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第二章
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「ワイズマン……悪い男には見えなかった……」
俺は呟くように言った。
レノアが、一瞬カッとしたような表情をするも、ゼロスの言葉を思い出したようで、冷静に返答する。
「君が言う通り、確かに悪い男には見えなかったよ。だから仲間にしたんだ。でもそれは間違いだった……僕の決定的な判断ミスさ」
確かにレノアの言う通りにも思える。だが、果たしてそうだろうか?ワイズマンのあの人懐っこさは、演技だったのだろうか?
俺には、どうしてもそうは思えなかった。
「ワイズマンは何故、俺たちを裏切ったんだろうか?」
レノアがすかさず、激烈に反応する。
「だから!本当は、悪人だったってことだよ。それ以外にないよ」
レノアは、初めこそは怒りをあらわにしたものの、途中からは落ち着いた声音で言った。
どうやらゼロスの発言がかなり効いているようで、自分の精神をコントロールしようと悪戦苦闘しているようだ。
俺はその努力を好ましく思った。これから先のことを考えるに、レノアの成長は必須だからだ。
だが今は、ワイズマンのことがどうしても気にかかる。
あのときの俺は、『僕』だった。施設で見た小説の主人公をトレースした性格の、『僕』だった。
『僕』は甘ちゃんで、他人を見る目なんてない、おひとよしだ。だからすぐに他人を信じてしまう。
だが今は、本来の『俺』だ。『僕』と違って、甘さなんてない。
その俺の目で、あのときのワイズマンを反芻している。
声、表情、ジェスチャー、どれも自然体だったと思う。とても演技をしていたようには見えない。
だが報告では、ワイズマンが裏切り、アリアスを傷つけたとある。
俺にはどうしても、記憶の中のワイズマンと、報告にあるワイズマンとの整合性が取れなかった。
「やはり、次なる報告を待つしかないな」
俺がぼそっと呟いた。
レノアがひとつ大きく深呼吸する。
「そうだね。やはり、まだわからないことでいっぱいだ。詳報を待つしかないよ」
レノアがそう言ったところで、アッという顔をする。
俺はいぶかしみ、問いかけた。
「どうした?」
レノアは何かを思い出したように言う。
「王都へ帰還するためのルートを、決めておいてくれたか、まだ聞いてない」
なんだ、そのことか。俺はてっきり、ワイズマンのことで何かを思い出したのかと思ったが。
だが重要ではあるか。
「そうだな。こうなったら詳報を得次第、一刻も早く王都に帰還する必要がある。そのためにはルート決めは重要だ」
「その通りだ。ちょっと行ってくる」
レノアは言うなり、部屋を出ていった。
俺は呟くように言った。
レノアが、一瞬カッとしたような表情をするも、ゼロスの言葉を思い出したようで、冷静に返答する。
「君が言う通り、確かに悪い男には見えなかったよ。だから仲間にしたんだ。でもそれは間違いだった……僕の決定的な判断ミスさ」
確かにレノアの言う通りにも思える。だが、果たしてそうだろうか?ワイズマンのあの人懐っこさは、演技だったのだろうか?
俺には、どうしてもそうは思えなかった。
「ワイズマンは何故、俺たちを裏切ったんだろうか?」
レノアがすかさず、激烈に反応する。
「だから!本当は、悪人だったってことだよ。それ以外にないよ」
レノアは、初めこそは怒りをあらわにしたものの、途中からは落ち着いた声音で言った。
どうやらゼロスの発言がかなり効いているようで、自分の精神をコントロールしようと悪戦苦闘しているようだ。
俺はその努力を好ましく思った。これから先のことを考えるに、レノアの成長は必須だからだ。
だが今は、ワイズマンのことがどうしても気にかかる。
あのときの俺は、『僕』だった。施設で見た小説の主人公をトレースした性格の、『僕』だった。
『僕』は甘ちゃんで、他人を見る目なんてない、おひとよしだ。だからすぐに他人を信じてしまう。
だが今は、本来の『俺』だ。『僕』と違って、甘さなんてない。
その俺の目で、あのときのワイズマンを反芻している。
声、表情、ジェスチャー、どれも自然体だったと思う。とても演技をしていたようには見えない。
だが報告では、ワイズマンが裏切り、アリアスを傷つけたとある。
俺にはどうしても、記憶の中のワイズマンと、報告にあるワイズマンとの整合性が取れなかった。
「やはり、次なる報告を待つしかないな」
俺がぼそっと呟いた。
レノアがひとつ大きく深呼吸する。
「そうだね。やはり、まだわからないことでいっぱいだ。詳報を待つしかないよ」
レノアがそう言ったところで、アッという顔をする。
俺はいぶかしみ、問いかけた。
「どうした?」
レノアは何かを思い出したように言う。
「王都へ帰還するためのルートを、決めておいてくれたか、まだ聞いてない」
なんだ、そのことか。俺はてっきり、ワイズマンのことで何かを思い出したのかと思ったが。
だが重要ではあるか。
「そうだな。こうなったら詳報を得次第、一刻も早く王都に帰還する必要がある。そのためにはルート決めは重要だ」
「その通りだ。ちょっと行ってくる」
レノアは言うなり、部屋を出ていった。
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