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第二章
432
しばらくして、レノアが部屋に戻ってきた。
「よかったよ。ヴァルトがすでに決めておいてくれていたよ」
「ヴァルト?」
俺の問いに、レノアがはにかんだ笑みを見せる。
「ごめんごめん。ヴァルトっていうのは、さっきの壮年の男性の名前さ」
なるほど。帰還ルートの相談がてら、ついでに名前を聞いたんだな。
「そうか。それで、その帰還ルートでは、どれくらいで王都につけそうなんだ?」
「三日だ」
当初の予想では最短で四日だったはずだ。
「一日短縮できた理由は?」
「デュランドルの詳しい生態によるものだよ」
「……どういう意味だ?」
「僕はデュランドルに関して、通り一遍の知識しかなかったんだけど、どうやら思っていたよりも遥かに長時間移動できるらしいんだ」
「つまり、休憩をあまりとらずに移動するってことか」
「そう。オロチは大蛇だからね。移動は早い。問題はデュランドルだったわけだけど、長い時間休みなく移動できるなら、時間を短縮できるってわけさ」
「なるほどな。だがオロチの方は、移動速度は速いだろうが、長時間休みなくいけるかな?」
「それは確かに、やってみなければわからないね。なにせオロチは未知の生物だ。やはり誰もオロチのことは知らなかったよ」
「やはりそうか。ではラーズ族は?」
「未知だね。もちろんネメセス族も」
レノアの言葉に、ゼロスが反応する。
「そうなのか?」
「うん。少なくともバーン商会が共有するリストの中には、入っていないらしい」
レノアの返答に、レムルがいぶかしむ。
「だが、お前たちも知ってのとおり、わたしはあの森のはずれの村に、姿を現したことがあるのだが」
「七十年前にね。だけど、レムルたちはあの村で人助けをしただろう?ということは、君たちのために報告をしなかった可能性が高いと思う。報告をすれば、もの珍しさから狩りをしようとする者が出ないとは限らない。なにせ、人語を解すだけではなく、話せるなんて聞いたことがないからね。だからそのリスクを恐れて、村外秘にしたんじゃないかな」
「たぶんそれだな。報告すれば、危険を顧みず森へ分け入る輩で一杯になっただろう。もちろん、それらは雇われ人に過ぎないが」
俺の見解に、レノアが同意する。
「ああ、王侯貴族や富豪たちが狙うに決まっている……いや、ちょっと待てよ」
そこでレノアが顎に手を当て、考え込む。
「ということは、今後もゼロスは狙われる可能性があるってことか」
盲点だった。
「そうだな。もっとも、ティラノレギオンの副長となったわけだから、そうは狙われないと思うが……気をつけるに越したことはないだろう」
「よかったよ。ヴァルトがすでに決めておいてくれていたよ」
「ヴァルト?」
俺の問いに、レノアがはにかんだ笑みを見せる。
「ごめんごめん。ヴァルトっていうのは、さっきの壮年の男性の名前さ」
なるほど。帰還ルートの相談がてら、ついでに名前を聞いたんだな。
「そうか。それで、その帰還ルートでは、どれくらいで王都につけそうなんだ?」
「三日だ」
当初の予想では最短で四日だったはずだ。
「一日短縮できた理由は?」
「デュランドルの詳しい生態によるものだよ」
「……どういう意味だ?」
「僕はデュランドルに関して、通り一遍の知識しかなかったんだけど、どうやら思っていたよりも遥かに長時間移動できるらしいんだ」
「つまり、休憩をあまりとらずに移動するってことか」
「そう。オロチは大蛇だからね。移動は早い。問題はデュランドルだったわけだけど、長い時間休みなく移動できるなら、時間を短縮できるってわけさ」
「なるほどな。だがオロチの方は、移動速度は速いだろうが、長時間休みなくいけるかな?」
「それは確かに、やってみなければわからないね。なにせオロチは未知の生物だ。やはり誰もオロチのことは知らなかったよ」
「やはりそうか。ではラーズ族は?」
「未知だね。もちろんネメセス族も」
レノアの言葉に、ゼロスが反応する。
「そうなのか?」
「うん。少なくともバーン商会が共有するリストの中には、入っていないらしい」
レノアの返答に、レムルがいぶかしむ。
「だが、お前たちも知ってのとおり、わたしはあの森のはずれの村に、姿を現したことがあるのだが」
「七十年前にね。だけど、レムルたちはあの村で人助けをしただろう?ということは、君たちのために報告をしなかった可能性が高いと思う。報告をすれば、もの珍しさから狩りをしようとする者が出ないとは限らない。なにせ、人語を解すだけではなく、話せるなんて聞いたことがないからね。だからそのリスクを恐れて、村外秘にしたんじゃないかな」
「たぶんそれだな。報告すれば、危険を顧みず森へ分け入る輩で一杯になっただろう。もちろん、それらは雇われ人に過ぎないが」
俺の見解に、レノアが同意する。
「ああ、王侯貴族や富豪たちが狙うに決まっている……いや、ちょっと待てよ」
そこでレノアが顎に手を当て、考え込む。
「ということは、今後もゼロスは狙われる可能性があるってことか」
盲点だった。
「そうだな。もっとも、ティラノレギオンの副長となったわけだから、そうは狙われないと思うが……気をつけるに越したことはないだろう」
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