜めると、遠目に人影を発見することができた。その人影は人よりも一回りほど大きく、額には大きな角を生やしている。
特徴からしてオーガ種に間違いないようだ。
「あれは、レッドオーガと配下のオーガのようだな」
小声のリュネールさんと、どうするか相談する。まだ敵には気付かれてないので奇襲できるが、その方法だ。相手は魔物とは言え、人型であり知能も高い。魔法で攻撃しようにも魔力の高まりで気付かれてしまう可能性と、なによりステラさんお得意の爆炎魔法は、森の中では山火事の危険があるので使えない。となるとミスティの弓での狙撃が一番だった。
「少し距離があるが、いけるか?」
「任せて! 何も問題ないわ」
自信満々のミスティだが、この時ばかりは頼もしく思えてしまう。
ミスティが弓を構え、矢をつがえ狙いを付けている。その鏃は特別製で魔鉱石でできており、一般的な鉄製より貫通力があり、魔力も込めることができる。
狙うのは、先頭を歩くオーガだ。
「行くわよ!」
ミスティが放った矢は、先頭のオーガのこめかみを見事に打ち抜き、オーガたちに戦慄が走る。
「うおおおおっ‼」
俺とリュネールさんが一斉にオーガに突っ込んでいく! 後方ではステラさんの魔法の詠唱の声が聞こえてくる。
愛用の長剣を抜き放ち、オーガの隊列に切り込んでいく。目指すはボスのレッドオーガだ!
2mを軽く超える巨体に赤銅色の肌、その身体はムキムキマッチョで、いかにもパワータイプだ。
『レッドオーガ』
種別:オーガ種
属性:火
LV:19
HP:1925/1925
MP:378/378
SP:866/866
STR:C VIT:C AGI:D
DEX:D INT:E LUK:D
オーガの進化系、凶暴で好戦的、強靭な肉体が特徴。
初手は奇襲に成功した俺たちが取った。
気合の声とともに、レッドオーガに斬りかかる。振り下ろされた刃は、レッドオーガの身体を袈裟斬りにするが、斬りつけられたレッドオーガは怯むことなく、その拳で殴りかかってくる。
迫りくる豪拳を躱し、向かい合う俺とレッドオーガ。
さすがに一撃では仕留めれないか。強靭な肉体を誇るオーガ種は、HPが高く生半可な攻撃は通用しない。ミスティにこめかみを打ち抜かれたオーガも、致命傷には至っていないようだ・・・どんだけだよ。
リュネールさんや、ロザリーも苦戦を強いられている。
強烈な拳打を躱しつつ、石弾丸を放つ。
魔弾はレッドオーガの脇をそれ、離れた所でロザリーと戦っていたオーガに直撃する。怯んだオーガにロザリーの一撃が入りその巨体が倒れていく。まずは1体。
「ナイス、ロザリー!」
「ヤマト様もフォローありがとう!」
ロザリーと声をかけ合う。オーガは残り4体だ。
もう一体もステラさんの魔法攻撃で瀕死になっている。倒されるのも時間の問題だろう。
仲間を倒され、怒り狂ったレッドオーガが雄叫びを上げ突っ込んでくる。
迫りくる豪拳を後退しつつ躱して、大木を背にして長剣を構え直す。
レッドオーガは俺を追い詰めたと思っているだろうが、それは俺の作戦だ。
当然のようにその拳を俺に振るってくるレッドオーガ。その拳を見切り、身を躱すと見事に空振りしたオーガの拳が大木を叩きつけた。
大木はあっさりと粉砕され木片が辺りに飛散する。
凄まじい一撃だな。だがその豪拳も当たらなけらば意味がない。飛散した木片を目くらましに、レッドオーガの側面に回り込み急所の脇腹へと剣を突き立てた。
肉を貫く感触が俺の手に伝わってくる。
「ぐおおおおっ!」
レッドオーガの叫び声とともに、裏拳が俺に襲いかかってくる。なかなかにしぶとい。
そんな折、レッドオーガの片目に矢が突き刺さった。
苦しむその隙を見逃すはずもなく、止めの一撃を放つと、ようやくその巨体が崩れ落ちる。
援護の矢を放った射手は、次の獲物を狙っている。
矢をつがえるなり、即座に矢を放つ。これまた見事にオーガの眉間に突き刺さり、ロザリーが止めを刺す。
残りは、リュネールさんと対峙しているオーガ1体のみである。オーガの拳の軌跡と、リュネールさんの斬撃が交差する。
血しぶきを上げオーガは地に倒れていく。
「ふう、終わったぜ!」
「おつかれ!」
俺とリュネールさんは、互いの手のひらを上げハイタッチする。戦いの高揚感もあり、仲間と勝利の喜びを分かち合う。やっぱりこの達成感が心地よい。
「しかし、ホントにオーガってしぶといな。斬っても平気で突っ込んでくるんだぜ! ありえないだろ普通」
「同感ですね。しかしミスティさんもヤマト様もナイスアシストです」
「ああ、ミスティの弓の腕は一流だな。百発百中だったんじゃないかな? 今後もこの調子で頼むよ」
「えへへ♡」
パーティーでの連携も上手くいき、褒められたミスティは嬉しそうだった。
シルエラが少し傷を負ったリュネールさんの傷を癒し、オーガの討伐証明となる素材、オーガの場合は魔石と額の角が証明になるそうだ。証明となる部位を取り除き、トルマンドさんと合流する。
オーガの死体は、開けた場所でステラさんが火葬している。ダンジョンではないので、死体を放置して腐敗、最悪の場合アンデット化されても困るので、魔物の死体処理は必ずすることにしているそうだ。
「いやあ、皆さまのおかげで助かりました。まさかこんなに早くオーガ種を倒されるとは、思ってもおりませんでした。これで安心して暮らせます。これは僅かですがほんのお礼です」
村長から報酬の入った袋を受け取り、それとは別に秋に収穫された栗の買取を打診すると、快く引き受けてくれた。
これで秋の味覚も確保できるだろう。
帰りはステラさんが魔動ミニバンを運転したいと駄々をこねてくる。絶叫マシンに乗りたくない俺は、シルエラとともに飛行機型の魔動機で帰宅することにした。
すまんな、飛行機はふたり乗りなんだよ。
「きゃあああああぁぁぁぁ!」
「助けてぇぇぇ!」
村の入り口にて俺とシルエラを残し、爆走していく魔動機を眺めている。山にロザリーとミスティの悲鳴が響きわたるのは、言うまでもなかった・・・・合掌。
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