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第二章
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「実に興味深いね。やはり君を追いかけていてよかったよ」
しみじみとエニグマが言う。
僕はそれこそ、何の感慨もなく聞いた。
「その後、着替えてからしばらく考えた」
「遺体の処理をどうするか、だね?」
僕は無言でうなずいた。
「途方に暮れたよ。遺体なんてそんな簡単に処理できるものじゃないからね」
「君の世界ではそうなんだね?」
僕はこれまた無言でうなずく。
「こちらの世界とはだいぶ違うね。遺体を処理しようと思うと、様々な手続きが必要になるんだ。でも、そんなことをすればどうしてこの遺体が出たかがバレてしまう。そうなったらお終いだ。本当に困ったよ」
「君の世界でも、親殺しは大罪なんだね?」
「もちろん。だから隠すしかない。そう思った。でも、難しいよね」
するとエニグマが肩をすくめた。
「僕なら簡単に燃やし尽くしてしまうけどね」
「言ったろ。あちらの世界には魔法はない。遺体を跡形もなく消してしまう方法なんて、そう簡単にはないんだ」
「そうなんだ。なら君は、どうしたのかな?」
「どうも出来なかったよ。ただ、立ちすくしていた」
「ずっと?」
「ああ……いや、もしかしたら五分くらいだったのかもしれない。あのときは、時間の感覚とか、なにもかもが狂っていた。だから、正直なところ僕がどれくらい立ちすくしていたのかすら覚えていないんだ」
「ふむ、ということは、その後何かあったということだね?」
僕はうなずいた。
「その通りさ。家の近所のひとたちが、様子を見に来てしまったんだ。たぶん、あいつらの悲鳴を聞きつけたからだと思う」
すると、エニグマが軽く首を傾げた。
「ずいぶんと時間が経っているような気がするけど?君が両親を殺害してから立ち尽くすまでの間に、君は身体についた返り血を洗い流しているんだよね?その後、着替えたと言ったと思うが?」
「そうだね。時間にして十五分くらいだったかな?でもそんなもんだよ。近所のひとたちが悲鳴を聞きつけたところで、そんな簡単には動かない。彼らだって出来れば関わりたくないはずだからね」
「そういうものかね?」
僕はかつてのご近所さんたちの顔を思い浮かべた。
「そういうものさ。近所といったって、親しい間柄ってわけじゃない。基本的には無関心なんだ。ただ、あのときのあいつらの悲鳴はただ事じゃなかったからね。さすがに見て見ぬふりは出来なかったんじゃないかな。だからといってすぐに駆けつけて、僕の家の中に踏み込むなんてことは出来やしない。だから彼らは、警察を呼んだんだ」
しみじみとエニグマが言う。
僕はそれこそ、何の感慨もなく聞いた。
「その後、着替えてからしばらく考えた」
「遺体の処理をどうするか、だね?」
僕は無言でうなずいた。
「途方に暮れたよ。遺体なんてそんな簡単に処理できるものじゃないからね」
「君の世界ではそうなんだね?」
僕はこれまた無言でうなずく。
「こちらの世界とはだいぶ違うね。遺体を処理しようと思うと、様々な手続きが必要になるんだ。でも、そんなことをすればどうしてこの遺体が出たかがバレてしまう。そうなったらお終いだ。本当に困ったよ」
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「もちろん。だから隠すしかない。そう思った。でも、難しいよね」
するとエニグマが肩をすくめた。
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「言ったろ。あちらの世界には魔法はない。遺体を跡形もなく消してしまう方法なんて、そう簡単にはないんだ」
「そうなんだ。なら君は、どうしたのかな?」
「どうも出来なかったよ。ただ、立ちすくしていた」
「ずっと?」
「ああ……いや、もしかしたら五分くらいだったのかもしれない。あのときは、時間の感覚とか、なにもかもが狂っていた。だから、正直なところ僕がどれくらい立ちすくしていたのかすら覚えていないんだ」
「ふむ、ということは、その後何かあったということだね?」
僕はうなずいた。
「その通りさ。家の近所のひとたちが、様子を見に来てしまったんだ。たぶん、あいつらの悲鳴を聞きつけたからだと思う」
すると、エニグマが軽く首を傾げた。
「ずいぶんと時間が経っているような気がするけど?君が両親を殺害してから立ち尽くすまでの間に、君は身体についた返り血を洗い流しているんだよね?その後、着替えたと言ったと思うが?」
「そうだね。時間にして十五分くらいだったかな?でもそんなもんだよ。近所のひとたちが悲鳴を聞きつけたところで、そんな簡単には動かない。彼らだって出来れば関わりたくないはずだからね」
「そういうものかね?」
僕はかつてのご近所さんたちの顔を思い浮かべた。
「そういうものさ。近所といったって、親しい間柄ってわけじゃない。基本的には無関心なんだ。ただ、あのときのあいつらの悲鳴はただ事じゃなかったからね。さすがに見て見ぬふりは出来なかったんじゃないかな。だからといってすぐに駆けつけて、僕の家の中に踏み込むなんてことは出来やしない。だから彼らは、警察を呼んだんだ」
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