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第2章 迷宮成長編
第76話 城下町での出来事
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狸娘め、ギャフンと言わせてやる!
しかし実際そんな言葉、ギャフンなんて聞いたことないけど。
くっくっく。ならばホントに言わしてやろうじゃないか。
茶店を出た俺たちは、近くにあった広場へとやってきた。
よしこの辺りで良いだろう。
ぎらぎらと照り付ける日差しを避けて、木陰にテーブルと椅子を並べているとルナちゃんが驚きの声をあげた。
「それは魔道具、いや収納系のスキルなのですか?」
「正解、空間収納ってスキルだよ。便利でしょ」
「そんな凄いスキルも持ってるなんて、さすが紗弓様の認めたお方です」
収納系の魔道具やスキルは所有者が少ないため重宝される。ブルストの街に帰ったら試作してみるかな。あれば便利だし、皆も喜んでくれるだろうし。
「では最初の1品目はフライドポテトだ!」
まずは小手調べ、細く切ったジャガイモを油で揚げて、塩で味付けしただけのシンプル料理。だがこれが美味いのだ。
「なにこれ?」
「いいから食ってみろ!」
恐る恐る口にするふたり、しかしすぐに夢中になって食べ始めた。
「どうだ? 美味いだろう?」
「おかわりくれ!」
速攻で完食した摩耶ちゃんはおかわりを要求してきた。
意地でも美味いとは言わないつもりらしい。だがまだ序の口、こんな序盤で美味いと言われても困るってもんよ。
「まあ、まて。次は唐揚げだ」
鶏肉を特性調味料に漬け込み、油で揚げたものだ。揚げたてを空間収納に仕舞ってあるので、揚げたて熱々を召し上がれ。
「これは・・・うむむむむ・・」
「どうだ? ぷりっとジューシーで美味いだろう?」
「おかわりくれ!」
これまた速攻で完食した摩耶ちゃん。なかなか強情である。
「では次、豚骨ラーメンだ!」
日本の名店の味には程遠いが、アルデリアちゃんとおっちゃんたちが苦労を重ねて作り上げた至高の逸品だ。
叉焼も煮卵はもちろん、スープも濃厚で一度食べればハマること間違いなし。
豚骨独特の匂いを嗅いだり、レンゲでスープをすくい口に入れたとたん、驚きで目を見開いき、麺を口にしていく。
「うまうま」
「今、美味いって言ったよね?」
「言ってない。集中してるから話しかけないで」
おお~ もはや無言で麺をすすってるぞ。
そのすすりかたも対照的だった。
摩耶ちゃんは豪快にズズズとすするのに対して、ルナちゃんはゆっくりと汁が飛び散らない様に上品に食べている。ここにも性格が表れているな。
「おかわり!」
しかしこいつ良く食うな。スープまでしっかりと飲み干しやがった。
「デザートで葡萄のジェラートだよ」
ルナちゃんはさすがに限界ぽいのでこれが最後だ。
と思っていたけど、デザートは別腹らしく完食したね。
「おかわり!」
はいはいちょっと待ってね。
スイーツ系はほとんど信長様に献上したので在庫がほぼない。
「で、どうだった? 美味かっただろ?」
「うん、美味しかった。だからおかわりちょうだい!」
「今まで食べたことのない料理の数々、これほど夢中になって食べたのは久しぶりだ。だがこんな高級な料理、このような場所でわたくしたちが口にしてよかったのか?」
「ん? 何言ってんだ? 今出したのは庶民でも食べれる料理だぞ。ブルストの街なら店に行けばいつでも食べれるのだから心配しなくていい」
「ほ、ホントなのか・・・これが庶民の味・・・信じられん」
「もう負けを認めるからおかわりちょうだい!」
「素直に負けを認めたな」
「おかわり!」
「ならギャフンと言ったら食わしてやろう」
「ギャフン! 言ったからおかわり! ギャフン!」
「くっ、こいつホントに言いやがった。ほらよ」
狸娘、こいつにはプライドはないのか? まあ面白いからいいけど。
「結婚は無効でいいけど、ブルストの街にくれば食べれるから暇だったら遊びに来てくれると嬉しいかな」
「お誘いは嬉しいのだけれど、飛竜を飛ばしても2・3日かかるだろう? すまないがそう簡単には遊びには行けぬ」
