160 / 417
第二章
422
しおりを挟む
レノアの問いに、ゼロスがうつむき、しばしの間考え込んだ。
ようやく考えがまとまったゼロスは、顔を上げて自らの推理を述べた。
「口や舌の形や動きが、人語を話すことに適しているのではないだろうか」
「なるほど……言われてみれば確かに、ゼロスの口は僕たちと同じくらいよく動く。それに言葉とは、声帯を震わせて発するものだ。ゼロスの口は、それに適しているってことか」
「うむ。他のモンスターたちは、まず細かな発声をすることが出来ないのではないか?口を微妙に動かし、形を作って声帯を震わす。そうしたことで言葉となるわけだからな」
「納得だ。なら他のモンスターたちも、もしかしたら訓練次第で発声が可能になるかもしれない」
俺は、レノアの言葉に驚いた。
「本当か?だとしたら凄いぞ。連携がとりやすくなる」
レノアが笑みを浮かべた。
「ああ。全員は無理かもしれないけど、ある程度の数が言葉を話せるようになったら、細やかな戦術も可能となる。そうなれば、大変な戦力アップになるだろう」
「全員は無理なのか?」
「ゼロスが言ったように、口や舌の形で物理的にしゃべることが出来ない種族も多いと思う。たとえばオロチなんて、絶対に無理だと思うよ」
確かに、オロチはほとんど蛇だ。あの口や舌の形でしゃべることは、まず不可能だな。
「巨人族のノワールサイクロプスなんかは、比較的いけそうだな」
「ああ。彼は鍛えればなんとかなりそうだね。それ以外にも試したい個体はいるね」
「なら、早速帰って訓練しないとな」
「よし、では出発しよう」
レノアが、喜び勇んで椅子から立ち上がった。
俺も続いて立ち上がる。
ゼロスもスラリとした四肢を伸ばして立ち上がった。
俺たちが立ちあがったのを見て、村長がゆっくりとした足取りでこちらに来た。
「もう行かれるか」
俺は軽く会釈をしつつ、言葉を返した。
「ありがとう。とても美味しかった」
レノアも続く。
「うん!本当に美味しかった。またいつかこの村を訪れたら、あの肉の塊にかぶりつきたいくらいだよ」
村長は満面の笑みを浮かべた。
「ぜひともいらしてくれ。歓迎するぞ」
ゼロスが口を開く。
「世話になった。またいずれ会おう」
村長がうなずく。
「うむ。またな」
俺たちは挨拶を済ますと歩き出した。
村長宅を出ると、村人たちが集まっていた。
口々に「もう帰るのか」「もっとゆっくりしていったらどうだ」と言ってくれる。
だが先は長い。
俺たちは、村人たちとの別れの挨拶を済ますと、次なる目的地レボーナの町を目指した。
ようやく考えがまとまったゼロスは、顔を上げて自らの推理を述べた。
「口や舌の形や動きが、人語を話すことに適しているのではないだろうか」
「なるほど……言われてみれば確かに、ゼロスの口は僕たちと同じくらいよく動く。それに言葉とは、声帯を震わせて発するものだ。ゼロスの口は、それに適しているってことか」
「うむ。他のモンスターたちは、まず細かな発声をすることが出来ないのではないか?口を微妙に動かし、形を作って声帯を震わす。そうしたことで言葉となるわけだからな」
「納得だ。なら他のモンスターたちも、もしかしたら訓練次第で発声が可能になるかもしれない」
俺は、レノアの言葉に驚いた。
「本当か?だとしたら凄いぞ。連携がとりやすくなる」
レノアが笑みを浮かべた。
「ああ。全員は無理かもしれないけど、ある程度の数が言葉を話せるようになったら、細やかな戦術も可能となる。そうなれば、大変な戦力アップになるだろう」
「全員は無理なのか?」
「ゼロスが言ったように、口や舌の形で物理的にしゃべることが出来ない種族も多いと思う。たとえばオロチなんて、絶対に無理だと思うよ」
確かに、オロチはほとんど蛇だ。あの口や舌の形でしゃべることは、まず不可能だな。
「巨人族のノワールサイクロプスなんかは、比較的いけそうだな」
「ああ。彼は鍛えればなんとかなりそうだね。それ以外にも試したい個体はいるね」
「なら、早速帰って訓練しないとな」
「よし、では出発しよう」
レノアが、喜び勇んで椅子から立ち上がった。
俺も続いて立ち上がる。
ゼロスもスラリとした四肢を伸ばして立ち上がった。
俺たちが立ちあがったのを見て、村長がゆっくりとした足取りでこちらに来た。
「もう行かれるか」
俺は軽く会釈をしつつ、言葉を返した。
「ありがとう。とても美味しかった」
レノアも続く。
「うん!本当に美味しかった。またいつかこの村を訪れたら、あの肉の塊にかぶりつきたいくらいだよ」
村長は満面の笑みを浮かべた。
「ぜひともいらしてくれ。歓迎するぞ」
ゼロスが口を開く。
「世話になった。またいずれ会おう」
村長がうなずく。
「うむ。またな」
俺たちは挨拶を済ますと歩き出した。
村長宅を出ると、村人たちが集まっていた。
口々に「もう帰るのか」「もっとゆっくりしていったらどうだ」と言ってくれる。
だが先は長い。
俺たちは、村人たちとの別れの挨拶を済ますと、次なる目的地レボーナの町を目指した。
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。