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【5話】スコール
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俺はすっと目を細めて地平線を眺めた。
つぶれた形の太陽が海の向こうに隠れようとしている。ブルー、パープル、オレンジのグラデーションが空の端っこを鮮やかに彩っている。
ミャンは俺の横で地面に座り込み、ずぅうんと暗い顔をしている。
……えぇー、なんで君が落ち込んでるのっ⁉
いったいどういう気持ちなの? なんで? なんで?
そんなに落ち込むなら好きとか言わなければ良かったじゃん。謎すぎる。
俺はかける言葉が見つからず、とりあえずフォローする形で、
「それは師匠としてってことだよな? そうなんだよな? なっ?」
「ふふふふふふふぅ……」
笑ったのかと思ってたら、ため息吐かれてしまった。
うつろな目で、浜辺を歩くカニ男を見つめている。
「だって俺はこんなおっさんなんだぜ? 髪はすかすかだし、腹なんかこれ、見てみろよ。はははっ! ぱんぱんすぎて逆につまめもしないんだぜ」
「……」
ミャンはまるで悲嘆に暮れるみたいに眉尻を下げ、うるうるした目で俺を見つめている。
彼女のそんな目は見たことがない。
「うっ……」
俺もなにも言えなくなってしまった。
どうしたものかと思って、頭を掻きながら穏やかな波を見つめていると、
ーーざっぱーん。
木の箱がちょうど浜辺に打ち上げられるところだった。
おそらく商船か何かの積荷が、波に乗って流されてきたのだろう。
「おい、ミャン。積荷だ。見にいこうぜ」
「え、えぇ……」
ミャンはふらりと立ち上がると、肩を落としながら俺の後についてきた。
「よっと」
蓋を開けると、酒瓶が箱いっぱいに敷き詰められていた。
「ラム酒か。それも新物だな」
ラム酒といえばさとうきびを原料とする蒸留酒である。
製造年の他にも、ラベルを見れば産地がわかる。しかし貿易船の積荷であろうから、おおよその交易ルートは絞れるが。現在地を知るのにさほど役立ちはしないだろう。
「箱の傷み具合をみると、かなり長いあいだ海の上をさまよってたみたいだな。とはいえ、ありがたく使わせてもらうか」
この状況で酒という賜物は、そこまで喜ばしいものではないものの、消毒液として有効活用できる。
「うぐっ」
傷口に酒をふりかける。まだ完全に傷は塞がっていないので、かなり沁みる。
ーーきゅぽんっ!
痛みに耐えている俺の横で、小気味いい音がした。
酒瓶のコルクを抜いた音だ。
はっとしてミャンを見る。
瓶を完全に垂直にして、海賊もびっくりするほど、ぐびぐび豪快にラムをあおっていた。
「おっ、ちょい! まてって!」
俺の知る限り、ミャンが酒を飲んでいるところを見たことはない。たいていの地域では十歳にもなれば酒を飲み始めるが、ミャンの場合は酒が苦手だったはず。味ではなく、体質的に合わない。酔いやすいのだ。
あわてて酒瓶をつかみ、ミャンから引き剥がす。
少しこぼれたが、それでも四分の一ほどがなくなっていた。
「なにやってんだ。強い酒だぞ? 飲んでわかるだろ」
「……はい、美味しいです」
「嘘つけ。喉が焼けるだろ。吐き出せ。もったいないとか言わないから」
背中をさすっていると、ミャンはがくんと膝から地面に落ちた。
そのまま膝立ちになって、ぽ~と海を眺めている。
「おい、ミャン? ミャンちゃん?」
「あはははははは!」
とつぜん笑い出した。
「ミャンちゃん、いっきまーす!」
彼女はすっくと立ち上がると、なんの前触れもなく全力疾走。浜辺を歩いてるカニ男に盛大なドロップキックをお見舞いした。
「ミャン! ちょっ、なにやってんだ⁉︎」
慌ててミャンの元に走る。カニ男は恐れをなして逃げ出した。
彼女の肩を掴むと、ふにゃんと急に力が抜けたみたいに体重を預けてきた。
息が荒い。顔は早くも赤くなっている。
「好き、すきぃ、スキ~」
俺の腕の中で甘えた声を出しながら、身悶えるように肩を揺らしていた。どちらかというと駄々をこねているみたいだ。
ぐにゅっと脇腹に押し当てられる胸の感触。強制的にスイッチを押されたみたいに頭の中が真っ白になった。刻一刻と太陽が傾いていくことへの焦りとあいまって、俺は完全に理性を失っていた。
気づけば、ミャンの薄いピンク色をした唇の動きを無意識に目で追っていた。
こんなんじゃだめだ。危険すぎる。
「おい、ミャン。酔ってる場合じゃないぞ!」
ミャンをそっと砂の上に寝かせる。
ぎりぎりで発揮した意思の力だった。
俺はパンと両手で自分の頬をたたき、寄せてくる波に顔面からダイブ。
体温よりはやや低い、心地いい水温だ。