「2・3日? 飛竜でもそんなにかかるんだ。転移陣はおいそれと使えないし・・・・これは魔動機使えばビジネスになるかもな・・・あっ、こっちの話ね。じゃあこうしよう。俺には安土~ブルスト間を約3時間で移動できる魔動機がある。これを試験的に運行するので、それなら遊びに来れるだろう?」
「3時間だって? そんなに早く移動できるものなのか? いったい何キロあるか分かってて言っているのか? そもそも魔動機とは何かしら」
「ああ、魔動機とは魔法で作りだしたゴーレムの一種で、馬車の代わりや飛竜の代わりになる乗り物だ」
「そんなものが・・・てことは貴方は飛行魔法も使えるのか?」
「ああ、使えるぞ。魔法の絨毯より高機動で安定感もある」
「そんな魔法まで・・・・」
ルナちゃんが何やら考えてると、おかわりに出した料理を食べ終えた摩耶ちゃんが、目をキラキラさせしっぽをフリフリさせながらしゃべりだした。
「行く! 行くよ!」
「ああ、遊びに来てくれ。いつでも歓迎するよ」
「違う! 遊びじゃない! 嫁に行く!」
「へ!? 嫁???」
「そう言った。お爺様と紗弓様の目に狂いはなかった。アタシはお前のところに嫁に行く。そしたらいつでも美味しいもの食べられる」
「あんたねぇ・・・そんなんでいいの?」
「うん。いい。何も問題ない!」
「こらこら! 勝手に決めるな! さっきと言ってること違うじゃねえか! 結婚は無効だ。遊びに来るのはいいが結婚はダメだ!」
「やだ! お前のとこに嫁ぐ。お爺様の命令は絶対」
「なんだよそれ・・・・また騙された・・・・・」
「よく分かんないけど。私は狸の姫たぬきなのだ! 騙される方が悪いのだ! という訳でよろしくなのだ♡」
「摩耶さん・・・今回のところはお引き取りを。その話は次回じっくりとお話いたしましょう。そう、じっくりと・・・」
「そっ、そう、ですね・・・じゃそゆことでまた!」
シルエラの冷たい圧力が吹き荒れると、摩耶ちゃんはすんなり、いや怯えるように逃げ去って行った・・・・・
「あっちょっと待って。すみません連れが失礼いたしました。私もこれにてお暇させていただきます。ではまたお会いしましょう」
ルナちゃんはしっかり挨拶して、摩耶ちゃんを追いかけていった。できることなら俺も逃げたい・・・・この雰囲気どうしてくれるんだよ。
「シルエラ助かったよ。いやあ困った娘だねえ・・・・」
「そうですね。困った方ですね。ほほほほほ」
こ、怖い・・・・怖いよう。
俺は悪くはないと思いたい。だってちゃんと断ってたよね? そりゃあ可愛い子だとは思ったけどさ・・・どっちかと言えばルナちゃんが気になったけどそれは口が裂けても言ってはいけない。悟られてはいないよね?
シルエラのご機嫌取り兼参考のためにとやってきたのは宝飾店。
ある程度は自作できるので指輪の相場とデザインの確認のためだった。
・・・・・ごめんなさい。
自作できるといった私が悪うございました。はい、無理です。
とてもじゃないがこんな細かい精巧な物まねしたくても作れません。有名なドワーフによる作品の数々。まさに匠の技。
「指輪をお探しでしょうか?」
「ああ、ちょっと見させてもらうよ」
対応してくれたのは恰幅の良いドワーフのおば、もといお姉さん。上品な物腰とは裏腹に実力者と分かる佇まい。並みの冒険者より強いよこのおばちゃ、もといお姉さん。さすがは織田家御用達の老舗宝飾店だった。
そんな老舗宝飾店に俺たちが行って問題ないのかと思ったけれど、さすがはその道のプロ、すぐさま俺たちの正体を見抜いてきた。
冴えない俺はともかく、美しいシルエラの存在感は目につくものがある。どこからか新領主となった俺の噂を聞きつけたのか分からないが流石である。案外濃姫様から情報が入っていたのかも知れないが。
奥から現れた店主もただ者ではない。現役を引退した老兵って感じがする。
店主に様々な指輪を勧められていく中で、気になった種類の指輪があった。それは一般的な宝石の付いた指輪ではなく、魔晶石と呼ばれる特殊な魔石を使用した魔道具職人作の指輪だった。
使用する魔晶石の種類によって魔力を増幅したり、魔法を付与することで様々な使い方ができるようになるらしい。
だがその分お値段も凄い金額だった。さすがはマジックアイテム、普通の指輪が何十個も買える金額である。
