１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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「事故？それはどんな？」

　エニグマの追及に、僕は戸惑った。

　それというのも、事故とは交通事故のことであり、この世界にはない車の説明からしなければならないからだった。

　だが、それを面倒くさがっても仕方がないし、僕はエニグマが納得できるように丁寧に説明した。


「ふ～ん、車……ね。それは、一度見てみたいものだな」

　僕が説明を終えると、彼は車に興味を持ったようだ。

「こちらの世界にはないから、あちらの世界に行かなければ無理だね」

「科学……か」

　エニグマはこちらの世界の魔法の代わりに発展した、科学全体に興味があるようだった。

「それは、魔法とは別の動力源を持っているんだね？」

「別……だと思うよ。多くは石油などからだし。ただ、僕は魔法の動力源が何かを知らないから、本当のところはわからないけど、でも魔法を使うときに石油燃料を使っているようには見えないから、まあ普通に考えれば別だろうね」

「石油とは？」

「原油を精製したものだね。原油は地下深くに埋まっていて、それを採掘し、精製することで燃料として使えるようになるんだ」

「その原油とやらは、こちらの世界にはないものなのか？」

　僕は両手を広げて肩をすくめた。

「さあ、原油はかなり地下深くに埋まっているというし、何処を掘ればいいかもわからないから、何ともいえないよ」

　エニグマは目を細めて考え込んだ。

「では、もしもあったら？」

「あったら？」

「こちらの世界でも科学が発展すると、君は思うかい？」

　僕は答えに窮した。

「さあ、どうだろうか。こちらの科学はあまりにも未熟だ。だけど、その代わりに魔法が凄く発展している。実際、火を簡単に起こす道具まであるし」

「だから、どうだと？」

　エニグマが鋭い眼差しで僕を穿つ。

　僕はその視線を強い意志で跳ね返す。

「もしかしたら、魔法のさらなる発展のために科学が使用されることになるのかもしれない」

　すると、エニグマの目が再びスーッと細まった。

「つまりそれは、科学と魔法は並び立たず、どちらか一方は、必ずどちらかの風下に従属することになるということかな？」

　僕はまたも両手を広げて肩をすくめた。

「さあ、僕にはわからないね。実際あちらの世界には魔法はないし、こちらの世界では科学は発展していないんだから。仮定の話をしてもわからないし、意味はないんじゃないかな」

　すると、僕を射すくめるようにエニグマが言う。

「君が魔法を使用できないのも、その辺りのことが関わっているのかな？」