「よし、目が覚めた。日が落ちる前に、薪を集めるぞ!」
夜は魔物の時間だ。一般的に夜活動する魔物は凶暴だと知られている。
そうでなくても闇に対して人は弱いものだ。
「一刻も早く火を焚くぞ……って、言ってもだめか」
ミャンはもう使い物にならない。へべれけ完全体だ。
こうなったら俺が薪を探す他ない。
そう思って俺が駆け出そうとした直後、予想外のことがまたしても起きた。
「あ~、アル様! なんだろこれ! きれ~い!」
まるで俺を足止めするように、仰向けに横たわるミャンが叫んだ。
腕を天に伸ばしている。その手の先に宝石のような物が光っていた。
その程度のことで大声を出すなとも思ったのだが。
「ああっ、それは⁉」
きびすを返して、ミャンの元に駆けもどる。まったくめまぐるしい。
「ミャン、それ見せてみろ」
「これでこんにゃく指輪が作れるねぇ、でへへ」
「それを言うなら婚約だろ。いいから貸してみろ」
間違いない。これは勇者アタリが所持していたレジェンダリークラスの超レアアイテム。
「すべてのステータスを底上げすると言われている。まぼろしの宝玉だ」
何を隠そう。奴はこれをネックレスにして肌身離さず身につけていた。
光を通す角度により色合いが変化することから、美術品としても価値は高い。だが、単なる貴族趣味のアクセサリーで終わってしまっては宝の持ち腐れというものだろう。
「やったね! アル様が宝石に選ばれたんだ!」
ミャンの言うことには一理ある。まさか宝石が海を漂ってこの浜辺にたどり着くなんて、常識では考えがたい。だが、俺は宝石をミャンの手に握らせた。
「ミャン、これはお前にやる。なくすなよ。あとで装身具にしてやるから」
「アル様……」ミャンは不思議そうな目で俺を見上げていた。
これはミャンの門出を祝う餞別の品。ミャンの気持ちは一時の気の迷い、こんな場所でくすぶっている暇はないという神からのメッセージなのかもしれない。
同時に、幸先のよさを暗示するしるしでもあるのだろう。
「思わぬことで時間を取られてしまったな」
立ち上がり、ふたたび薪集めに取り掛かろうとしたその時だった。
ゴゴゴゴと不穏な音が背後から聞こえてきた。まるで地響きのような音だ。
ふりかえり、空を見上げる。
濃紺の空に分厚い黒い雲が広がっていた。
凄まじい速度でこちらに近づいてきている。
暗示とは裏腹に、風までもがうなるように啼きはじめた。
もしかすると、俺はなにか大事なことを読み誤っていたのだろうか。
つぶれた形の太陽が海の向こうに隠れようとしている。ブルー、パープル、オレンジのグラデーションが空の端っこを鮮やかに彩っている。
ミャンは俺の横で地面に座り込み、ずぅうんと暗い顔をしている。
……えぇー、なんで君が落ち込んでるのっ⁉
いったいどういう気持ちなの? なんで? なんで?
そんなに落ち込むなら好きとか言わなければ良かったじゃん。謎すぎる。
俺はかける言葉が見つからず、とりあえずフォローする形で、
「それは師匠としてってことだよな? そうなんだよな? なっ?」
「ふふふふふふふぅ……」
笑ったのかと思ってたら、ため息吐かれてしまった。
うつろな目で、浜辺を歩くカニ男を見つめている。
「だって俺はこんなおっさんなんだぜ? 髪はすかすかだし、腹なんかこれ、見てみろよ。はははっ! ぱんぱんすぎて逆につまめもしないんだぜ」
「……」
ミャンはまるで悲嘆に暮れるみたいに眉尻を下げ、うるうるした目で俺を見つめている。
彼女のそんな目は見たことがない。
「うっ……」
俺もなにも言えなくなってしまった。
どうしたものかと思って、頭を掻きながら穏やかな波を見つめていると、
ーーざっぱーん。
木の箱がちょうど浜辺に打ち上げられるところだった。
おそらく商船か何かの積荷が、波に乗って流されてきたのだろう。
「おい、ミャン。積荷だ。見にいこうぜ」
「え、えぇ……」
ミャンはふらりと立ち上がると、肩を落としながら俺の後についてきた。
「よっと」
蓋を開けると、酒瓶が箱いっぱいに敷き詰められていた。
「ラム酒か。それも新物だな」
ラム酒といえばさとうきびを原料とする蒸留酒である。
製造年の他にも、ラベルを見れば産地がわかる。しかし貿易船の積荷であろうから、おおよその交易ルートは絞れるが。現在地を知るのにさほど役立ちはしないだろう。
「箱の傷み具合をみると、かなり長いあいだ海の上をさまよってたみたいだな。とはいえ、ありがたく使わせてもらうか」
この状況で酒という賜物は、そこまで喜ばしいものではないものの、消毒液として有効活用できる。
「うぐっ」
傷口に酒をふりかける。まだ完全に傷は塞がっていないので、かなり沁みる。
ーーきゅぽんっ!