リングはミスリル銀製で、メインの魔晶石の周りには小さなダイヤが散りばめられており、優美な雰囲気を醸し出すエレガントな指輪だった。
魔道具としてでなく宝飾品の指輪としての価値も高そうな指輪だ。これがシルエラの左手薬指に輝く姿は素晴らしい。
「その指輪がお眼鏡にかないましたか? 当店お抱えの職人による自慢の指輪でございます。サイズ調節機能も付属しており、聖女様にもお似合いの品とお見受けいたします」
「ありがとうございます」
お試しでつけた指輪が気に入ったご様子。
「魔晶石はいかがなさいますか?」
「それなんですが、一つ魔法付与を試してみたいことがあるので魔晶石単体で購入することできますか?」
「宮代様がご自分で付与されるのですか? かしこまりました。ではこちらの魔晶石をお使いください」
「ありがとうございます。では失礼して・・・・・・」
用意された小さくカットされた魔晶石。魔晶石に触れながら空間収納をイメージしながら魔力を注いでいくと、白っぽかった魔晶石が虹色に輝き始めた。
「おおおっ! 成功したかな?」
虹色に輝く魔晶石、見る角度カットによって様々な色に光輝いている。
「宮代様? いったい何の魔法を付与されたのでしょうか? 長年この仕事に携わっておりますが、私もこのような魔晶石付与は初めてでございます」
「これは空間収納を付与してみたんだけど、残念ながらその収容量は家一軒分くらいしか付与できなかった・・・まあ石のサイズ的にこれが限界かな」
「なっ! 誠に収納系の付与がされているのですか・・・・それも家一軒分とは・・・・もはやこれはアーティファクト級の価値があります」
「そうなの? 俺のスキルなら収容量は無尽蔵だよ? それに比べたら家一軒分なんちっぽけなもんだと思ったけど、凄いんだこれ」
「凄いなんてもんではありません。アイテム袋やストレージの腕輪でも最大で一部屋分でございます。み、宮代様もしよろしければ、この魔晶石。私どもにお譲り頂けないでしょうか? もちろんタダでとはもうしません。当店にある物をお好きなだけお持ちいただいても構いません」
「それはいいけど、ホントにいいの?」
「ええ、構いません。この魔晶石にはそれほどの価値がございます」
「なら遠慮なくご厚意に甘えて、これと同じデザインで後8個用意できますか? 後は魔晶石もいくつか欲しいかな。それとシルエラにネックレスを見繕ってもらっていい?」
「かしこまりました。指輪は在庫が有りませんので出来上がり次第お届け致します。ネックレスや魔晶石はすぐにご用意致します」
「うん。お願いします」
新領地とともに褒美として金子を貰っていたが必要なかったようだ。たかが魔法付与ごときで大げさだと思たけれど、世の中に出回る魔道具の質を考えれば納得かも知れない。問題は悪用されないように使用者登録が必須だといえることだろう。
商人や冒険者などその需要は計り知れず、誰もが欲しがる魔道具だからこそ、盗難防止機能が必要かもしれない。
指輪に魔法を付与していると、店主お勧めだというネックレスを身につけたシルエラが嬉しそうにその姿を見せてきた。
それはなんという破壊力、まさに晴天の霹靂! 首元から胸元にかけて輝く大き目のダイヤ。そして胸元の開いた衣装から谷間がチラリ・・・・もうしんぼう堪りません。これが家だったら押し倒したいくらいだよ。
宝飾店以降、終始にこやかなシルエラ。安土城下でのデートを楽しみ、帰宅の挨拶をするためにラッセリアに会いに来た。
ラッセリアにも指輪の件を報告すると、それはもう喜んでくれた。熱いキスのおまけつきだが、しばらくはラッセリアともお別れだ。
分校の手続きと引継ぎの手配と忙しいらしい。魔動飛行機も預けてあるので帰宅時の心配もない。帰ろうと思えばすぐなのだから。
ラッセリアと学生にたちに見送られて、安土城下を後にした。
魔動機を飛ばして約2時間。二日ぶりにブルストの街に帰ってきた。
「お帰りなさいませご主人様」
「ただいま。セイレーン、俺の留守の間、何もなかったかい?」
「・・・・それがですね・・・・・」
出迎えてくれたメイド長であるセイレーン。
優秀な彼女が言葉を濁すって何があったの?
