1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 ゼロスの言葉が、俺の心の奥底に染み渡っていくのを感じる。

 ああ、救われる。そう言ってもらえて、ほんとうにありがたい。

 あいつらは俺の生命と尊厳を踏みにじり続けた。実に不愉快極まる存在であり、心底忌むべき者たちだったと思う。

 そうだ。だから俺は排除した。俺自身の生命と尊厳を護る為に、奴らを払いのけただけだ。

 あれは、正当防衛だった。そうだ。そうに違いない。

「……カズマ、どうした、カズマ!」

 レノアが不審げに、俺の顔を覗き込んでいる。

「あ、ああ。レノア」

「大丈夫か?少し顔色が悪いようだけど」

 レノアが今度は心配そうに俺の顔を見つめている。

「大丈夫だ。ちょっと考え事をしていただけだ」

「そうか。ならいいが……それにしても、人格が入れ替わっただけで、骨格までも変わるものなのか」

 それは俺もいまだに信じがたい。

「俺はまだ自分自身の姿や顔を見ていない。だが、エニグマも驚いていたよ」

「あの悪魔ですらそうなのか。なおさら奇妙なことだ。どうも僕には、何らかの不思議な力が加わっているように思えるのだが……」

「不思議な力か……」

 もしや、あの声の主だろうか。エニグマのいう所の特殊な神が、俺の身体に何らかの作用を及ぼしたのだろうか。

 わからない。もしもまた、あの声が聞こえたら聞いてみたいところだが。

「ところで、あの灰色の種族が君たちに対してひざまずいていたようだが……」

 レノアが俺の思考を遮って問いかけてきた。

 その話もしないわけにはいかない。

 俺は、灰色の種族であるラーズ族と、彼らを支配していたグラドゥスという悪魔のことを、レノアたちに説明した。

 どうやらふたりは、エニグマとグラドゥスの戦いをここから見ていたらしい。とはいっても、巻き上がる炎を目撃したり、爆発音を聞いたりしただけらしいが。

 とはいえ、グラドゥスが飛び去るところも見ていたのはよかった。信ぴょう性が増すからだ。

「そうか、あの戦いは、僕はてっきりカズマだとばかり思っていたよ」

 俺は肩をすくめた。

「俺はまったく歯が立たなかったよ」

 レノアが身体をぶるっと震わせた。

「君でかい?それは途方もないな。君でそれなら、やはり悪魔というのは……」

「想像の埒外といっていい。とてもじゃないが、今の俺では勝てる気がしない」

「そうか。しかし、その……グラドゥスか。その悪魔がラーズ族をそそのかして、ゼロスの一族を襲わせたんだな?」

「間違いない。グラドゥスの命令で、ゼロスの持つ秘宝を奪うつもりだったらしい」

「やはり、原因はあれか……あの秘宝の正体を、知っていたんだろうか?」

「彼らラーズ族は知らない。だが、グラドゥスは当然知っていたと思う。でなければ襲わせる理由がないからな」
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