痛みに耐えている俺の横で、小気味いい音がした。
酒瓶のコルクを抜いた音だ。
はっとしてミャンを見る。
瓶を完全に垂直にして、海賊もびっくりするほど、ぐびぐび豪快にラムをあおっていた。
「おっ、ちょい! まてって!」
俺の知る限り、ミャンが酒を飲んでいるところを見たことはない。たいていの地域では十歳にもなれば酒を飲み始めるが、ミャンの場合は酒が苦手だったはず。味ではなく、体質的に合わない。酔いやすいのだ。
あわてて酒瓶をつかみ、ミャンから引き剥がす。
少しこぼれたが、それでも四分の一ほどがなくなっていた。
「なにやってんだ。強い酒だぞ? 飲んでわかるだろ」
「……はい、美味しいです」
「嘘つけ。喉が焼けるだろ。吐き出せ。もったいないとか言わないから」
背中をさすっていると、ミャンはがくんと膝から地面に落ちた。
そのまま膝立ちになって、ぽ~と海を眺めている。
「おい、ミャン? ミャンちゃん?」
「あはははははは!」
とつぜん笑い出した。
「ミャンちゃん、いっきまーす!」
彼女はすっくと立ち上がると、なんの前触れもなく全力疾走。浜辺を歩いてるカニ男に盛大なドロップキックをお見舞いした。
「ミャン! ちょっ、なにやってんだ⁉︎」
慌ててミャンの元に走る。カニ男は恐れをなして逃げ出した。
彼女の肩を掴むと、ふにゃんと急に力が抜けたみたいに体重を預けてきた。
息が荒い。顔は早くも赤くなっている。
「好き、すきぃ、スキ~」
俺の腕の中で甘えた声を出しながら、身悶えるように肩を揺らしていた。どちらかというと駄々をこねているみたいだ。
ぐにゅっと脇腹に押し当てられる胸の感触。強制的にスイッチを押されたみたいに頭の中が真っ白になった。刻一刻と太陽が傾いていくことへの焦りとあいまって、俺は完全に理性を失っていた。
気づけば、ミャンの薄いピンク色をした唇の動きを無意識に目で追っていた。
こんなんじゃだめだ。危険すぎる。
「おい、ミャン。酔ってる場合じゃないぞ!」
ミャンをそっと砂の上に寝かせる。
ぎりぎりで発揮した意思の力だった。
俺はパンと両手で自分の頬をたたき、寄せてくる波に顔面からダイブ。
体温よりはやや低い、心地いい水温だ。
「よし、目が覚めた。日が落ちる前に、薪を集めるぞ!」
夜は魔物の時間だ。一般的に夜活動する魔物は凶暴だと知られている。
そうでなくても闇に対して人は弱いものだ。
「一刻も早く火を焚くぞ……って、言ってもだめか」
ミャンはもう使い物にならない。へべれけ完全体だ。
こうなったら俺が薪を探す他ない。
そう思って俺が駆け出そうとした直後、予想外のことがまたしても起きた。
「あ~、アル様! なんだろこれ! きれ~い!」
まるで俺を足止めするように、仰向けに横たわるミャンが叫んだ。
腕を天に伸ばしている。その手の先に宝石のような物が光っていた。
その程度のことで大声を出すなとも思ったのだが。
「ああっ、それは⁉」
きびすを返して、ミャンの元に駆けもどる。まったくめまぐるしい。
「ミャン、それ見せてみろ」
「これでこんにゃく指輪が作れるねぇ、でへへ」
「それを言うなら婚約だろ。いいから貸してみろ」
間違いない。これは勇者アタリが所持していたレジェンダリークラスの超レアアイテム。
「すべてのステータスを底上げすると言われている。まぼろしの宝玉だ」
何を隠そう。奴はこれをネックレスにして肌身離さず身につけていた。
光を通す角度により色合いが変化することから、美術品としても価値は高い。だが、単なる貴族趣味のアクセサリーで終わってしまっては宝の持ち腐れというものだろう。
「やったね! アル様が宝石に選ばれたんだ!」
ミャンの言うことには一理ある。まさか宝石が海を漂ってこの浜辺にたどり着くなんて、常識では考えがたい。だが、俺は宝石をミャンの手に握らせた。
「ミャン、これはお前にやる。なくすなよ。あとで装身具にしてやるから」
「アル様……」ミャンは不思議そうな目で俺を見上げていた。
これはミャンの門出を祝う餞別の品。ミャンの気持ちは一時の気の迷い、こんな場所でくすぶっている暇はないという神からのメッセージなのかもしれない。
同時に、幸先のよさを暗示するしるしでもあるのだろう。
「思わぬことで時間を取られてしまったな」
立ち上がり、ふたたび薪集めに取り掛かろうとしたその時だった。
ゴゴゴゴと不穏な音が背後から聞こえてきた。まるで地響きのような音だ。
ふりかえり、空を見上げる。
濃紺の空に分厚い黒い雲が広がっていた。
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