しかし実際そんな言葉、ギャフンなんて聞いたことないけど。
くっくっく。ならばホントに言わしてやろうじゃないか。
茶店を出た俺たちは、近くにあった広場へとやってきた。
よしこの辺りで良いだろう。
ぎらぎらと照り付ける日差しを避けて、木陰にテーブルと椅子を並べているとルナちゃんが驚きの声をあげた。
「それは魔道具、いや収納系のスキルなのですか?」
「正解、空間収納ってスキルだよ。便利でしょ」
「そんな凄いスキルも持ってるなんて、さすが紗弓様の認めたお方です」
収納系の魔道具やスキルは所有者が少ないため重宝される。ブルストの街に帰ったら試作してみるかな。あれば便利だし、皆も喜んでくれるだろうし。
「では最初の1品目はフライドポテトだ!」
まずは小手調べ、細く切ったジャガイモを油で揚げて、塩で味付けしただけのシンプル料理。だがこれが美味いのだ。
「なにこれ?」
「いいから食ってみろ!」
恐る恐る口にするふたり、しかしすぐに夢中になって食べ始めた。
「どうだ? 美味いだろう?」
「おかわりくれ!」
速攻で完食した摩耶ちゃんはおかわりを要求してきた。
意地でも美味いとは言わないつもりらしい。だがまだ序の口、こんな序盤で美味いと言われても困るってもんよ。
「まあ、まて。次は唐揚げだ」
鶏肉を特性調味料に漬け込み、油で揚げたものだ。揚げたてを空間収納に仕舞ってあるので、揚げたて熱々を召し上がれ。
「これは・・・うむむむむ・・」
「どうだ? ぷりっとジューシーで美味いだろう?」
「おかわりくれ!」
これまた速攻で完食した摩耶ちゃん。なかなか強情である。
「では次、豚骨ラーメンだ!」
日本の名店の味には程遠いが、アルデリアちゃんとおっちゃんたちが苦労を重ねて作り上げた至高の逸品だ。
叉焼も煮卵はもちろん、スープも濃厚で一度食べればハマること間違いなし。
豚骨独特の匂いを嗅いだり、レンゲでスープをすくい口に入れたとたん、驚きで目を見開いき、麺を口にしていく。
「うまうま」
「今、美味いって言ったよね?」
「言ってない。集中してるから話しかけないで」
おお~ もはや無言で麺をすすってるぞ。
そのすすりかたも対照的だった。
摩耶ちゃんは豪快にズズズとすするのに対して、ルナちゃんはゆっくりと汁が飛び散らない様に上品に食べている。ここにも性格が表れているな。
「おかわり!」
しかしこいつ良く食うな。スープまでしっかりと飲み干しやがった。
「デザートで葡萄のジェラートだよ」
ルナちゃんはさすがに限界ぽいのでこれが最後だ。
と思っていたけど、デザートは別腹らしく完食したね。
「おかわり!」
はいはいちょっと待ってね。
スイーツ系はほとんど信長様に献上したので在庫がほぼない。
「で、どうだった? 美味かっただろ?」
「うん、美味しかった。だからおかわりちょうだい!」
「今まで食べたことのない料理の数々、これほど夢中になって食べたのは久しぶりだ。だがこんな高級な料理、このような場所でわたくしたちが口にしてよかったのか?」
「ん? 何言ってんだ? 今出したのは庶民でも食べれる料理だぞ。ブルストの街なら店に行けばいつでも食べれるのだから心配しなくていい」
「ほ、ホントなのか・・・これが庶民の味・・・信じられん」
「もう負けを認めるからおかわりちょうだい!」
「素直に負けを認めたな」
「おかわり!」
「ならギャフンと言ったら食わしてやろう」
「ギャフン! 言ったからおかわり! ギャフン!」
「くっ、こいつホントに言いやがった。ほらよ」
狸娘、こいつにはプライドはないのか? まあ面白いからいいけど。
「結婚は無効でいいけど、ブルストの街にくれば食べれるから暇だったら遊びに来てくれると嬉しいかな」
「お誘いは嬉しいのだけれど、飛竜を飛ばしても2・3日かかるだろう? すまないがそう簡単には遊びには行けぬ」
「2・3日? 飛竜でもそんなにかかるんだ。転移陣はおいそれと使えないし・・・・これは魔動機使えばビジネスになるかもな・・・あっ、こっちの話ね。じゃあこうしよう。俺には安土~ブルスト間を約3時間で移動できる魔動機がある。これを試験的に運行するので、それなら遊びに来れるだろう?」
