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25話
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商店街にある小さなスーパーマーケットで買い物を済ませて外に出た。
生暖かい空気が俺を包む。
既に日は暮れていた。
俺は調味料とお菓子を入れたレジ袋を片手に、レシートをもう片手の上に広げて睨みつけた。
面倒くさがりのトリエステが家事をしてくれるわけがない。だから俺が掃除も洗濯も自炊も、それに必要な買い物さえも、慣れないながらやってのけているわけだ。
大変なことは大変だが、実際に家事をやってみると意外と楽しいことに気づいた。
しかし問題は別にある。正直ロッジからの仕送りだけでは家計が苦しいのだ。
「けちんぼの集まりだな、血盟の兄弟ってのは。月5万でどうやりくりすればいいんだよ、まったく」
俺は街灯に群がる羽虫を見つめた。
やはりバイトでもするべきだろうか。
いやいや絶対に嫌だ。学校ならともかく、働くのなんて死んでも嫌だ。
こうなったらトリエステが食べるお菓子を減らすしかない。兵糧攻めだ。彼女も事の重大さに気づいたらロッジに掛け合う気にもなるだろう。
そんな考えを巡らせながら、とぼとぼと商店街の通りを歩いていた。
「それにしても渇くな」
顎先に溜まった汗の雫を腕で拭う。
早くも禁断症状が出てきた。唾液が粘つくし、目がしょぼしょぼする。
腹の底で衝動が目覚め出す。その感覚がなんとなく掴めてきた。
こうなれば手っ取り早く由奈氏に頼みたいところだ。しかしそれは駄目らしい。
一回の吸血量が規定内だとしても、短期間で何度も体液交換をすれば相手が感染してしまう。十分に間を取り、その間は別の女を、とっかえひっかえ愉しむ。
━━全部トリエステの言葉だ。俺じゃない。
それに由奈氏を良いように利用するのは、俺の心が痛むというものだ。だから別の手を考えるしかない。
「やさい、やさい……」
俺は商店街にある八百屋の前で立ち止まった。渇きを紛らわすにはアボカドを食べるのがいい。俺の発見だ。
果物だとバナナやルビーグレープフルーツ。ブラッドオレンジは格別良い。肉は逆効果だ。特に牛肉。余計に渇きが激しくなる。
トリエステには迷信だと笑われた。そんなことを調べている暇があったら、ハーレムを作り上げる努力をしたらどうかとも。
できるなら既にやってる。
「アスパラを試してみるか」
俺は銀パットの中に立てかけられているアスパラの束を手に取った。それが売れ残った最後の一束だった。
清潔な銀パットはよく磨かれて鏡のようだった。その表面に向かいの店の様子が映し出されていた。
八百屋の向かいは揚げ物屋だ。煮物などの惣菜もある店である。
良いかもしれないと思った。夕飯を全て手作りするには手間もかかる。一品ぐらいは出来合いのもので代用しよう。
俺は早速、アスパラ一束とトマト一山をレジで買い、八百屋を出た。
そして向かいの揚げ物屋に一歩近づいたところで、ふとある事に気がついた。
見たことのある顔が店頭に立っていた。せっせと揚げ物を紙袋に詰めて客に手渡したりしている。
「ありがとうございます。またのお越しを」
地域密着の店にしては少し固いが、丁寧で好感の持てる接客だった。なにより一生懸命さが伝わってくる。
俺はガラスケースの中のコロッケに焦点を合わせながら、ゆっくりと店の方へ歩み寄った。
「いらっしゃ……」
店員は挨拶の声をぴたりと止めた。
俺はコロッケから顔を上げた。
頭に紺色の頭巾をかぶっている店員の女はさっと目をそらす。それどころか、電子秤《はかり》の後ろにそそくさと顔を隠すように移動した。
俺が背伸びして覗き込むと、女は亀のように首を縮こませて、身体を小さくした。
「コロッケ二つ。それと唐揚げ四つください」
俺は大きく声を張った。それでも返事がないので、もう一度同じ注文を繰り返した。
すると店の奥の調理場から、店主とおぼしき男性が、少し困り顔で現れた。
「いらっしゃい、ごめんね。どうしたの?」
男性は相当な年齢と見受けられた。六十後半ぐらいだろうか。頭は白髪で、腰は少し曲がっているが、元気そうなおじいちゃんだ。穏やかで優しそうな人相をしている。
「ここの店員は挨拶もしないし、こっちの注文も無視するらしいですね」
「それは、すまないね」店主は苦笑いを浮かべた。「いつもの杏ちゃんは愛想がよくて評判なんだけどね」
如月の下の名は杏というのか。なぜだか新鮮な響きだった。
最初から敵意を持たれていたからだろう。警戒と言っても良いかもしれない。きちんと自己紹介されたこともなかったのだ。
