1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 すると、俺たちを取り囲む集団を掻き分け、ひときわ背の高い者が姿を現した。

 間違いない。あの個体だ。

 エニグマがその個体に向かって言う。

「やあ、さっきの君だね。大丈夫、怖がらなくていい」

 個体は怯えた表情ながらも、何度もうなずいた。

 エニグマは俺の方を手で指し示す。

「紹介しよう。彼はカズマ・ナカミチ。今後、君たちの主人となる男だ」

 周囲が騒めく。どうやら全員言葉を発することはできないようだが、理解はできるようだ。

 すると個体がうなずき、周囲の者たちに向かって何やら言った。

 いや、言ったというよりうめき声を上げたといったところか。少なくとも俺には何を言っているのかわからなかった。

 だが、すぐにその意味が分かった。

 彼らが皆、俺に向かってひざまずいたからだ。

 皆その場で膝を折って地面に付け、俺に向かって頭を下げたのだ。

 俺は驚き、どうしたらいいか戸惑った。

 すると、エニグマがすかさず言った。

「これで君は彼らの主人となった。あの黄金も君が好きにするといい。それに、仇を取るつもりなら、彼らを殺すのも自由だよ」

 ひざまずいた者たち皆に、一斉に動揺が走った。

 俺は深い溜息を吐いた。

「ひとつ聞きたいことがある。ゼロスの一族……黒ヒョウみたいな一族をお前たちは皆殺しにしたな?」

 個体が顔を上げ、怯えながらうなずく。

「何故した?お前たちの意志か?それとも、誰かに命令されたのか?」

 後者の方で、個体が一生懸命にうなずいた。

「その命令をしたのは、あの神殿の悪魔、グラドゥスか?」

 個体はまたも一生懸命にうなずいた。

 やはりか。ならば――

「わかった。それならば、お前たちの命を取るつもりはない。お前たちは命令に従っただけなのだからな」

 個体の顔に喜色が浮かぶ。

 他の連中も頭を下げたままながら、喜んでいるのがわかった。

 そこで、エニグマが言った。

「理由を聞かなくていいのかい?」

「理由?なんの?」

「グラドゥスが彼らに、ゼロスの一族を襲わせた理由さ」

 ああ、確かに。

 俺は個体に向き直り問いかけた。

「知っているか?」

 個体がゆっくりとうなずいた。

 俺は驚いた。まさか、理由を知っているとは思わなかったからだ。

 俺は当然のことながら急いで問いかけた。

「教えてくれ。何故グラドゥスは、お前たちにゼロスの一族を襲わせたんだ?」

 個体は少し戸惑ったものの、すぐにひざまずくと、地面に指で円を描いた。

 その絵を見て、俺はすぐさまピンときた。

「それはもしかして、ゼロスの一族に代々伝わるという秘宝のことか?」
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