「3時間だって? そんなに早く移動できるものなのか? いったい何キロあるか分かってて言っているのか? そもそも魔動機とは何かしら」
「ああ、魔動機とは魔法で作りだしたゴーレムの一種で、馬車の代わりや飛竜の代わりになる乗り物だ」
「そんなものが・・・てことは貴方は飛行魔法も使えるのか?」
「ああ、使えるぞ。魔法の絨毯より高機動で安定感もある」
「そんな魔法まで・・・・」
ルナちゃんが何やら考えてると、おかわりに出した料理を食べ終えた摩耶ちゃんが、目をキラキラさせしっぽをフリフリさせながらしゃべりだした。
「行く! 行くよ!」
「ああ、遊びに来てくれ。いつでも歓迎するよ」
「違う! 遊びじゃない! 嫁に行く!」
「へ!? 嫁???」
「そう言った。お爺様と紗弓様の目に狂いはなかった。アタシはお前のところに嫁に行く。そしたらいつでも美味しいもの食べられる」
「あんたねぇ・・・そんなんでいいの?」
「うん。いい。何も問題ない!」
「こらこら! 勝手に決めるな! さっきと言ってること違うじゃねえか! 結婚は無効だ。遊びに来るのはいいが結婚はダメだ!」
「やだ! お前のとこに嫁ぐ。お爺様の命令は絶対」
「なんだよそれ・・・・また騙された・・・・・」
「よく分かんないけど。私は狸の姫たぬきなのだ! 騙される方が悪いのだ! という訳でよろしくなのだ♡」
「摩耶さん・・・今回のところはお引き取りを。その話は次回じっくりとお話いたしましょう。そう、じっくりと・・・」
「そっ、そう、ですね・・・じゃそゆことでまた!」
シルエラの冷たい圧力が吹き荒れると、摩耶ちゃんはすんなり、いや怯えるように逃げ去って行った・・・・・
「あっちょっと待って。すみません連れが失礼いたしました。私もこれにてお暇させていただきます。ではまたお会いしましょう」
ルナちゃんはしっかり挨拶して、摩耶ちゃんを追いかけていった。できることなら俺も逃げたい・・・・この雰囲気どうしてくれるんだよ。
「シルエラ助かったよ。いやあ困った娘だねえ・・・・」
「そうですね。困った方ですね。ほほほほほ」
こ、怖い・・・・怖いよう。
俺は悪くはないと思いたい。だってちゃんと断ってたよね? そりゃあ可愛い子だとは思ったけどさ・・・どっちかと言えばルナちゃんが気になったけどそれは口が裂けても言ってはいけない。悟られてはいないよね?
シルエラのご機嫌取り兼参考のためにとやってきたのは宝飾店。
ある程度は自作できるので指輪の相場とデザインの確認のためだった。
・・・・・ごめんなさい。
自作できるといった私が悪うございました。はい、無理です。
とてもじゃないがこんな細かい精巧な物まねしたくても作れません。有名なドワーフによる作品の数々。まさに匠の技。
「指輪をお探しでしょうか?」
「ああ、ちょっと見させてもらうよ」
対応してくれたのは恰幅の良いドワーフのおば、もといお姉さん。上品な物腰とは裏腹に実力者と分かる佇まい。並みの冒険者より強いよこのおばちゃ、もといお姉さん。さすがは織田家御用達の老舗宝飾店だった。
そんな老舗宝飾店に俺たちが行って問題ないのかと思ったけれど、さすがはその道のプロ、すぐさま俺たちの正体を見抜いてきた。
冴えない俺はともかく、美しいシルエラの存在感は目につくものがある。どこからか新領主となった俺の噂を聞きつけたのか分からないが流石である。案外濃姫様から情報が入っていたのかも知れないが。
奥から現れた店主もただ者ではない。現役を引退した老兵って感じがする。
店主に様々な指輪を勧められていく中で、気になった種類の指輪があった。それは一般的な宝石の付いた指輪ではなく、魔晶石と呼ばれる特殊な魔石を使用した魔道具職人作の指輪だった。
使用する魔晶石の種類によって魔力を増幅したり、魔法を付与することで様々な使い方ができるようになるらしい。
だがその分お値段も凄い金額だった。さすがはマジックアイテム、普通の指輪が何十個も買える金額である。
リングはミスリル銀製で、メインの魔晶石の周りには小さなダイヤが散りばめられており、優美な雰囲気を醸し出すエレガントな指輪だった。
魔道具としてでなく宝飾品の指輪としての価値も高そうな指輪だ。これがシルエラの左手薬指に輝く姿は素晴らしい。
