1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 エニグマが愉悦の笑みを浮かべて高笑いする。

 彼が嘲笑うのは人間社会か、それとも人間そのものか。

 両方だろう。どちらも彼からすれば嘲笑すべき対象なのだろう。

 そして、僕にとっても。

「君の言う通りだよ。地獄は人間界にこそある。そして悪魔とは……僕にとっては両親だった」

 僕の言葉を受け、エニグマが笑うのを止めた。

 そして、僕を見据えて静かに言う。

「だから殺した?」

 僕はゆっくりと瞼を閉じる。

 そして考える。あのときのことを。

「そうだね。だから殺した。その通りだ。施設から連れ帰らされたあの日。案の定僕は、これまでにない苛烈な暴力の渦に襲われた」

「帰ってすぐにかい?」

「ああ。家に帰るまでは決して彼らは仮面を脱がなかった。ずっと冷たい笑みをその顔に張り付けていた」

「ほう、なかなか」

 エニグマが感心したように言う。

「家に帰るまでは、周囲の目があるからね。彼らは示し合わせていたんだろうと思う」

「それで、帰った早々暴力を?」

「思い出すのも恐ろしいほどの暴力が、僕を待ち受けていた。彼らは口々に僕を罵った。お前のせいで恥をかかされただの、お前のせいでどれだけ苦労をしたかだの、散々に罵りながら、彼らは僕を散々に殴りつけ、蹴り上げた」

「殴られるがままかい?」

「勝てっこないよ。僕の父親だった男はとても大柄で、丸太のような腕をしていたんだ」

「今の君とは違うか」

「そうだね。今の僕なら、一瞬だね。いや、あのときも一瞬だったよ」

 エニグマが眉尻を跳ね上げ、斜に構える。

「どういうこと?勝てっこないんじゃなかったの?」

 僕は軽く息を吐き出す。

「力では勝てない。でも……道具があった」

「ほう、それは?」

「包丁だよ。キッチンにあった包丁で、僕は父親を刺したんだ」

 するとエニグマが不可解な顔をした。

「一瞬のうちに父親を刺したのかい?彼はとても大柄だったんだろう?刺せるものなのかい?」

 僕はそのときのことを思い出し、軽く笑ってしまった。

「こちらの世界と違って、あちらの世界は平和なんだ。だから包丁を自分に向けて構えられることなんて、ほぼないんだよ」

 エニグマが少しだけ驚いた表情をする。

「敵と戦うときがあるだろう?」

「ほとんどないね。喧嘩ならあるけど、ほぼ素手だね。武器を持って戦った経験のある人なんて、ほとんどいないよ」

 エニグマが懐疑的な表情となった。

「それは本当の話かい?」

 僕は大きくうなずいた。

「全部本当だよ。契約しているんだ。嘘を言ったら胸が締め付けられるんじゃないのか?」

 エニグマはまだ信じられない表情のままだ。

「確かに、契約が効いている以上、嘘はつけないが……とても信じられない話だね」
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