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第二章
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「ほう、あの亡国の王女を。彼女を大陸統一の女王にでもするつもりかい?」
「聞こえなかったのか?まずはアルデバラン王国を取り戻す。その後のことは、そのとき考えると言っただろう」
「だが、アルデバランを王女に与えたら、その後も引き続きってことになるのじゃないか?」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
「そうでない、とは?」
「そこで終えることもあるだろう」
「そこで打ち止めってことかい?それはまた、つまらないことを言う」
「だから言ったろう。お前を楽しませるために俺は生きてはいない」
エニグマがスッと視線を下げる。
そして、何事かを考えている。
俺は、それを待った。
すると、エニグマがゆっくりと顔を上げた。
「あの王女に義理立てするのは、何か意味があるのかね?」
下衆の勘繰りだ。
「そんなんじゃない。彼女は健気だ。だから力を貸す。それだけだ」
エニグマが嫌らしい笑みを口元に浮かべる。
「ほんとうに~?」
ちっ!面倒くさい奴だ。
「俺は確かに人格が入れ替わったが、だからといって今の俺も彼女を嫌いなわけじゃない。共に旅をしたんだ。肩入れするのは当然だろう」
だがエニグマの笑みは消えない。
「それだけかい?」
「それだけだ。お前は、俺が彼女に恋心を抱いていると思っているようだが、そんなんじゃない。どちらかと言えば、姉的存在だよ」
「そういう風には見えないけど?」
俺は深い溜息を吐いた。
「お前がどう思おうが勝手だが、今の『俺』も前の『僕』も、アリアスのことは姉のように思っている。俺はな、一人っ子だったんだよ」
エニグマが意外そうな顔をした。
「ふむ、だから姉が欲しかったと?」
「そうだ。『俺』も『僕』も、どちらも兄弟が欲しかったんだ。それも、自分を守ってくれるかもしれない姉や兄が欲しかったんだろう。これは本心だ。だいたい、もし嘘だったら俺の心臓は今頃また痛み出しているはずだろう?」
「確かに……じゃあ君は本当にあの王女のことは姉のように思っているだけだと?」
「だからそうだって言っているだろう」
「では……あの男……なんと言ったか……」
ああ、面倒くさい。こいつが思い浮かべているのは、たぶん彼だな。
「アルフレッド・バーンのことか?」
「そう!その彼についてはどうなんだい?」
なんでもかんでも覗いていたんだな、この悪魔。
「快く思っているよ。窮地に駆けつけてくれたしね」
「つまり、兄のように思っていると」
俺は正直に答えた。
「そうだな。アルフレッド自身も俺の兄貴のように振舞ってるし、俺もそういう振る舞いが嫌いじゃない。だからアルフレッドのことも、俺は兄のように思っているんだと思う」
「聞こえなかったのか?まずはアルデバラン王国を取り戻す。その後のことは、そのとき考えると言っただろう」
「だが、アルデバランを王女に与えたら、その後も引き続きってことになるのじゃないか?」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
「そうでない、とは?」
「そこで終えることもあるだろう」
「そこで打ち止めってことかい?それはまた、つまらないことを言う」
「だから言ったろう。お前を楽しませるために俺は生きてはいない」
エニグマがスッと視線を下げる。
そして、何事かを考えている。
俺は、それを待った。
すると、エニグマがゆっくりと顔を上げた。
「あの王女に義理立てするのは、何か意味があるのかね?」
下衆の勘繰りだ。
「そんなんじゃない。彼女は健気だ。だから力を貸す。それだけだ」
エニグマが嫌らしい笑みを口元に浮かべる。
「ほんとうに~?」
ちっ!面倒くさい奴だ。
「俺は確かに人格が入れ替わったが、だからといって今の俺も彼女を嫌いなわけじゃない。共に旅をしたんだ。肩入れするのは当然だろう」
だがエニグマの笑みは消えない。
「それだけかい?」
「それだけだ。お前は、俺が彼女に恋心を抱いていると思っているようだが、そんなんじゃない。どちらかと言えば、姉的存在だよ」
「そういう風には見えないけど?」
俺は深い溜息を吐いた。
「お前がどう思おうが勝手だが、今の『俺』も前の『僕』も、アリアスのことは姉のように思っている。俺はな、一人っ子だったんだよ」
エニグマが意外そうな顔をした。
「ふむ、だから姉が欲しかったと?」
「そうだ。『俺』も『僕』も、どちらも兄弟が欲しかったんだ。それも、自分を守ってくれるかもしれない姉や兄が欲しかったんだろう。これは本心だ。だいたい、もし嘘だったら俺の心臓は今頃また痛み出しているはずだろう?」
「確かに……じゃあ君は本当にあの王女のことは姉のように思っているだけだと?」
「だからそうだって言っているだろう」
「では……あの男……なんと言ったか……」
ああ、面倒くさい。こいつが思い浮かべているのは、たぶん彼だな。
「アルフレッド・バーンのことか?」
「そう!その彼についてはどうなんだい?」
なんでもかんでも覗いていたんだな、この悪魔。
「快く思っているよ。窮地に駆けつけてくれたしね」
「つまり、兄のように思っていると」
俺は正直に答えた。
「そうだな。アルフレッド自身も俺の兄貴のように振舞ってるし、俺もそういう振る舞いが嫌いじゃない。だからアルフレッドのことも、俺は兄のように思っているんだと思う」
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