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第二章
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俺たちは、あてがわれた一室で休息をとることにした。
だが、当然のことながら寝る気にはなれない。
俺もレノアも、ソファーやベッドに身体を横たえてはいるものの、その目は大きく見開かれていた。
そんな俺たちを見て、ふかふかのカーペットの上に横たわるゼロスが苦言を呈した。
「お前たち、眠れなくとも、目は閉じていろ。それだけでも、視覚情報が遮断されて休めるぞ」
俺は天井を見つめながら答えた。
「わかった」
俺はゆっくりと瞼を閉じる。横のレノアも、ゼロスに言われた通りにするらしい。
「わかったよ」と静かに答えた。
長く、沈黙が流れる。だが、どれだけ経っても、誰も寝る者はいない。ただ、時が流れた。
俺たちが休みに入って二時間ほどが経った頃だろうか。
壮年の男が足早に部屋に入ってきた。
「お休みのところ、失礼します!第二報が入ってきました!」
俺は反射的に、ソファーから上半身を勢いよく起こした。
横のレノアも同様だ。いや、レノアに至ってはベッドから起き上がっただけではなく、すぐさま下り、男に駆け寄っている。
「教えて!すぐに!」
男は、駆け寄るレノアに右手でソファーにかけるよう促しつつ、左手に持った紙を目の高さに上げる。
そしてゆっくりと読み上げた。
「まず、アリアス王女殿下のお怪我は、全治一か月ほどだそうです」
俺は大きく深呼吸する。
よかった。それなら軽傷といえる。いや、この世界には治癒魔法がある。凄腕の魔導師もいる。彼らが全力を傾けても、一か月かかるということは、もしかしたらやはり重傷だったということだろうか。
だが、ソファーに腰かけたレノアを見ると、ほっと胸をなでおろしている。
まあ、なんにせよ、大事には至らないということだ。ならば今は、それをよろこぼう。
壮年の男はさらに読み上げる。
「続いて事件のあらましですが、王女殿下邸の地下牢に拘留されていたゼークル伯を、ワイズマンが秘密裏に連れて逃げ出そうとした際、戦闘となり、アリアス王女殿下が怪我を負われた模様です」
レノアの眉根がキュッと寄る。
「なぜ王女殿下が、戦闘に巻き込まれたんだ?」
壮年の男は、手元の数枚の紙をめくって確かめる。だがしばらくして首を横に振った。
「もうしわけありません。そこまでの詳細は書いてありません」
「わかりました。では、わかることだけお願いします」
努めて冷静にレノアが言った。
もう大丈夫だろう。レノアは落ち着きを取り戻している。
男は手元の紙に視線を落とし、横に視線を動かして何行か黙読し、あらためて口を開いた。
「ゼークル伯、ワイズマンともに現在逃走中とのことです」
だが、当然のことながら寝る気にはなれない。
俺もレノアも、ソファーやベッドに身体を横たえてはいるものの、その目は大きく見開かれていた。
そんな俺たちを見て、ふかふかのカーペットの上に横たわるゼロスが苦言を呈した。
「お前たち、眠れなくとも、目は閉じていろ。それだけでも、視覚情報が遮断されて休めるぞ」
俺は天井を見つめながら答えた。
「わかった」
俺はゆっくりと瞼を閉じる。横のレノアも、ゼロスに言われた通りにするらしい。
「わかったよ」と静かに答えた。
長く、沈黙が流れる。だが、どれだけ経っても、誰も寝る者はいない。ただ、時が流れた。
俺たちが休みに入って二時間ほどが経った頃だろうか。
壮年の男が足早に部屋に入ってきた。
「お休みのところ、失礼します!第二報が入ってきました!」
俺は反射的に、ソファーから上半身を勢いよく起こした。
横のレノアも同様だ。いや、レノアに至ってはベッドから起き上がっただけではなく、すぐさま下り、男に駆け寄っている。
「教えて!すぐに!」
男は、駆け寄るレノアに右手でソファーにかけるよう促しつつ、左手に持った紙を目の高さに上げる。
そしてゆっくりと読み上げた。
「まず、アリアス王女殿下のお怪我は、全治一か月ほどだそうです」
俺は大きく深呼吸する。
よかった。それなら軽傷といえる。いや、この世界には治癒魔法がある。凄腕の魔導師もいる。彼らが全力を傾けても、一か月かかるということは、もしかしたらやはり重傷だったということだろうか。
だが、ソファーに腰かけたレノアを見ると、ほっと胸をなでおろしている。
まあ、なんにせよ、大事には至らないということだ。ならば今は、それをよろこぼう。
壮年の男はさらに読み上げる。
「続いて事件のあらましですが、王女殿下邸の地下牢に拘留されていたゼークル伯を、ワイズマンが秘密裏に連れて逃げ出そうとした際、戦闘となり、アリアス王女殿下が怪我を負われた模様です」
レノアの眉根がキュッと寄る。
「なぜ王女殿下が、戦闘に巻き込まれたんだ?」
壮年の男は、手元の数枚の紙をめくって確かめる。だがしばらくして首を横に振った。
「もうしわけありません。そこまでの詳細は書いてありません」
「わかりました。では、わかることだけお願いします」
努めて冷静にレノアが言った。
もう大丈夫だろう。レノアは落ち着きを取り戻している。
男は手元の紙に視線を落とし、横に視線を動かして何行か黙読し、あらためて口を開いた。
「ゼークル伯、ワイズマンともに現在逃走中とのことです」
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