「ええと、そちらは……」
店主の柔和な目が、俺の制服の校章をちらりと捉えたのがわかった。
「杏ちゃんの友だちかい?」
「コロッケを注文するまではそうだと信じていました」
「おにいさん、なかなか冗談が上手いね」
「いえ。下校の時も誘ったのですが、なんでもボーイフレンドとの約束があるそうでフラレましたよ」
「はっは」と店主は笑った。「わたしがボーイフレンドか、そいつは嬉しいね」
俺も釣られたように笑うと、ガラスケースから如月杏がちらりと顔を出した。憎々しげな目で俺を睨んでいた。
店主はさらに明朗に笑い声を上げた。
「杏ちゃんも隅に置けないね。こんなに良い男を放っておくなんて失礼だよ」
「ほんとにその通りです」
俺が素直に同意すると、
「少しは謙遜なさいよ」
如月杏は顔を赤くして怒鳴った。
俺が無言で訴えかけるように見つめると、彼女はぴんと背筋を伸ばして、肩を上げ下げさせた。
「えぇ、その通りです」完全な棒読みだ。「ただのバイトでした。ごめんなさい」
「俺は何も言ってないぞ」
「何よ。約束があるって言った時、しゅんとした顔してたくせに」
「意外だな」
「そんなに悪い? 私だって、TPOに合わせて嘘ぐらいつくわよ!」
「アルバイトしてるのが意外って話だよ」
俺たちのやりとりを店主は楽しそうに見ていた。
だが俺は心配もしていた。如月杏は顔を赤くしてはいるが、疲れが顔に現れていた。今朝よりも目の下が青黒くなっている。明らかに体調が悪そうだった。
弱音を吐くのを嫌いそうな彼女だ。無理して気丈に振る舞っているのだろう。
そのことを店主の方も既に気づいていたのかもしれない。それとない形で、帰宅を促した。
「お友だちも来てくださったことだし、今日はもうあがっていいよ」
「とんでもありません」如月杏は健気に歯をみせた。「あと一時間ありますし、最後までやりますよ」
彼女はトングを掴むと、コロッケと唐揚げを紙袋につめ込み始めた。
「あんたが現れるから、店長に余計な気を遣わせちゃったじゃない」
「委員長!」
俺は咎めるように名を呼んだ。冗談を言い合ってる場合じゃないと予感したからだ。
しかし遅かった。悪い予感が的中したのは、直後のことだった。
失神する瞬間の彼女の表情の変化を俺の目はしっかりと捉えていた。
トングが地面に落ちる。
如月杏は、ふらりと倒れ込むように店頭の角に顔面を打ち付けた。
生暖かい空気が俺を包む。
既に日は暮れていた。
俺は調味料とお菓子を入れたレジ袋を片手に、レシートをもう片手の上に広げて睨みつけた。
面倒くさがりのトリエステが家事をしてくれるわけがない。だから俺が掃除も洗濯も自炊も、それに必要な買い物さえも、慣れないながらやってのけているわけだ。
大変なことは大変だが、実際に家事をやってみると意外と楽しいことに気づいた。
しかし問題は別にある。正直ロッジからの仕送りだけでは家計が苦しいのだ。
「けちんぼの集まりだな、血盟の兄弟ってのは。月5万でどうやりくりすればいいんだよ、まったく」
俺は街灯に群がる羽虫を見つめた。
やはりバイトでもするべきだろうか。
いやいや絶対に嫌だ。学校ならともかく、働くのなんて死んでも嫌だ。
こうなったらトリエステが食べるお菓子を減らすしかない。兵糧攻めだ。彼女も事の重大さに気づいたらロッジに掛け合う気にもなるだろう。
そんな考えを巡らせながら、とぼとぼと商店街の通りを歩いていた。
「それにしても渇くな」
顎先に溜まった汗の雫を腕で拭う。
早くも禁断症状が出てきた。唾液が粘つくし、目がしょぼしょぼする。
腹の底で衝動が目覚め出す。その感覚がなんとなく掴めてきた。
こうなれば手っ取り早く由奈氏に頼みたいところだ。しかしそれは駄目らしい。
一回の吸血量が規定内だとしても、短期間で何度も体液交換をすれば相手が感染してしまう。十分に間を取り、その間は別の女を、とっかえひっかえ愉しむ。
━━全部トリエステの言葉だ。俺じゃない。
それに由奈氏を良いように利用するのは、俺の心が痛むというものだ。だから別の手を考えるしかない。
「やさい、やさい……」
俺は商店街にある八百屋の前で立ち止まった。渇きを紛らわすにはアボカドを食べるのがいい。俺の発見だ。
果物だとバナナやルビーグレープフルーツ。ブラッドオレンジは格別良い。肉は逆効果だ。特に牛肉。余計に渇きが激しくなる。
トリエステには迷信だと笑われた。そんなことを調べている暇があったら、ハーレムを作り上げる努力をしたらどうかとも。
できるなら既にやってる。
「アスパラを試してみるか」
