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第2話 金魚の糞と言われましたけど何か?

酷すぎる結末

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「……が言ったんだよっ」
「えっ?」
「だから誰が雫にブスって言ったんだよ‼︎」

 小春が話題を切り出したところ、ヒロトが激昂して立ち上がった。
 
「ちょっ、ちょっと落ち着きなよヒロト」

 慌てて小春が宥めたが、ヒロトは怒りが収まらない様子だ。

「仲間が馬鹿にされて落ち着けるかよ! 誰に言われたんだ雫? 俺がそいつをぶっ殺してやるよ!」
「えっ……と、誰だったけかな?」

 眉間にしわを寄せたヒロトを久しぶりに見た。ザ・ロックといった服装と髪型が周囲に威圧感を与えている……だろう。
 一番奥の席で壁向きに座っている為、直接見えないが、店内が静まり返った事から他の客たちが此方へと注目しているのが見て取れる。
 取り敢えずここはファミレスだから落ち着いてとでも言おう。

「ヒロト、ここファミレスだぞ。他の客に迷惑かけんな、兎に角落ち着けって」
 
 偶然にもわたしの思考とトレースしたのだろうか、蓮はそう言い、ヒロトを無理矢理座らせた。
 ヒロトは怒りが収まらない様だが、先ほどよりは落ち着きを取り戻している。
 それにしても相当怒ってらっしゃる。いやいや、他人事では無い。わたしの為に怒ってくれているのだ。
 そして、もう一人の当事者も他人事では無いだろう。
 わたしと背中合わせの席から、カタカタとカップを震わす音が聞こえてくる。
 中学時代、散々嫌がらせをしてきた坂口を庇うつもりも無いが、ぶっ殺される程の事では無いな。

「別に怒ることの程でも無いよ。それに相手は女子だしね」

 ヒロトは相手が女子だと分かると、机をダンッと一つ叩いた。怒りのやり場が無かったのだろう。女子に手をあげる様な人間では無い事は分かっている。

「雫」
「何?」
「もし、虐められてんなら俺たちに直ぐに相談しろよ」

 蓮はヒロトとは正反対に至極落ち着いてそう言ってくれた。
 確かに彼らに相談すれば容易く解決してくれるだろう。……でもそれは嫌なのだ。出来る限り彼らと対等でいたい、というプライドみたいなモノがわたしの中にはあるのだ。

「うん。ありがとう。困ったことが有ったら相談するね。ヒロトもありがと」

 満面の笑顔でそう答えた。
 雰囲気が少し和んだのが分かる。
 丁度、注文したミルクココアが二つテーブルに運ばれた頃、小春は変にヒロトを焚きつけてしまった手前、話題を次へと切り替えた。

「そう言えば、まだ言ってなかったけど、アタシも北高に行く事にしたから」

 彼女はそう言って、澄ました表情でカップを口へと運んだ。

「ゴメンね小春~。折角、青楓高校受かったのに」
「別にいいわよ。高校なんで何処でもいいし」
「小春~。わたしたち死ぬまで友達だよー」
「ちょっ、雫。鼻水出てるわよ! 汚いわねっ」

 うーっ、持つべきものは友達だよね。馬鹿なわたしの為に、皆んな合わせてくれるなんて。
 それにしても蓮とヒロトは小春の話に驚く様子は見せなかった。こうなる事が分かっていたのだろうか?  

「オブリガードだよ」

 わたしは、何故か覚えたポルトガル語の『ありがとう』をここぞとばかりに使ったのだ。

「ホントに雫は変わってるわね。まあ、これで高校も七人一緒か」

 小春のこの言葉に、突如外野が乱入してきた。

「えー! ヒ、ヒロト君も北高に進学するの⁉︎ 聞いてないよ!」

 そう。わたしの後ろの席で背後霊の様に息を殺していた坂口だ。
 そうか。確かコイツも青楓高校に受かったって言ってたっけ。
 よくよく考えたら悲惨だな。ヒロトと同じ学校に行くために頑張って勉強したのに、土壇場でハシゴを外された格好だ。

「誰だお前?」
「え?」

 いやいや、アンタのファンだよ。

「私はヒロト君たちと同じ北中だった坂口 玲奈です」

 振り返り彼女を見ると、しおらしくモジモジとしてらっしゃる。わたしに『チビブス』と吐き捨てた同一人物とはとても思えないぞ。

「北中? 誰だか知らないが、俺が何処の学校に行こうがお前には関係無いだろ」

 どんだけ仲間外に厳しいんだよ。坂口泣きそうになってるし、何かちょっと可哀想に思えてきたよ。

「坂口? 確か雫にブスって言ったのって、同級生の坂口って娘だったよね?」

 小春、もうヤメテあげてー。彼女のHP、もう削るところ無いよ。
 坂口と同じテーブル席に座るモブさん二人も、関係なさそうに振る舞い出してるし。

「か、彼女じゃないよ! 違う坂口って娘だよ。それよりもう遅いし帰ろうよっ」

 わたしたちは、抜け殻の様に立ち尽くす彼女を横目にして、ファミレスを後にしたのだ。

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みんなの感想(1件)

太郎やん
2019.06.12 太郎やん

肝心の蓮だけ何で描写が無いのだろう?
後、さまぁーが中途半端。
タグ詐欺案件では?

解除
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