「その指輪がお眼鏡にかないましたか? 当店お抱えの職人による自慢の指輪でございます。サイズ調節機能も付属しており、聖女様にもお似合いの品とお見受けいたします」
「ありがとうございます」
お試しでつけた指輪が気に入ったご様子。
「魔晶石はいかがなさいますか?」
「それなんですが、一つ魔法付与を試してみたいことがあるので魔晶石単体で購入することできますか?」
「宮代様がご自分で付与されるのですか? かしこまりました。ではこちらの魔晶石をお使いください」
「ありがとうございます。では失礼して・・・・・・」
用意された小さくカットされた魔晶石。魔晶石に触れながら空間収納をイメージしながら魔力を注いでいくと、白っぽかった魔晶石が虹色に輝き始めた。
「おおおっ! 成功したかな?」
虹色に輝く魔晶石、見る角度カットによって様々な色に光輝いている。
「宮代様? いったい何の魔法を付与されたのでしょうか? 長年この仕事に携わっておりますが、私もこのような魔晶石付与は初めてでございます」
「これは空間収納を付与してみたんだけど、残念ながらその収容量は家一軒分くらいしか付与できなかった・・・まあ石のサイズ的にこれが限界かな」
「なっ! 誠に収納系の付与がされているのですか・・・・それも家一軒分とは・・・・もはやこれはアーティファクト級の価値があります」
「そうなの? 俺のスキルなら収容量は無尽蔵だよ? それに比べたら家一軒分なんちっぽけなもんだと思ったけど、凄いんだこれ」
「凄いなんてもんではありません。アイテム袋やストレージの腕輪でも最大で一部屋分でございます。み、宮代様もしよろしければ、この魔晶石。私どもにお譲り頂けないでしょうか? もちろんタダでとはもうしません。当店にある物をお好きなだけお持ちいただいても構いません」
「それはいいけど、ホントにいいの?」
「ええ、構いません。この魔晶石にはそれほどの価値がございます」
「なら遠慮なくご厚意に甘えて、これと同じデザインで後8個用意できますか? 後は魔晶石もいくつか欲しいかな。それとシルエラにネックレスを見繕ってもらっていい?」
「かしこまりました。指輪は在庫が有りませんので出来上がり次第お届け致します。ネックレスや魔晶石はすぐにご用意致します」
「うん。お願いします」
新領地とともに褒美として金子を貰っていたが必要なかったようだ。たかが魔法付与ごときで大げさだと思たけれど、世の中に出回る魔道具の質を考えれば納得かも知れない。問題は悪用されないように使用者登録が必須だといえることだろう。
商人や冒険者などその需要は計り知れず、誰もが欲しがる魔道具だからこそ、盗難防止機能が必要かもしれない。
指輪に魔法を付与していると、店主お勧めだというネックレスを身につけたシルエラが嬉しそうにその姿を見せてきた。
それはなんという破壊力、まさに晴天の霹靂! 首元から胸元にかけて輝く大き目のダイヤ。そして胸元の開いた衣装から谷間がチラリ・・・・もうしんぼう堪りません。これが家だったら押し倒したいくらいだよ。
宝飾店以降、終始にこやかなシルエラ。安土城下でのデートを楽しみ、帰宅の挨拶をするためにラッセリアに会いに来た。
ラッセリアにも指輪の件を報告すると、それはもう喜んでくれた。熱いキスのおまけつきだが、しばらくはラッセリアともお別れだ。
分校の手続きと引継ぎの手配と忙しいらしい。魔動飛行機も預けてあるので帰宅時の心配もない。帰ろうと思えばすぐなのだから。
ラッセリアと学生にたちに見送られて、安土城下を後にした。
魔動機を飛ばして約2時間。二日ぶりにブルストの街に帰ってきた。
「お帰りなさいませご主人様」
「ただいま。セイレーン、俺の留守の間、何もなかったかい?」
「・・・・それがですね・・・・・」
出迎えてくれたメイド長であるセイレーン。
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ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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