俺は銀パットの中に立てかけられているアスパラの束を手に取った。それが売れ残った最後の一束だった。
清潔な銀パットはよく磨かれて鏡のようだった。その表面に向かいの店の様子が映し出されていた。
八百屋の向かいは揚げ物屋だ。煮物などの惣菜もある店である。
良いかもしれないと思った。夕飯を全て手作りするには手間もかかる。一品ぐらいは出来合いのもので代用しよう。
俺は早速、アスパラ一束とトマト一山をレジで買い、八百屋を出た。
そして向かいの揚げ物屋に一歩近づいたところで、ふとある事に気がついた。
見たことのある顔が店頭に立っていた。せっせと揚げ物を紙袋に詰めて客に手渡したりしている。
「ありがとうございます。またのお越しを」
地域密着の店にしては少し固いが、丁寧で好感の持てる接客だった。なにより一生懸命さが伝わってくる。
俺はガラスケースの中のコロッケに焦点を合わせながら、ゆっくりと店の方へ歩み寄った。
「いらっしゃ……」
店員は挨拶の声をぴたりと止めた。
俺はコロッケから顔を上げた。
頭に紺色の頭巾をかぶっている店員の女はさっと目をそらす。それどころか、電子秤《はかり》の後ろにそそくさと顔を隠すように移動した。
俺が背伸びして覗き込むと、女は亀のように首を縮こませて、身体を小さくした。
「コロッケ二つ。それと唐揚げ四つください」
俺は大きく声を張った。それでも返事がないので、もう一度同じ注文を繰り返した。
すると店の奥の調理場から、店主とおぼしき男性が、少し困り顔で現れた。
「いらっしゃい、ごめんね。どうしたの?」
男性は相当な年齢と見受けられた。六十後半ぐらいだろうか。頭は白髪で、腰は少し曲がっているが、元気そうなおじいちゃんだ。穏やかで優しそうな人相をしている。
「ここの店員は挨拶もしないし、こっちの注文も無視するらしいですね」
「それは、すまないね」店主は苦笑いを浮かべた。「いつもの杏ちゃんは愛想がよくて評判なんだけどね」
如月の下の名は杏というのか。なぜだか新鮮な響きだった。
最初から敵意を持たれていたからだろう。警戒と言っても良いかもしれない。きちんと自己紹介されたこともなかったのだ。
「ええと、そちらは……」
店主の柔和な目が、俺の制服の校章をちらりと捉えたのがわかった。
「杏ちゃんの友だちかい?」
「コロッケを注文するまではそうだと信じていました」
「おにいさん、なかなか冗談が上手いね」
「いえ。下校の時も誘ったのですが、なんでもボーイフレンドとの約束があるそうでフラレましたよ」
「はっは」と店主は笑った。「わたしがボーイフレンドか、そいつは嬉しいね」
俺も釣られたように笑うと、ガラスケースから如月杏がちらりと顔を出した。憎々しげな目で俺を睨んでいた。
店主はさらに明朗に笑い声を上げた。
「杏ちゃんも隅に置けないね。こんなに良い男を放っておくなんて失礼だよ」
「ほんとにその通りです」
俺が素直に同意すると、
「少しは謙遜なさいよ」
如月杏は顔を赤くして怒鳴った。
俺が無言で訴えかけるように見つめると、彼女はぴんと背筋を伸ばして、肩を上げ下げさせた。
「えぇ、その通りです」完全な棒読みだ。「ただのバイトでした。ごめんなさい」
「俺は何も言ってないぞ」
「何よ。約束があるって言った時、しゅんとした顔してたくせに」
「意外だな」
「そんなに悪い? 私だって、TPOに合わせて嘘ぐらいつくわよ!」
「アルバイトしてるのが意外って話だよ」
俺たちのやりとりを店主は楽しそうに見ていた。
だが俺は心配もしていた。如月杏は顔を赤くしてはいるが、疲れが顔に現れていた。今朝よりも目の下が青黒くなっている。明らかに体調が悪そうだった。
弱音を吐くのを嫌いそうな彼女だ。無理して気丈に振る舞っているのだろう。
そのことを店主の方も既に気づいていたのかもしれない。それとない形で、帰宅を促した。
「お友だちも来てくださったことだし、今日はもうあがっていいよ」
「とんでもありません」如月杏は健気に歯をみせた。「あと一時間ありますし、最後までやりますよ」
彼女はトングを掴むと、コロッケと唐揚げを紙袋につめ込み始めた。
「あんたが現れるから、店長に余計な気を遣わせちゃったじゃない」
「委員長!」
俺は咎めるように名を呼んだ。冗談を言い合ってる場合じゃないと予感したからだ。
しかし遅かった。悪い予感が的中したのは、直後のことだった。
失神する瞬間の彼女の表情の変化を俺の目はしっかりと捉えていた。
トングが地面に落ちる。
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