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第二章
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僕が瞼を開けると、天まで届きそうなくらいに透き通った青空が広がっていた。
だがすぐに、視界の中に黒い影が覆いかぶさった。
「起きたかい?君は強いんだか、弱いんだか、よくわからないね」
エニグマだ。
そうだ、僕は彼と話をしている途中で気を失って……。
「君よりは弱いよ」
僕はそう言って上半身を起こした。
少しめまいが残っている。
身体がふらつく。
「まだダメみたいだね。しばらく寝ているといい」
エニグマが優しく語りかけてくる。
だが、僕を追い込んだのは彼だ。
彼が――僕の心の奥底にある、秘密の部屋の扉を開けようとしたからだ。
あの部屋の鍵は――。
「ふう……」
僕は大きなため息を吐いた。
思い出したくはなかった。
あの部屋に、ずっとしまい込んでいたっていうのに。
エニグマが扉を開けてしまった。
そして僕は、秘密の部屋にしまい込んでいたはずの過去を思い出してしまった。
「ずいぶんと暗い顔をしているね。気分でも悪いのかい」
うるさいな。
少し黙っていられないのかな、こいつは。
こっちは――。
軽く頭を横に振ってみる。
めまいはなくなったようだ。
これなら――。
「もう大丈夫だ」
僕はそう言いながら立ち上がった。
もうふらつきはない。
真正面に立つエニグマを見据える。
すると僕の顔を見て、エニグマが眉をひそめた。
「うん?何か様子が変わったね?」
僕は素っ気なく答える。
「そうかい」
エニグマは肩をすぼめる。
「明らかに違うね。別人のようだよ」
隠していても仕方がない。
エニグマとは真実を語る契約を結んでしまっている。
聞かれてしまえば、答えるしかない。
「そうかもね」
僕の返事に、エニグマが大きく腕を広げて軽く胸をそびやかした。
顔には愉悦の笑みが浮かんでいる。
「おもしろい!やはり君はおもしろいよ。何があった?心境の変化?いや、違う!そんなんじゃない」
エニグマは興味津々に僕の顔を覗き込んでくる。
探るようなまなざしで、僕のつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように見る。
「わからないな。だが何かが変わったのは確かだ」
エニグマは何度も舐めるように僕を見てくる。
左手を口に当て、眉根を寄せて僕を探る。
「雰囲気だけじゃない。人間が入れ替わったかと思うほどに違う」
おおむね当たっている。確かに入れ替わったくらい違うだろう。
すると、ついにエニグマがしびれを切らした。
「降参だ。僕にはわからない。教えてくれ!君に何があった?」
ちっ、やっぱり聞いてきた。
さて、このまま黙っていたらどうなるものか。
契約違反には、一体どんな罰が与えられるのか?
しばらく様子を見てみるか。
だがすぐに、視界の中に黒い影が覆いかぶさった。
「起きたかい?君は強いんだか、弱いんだか、よくわからないね」
エニグマだ。
そうだ、僕は彼と話をしている途中で気を失って……。
「君よりは弱いよ」
僕はそう言って上半身を起こした。
少しめまいが残っている。
身体がふらつく。
「まだダメみたいだね。しばらく寝ているといい」
エニグマが優しく語りかけてくる。
だが、僕を追い込んだのは彼だ。
彼が――僕の心の奥底にある、秘密の部屋の扉を開けようとしたからだ。
あの部屋の鍵は――。
「ふう……」
僕は大きなため息を吐いた。
思い出したくはなかった。
あの部屋に、ずっとしまい込んでいたっていうのに。
エニグマが扉を開けてしまった。
そして僕は、秘密の部屋にしまい込んでいたはずの過去を思い出してしまった。
「ずいぶんと暗い顔をしているね。気分でも悪いのかい」
うるさいな。
少し黙っていられないのかな、こいつは。
こっちは――。
軽く頭を横に振ってみる。
めまいはなくなったようだ。
これなら――。
「もう大丈夫だ」
僕はそう言いながら立ち上がった。
もうふらつきはない。
真正面に立つエニグマを見据える。
すると僕の顔を見て、エニグマが眉をひそめた。
「うん?何か様子が変わったね?」
僕は素っ気なく答える。
「そうかい」
エニグマは肩をすぼめる。
「明らかに違うね。別人のようだよ」
隠していても仕方がない。
エニグマとは真実を語る契約を結んでしまっている。
聞かれてしまえば、答えるしかない。
「そうかもね」
僕の返事に、エニグマが大きく腕を広げて軽く胸をそびやかした。
顔には愉悦の笑みが浮かんでいる。
「おもしろい!やはり君はおもしろいよ。何があった?心境の変化?いや、違う!そんなんじゃない」
エニグマは興味津々に僕の顔を覗き込んでくる。
探るようなまなざしで、僕のつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように見る。
「わからないな。だが何かが変わったのは確かだ」
エニグマは何度も舐めるように僕を見てくる。
左手を口に当て、眉根を寄せて僕を探る。
「雰囲気だけじゃない。人間が入れ替わったかと思うほどに違う」
おおむね当たっている。確かに入れ替わったくらい違うだろう。
すると、ついにエニグマがしびれを切らした。
「降参だ。僕にはわからない。教えてくれ!君に何があった?」
ちっ、やっぱり聞いてきた。
さて、このまま黙っていたらどうなるものか。
契約違反には、一体どんな罰が与えられるのか?
しばらく様子を見てみるか。
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