１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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　それから、俺たちは仮眠を取った。

　時間は夜だったし、今出発するよりも、詳報を手に入れてからの方がいいと判断したからだ。

　だが、俺とレノアはなかなか寝つけなかった。

　互いに、アリアスを怪我させることになった責任を痛感したからだ。

「カズマ、寝た？」

　隣のベッドから、レノアが声をかけてきた。

「いや、まだだ」

　俺の返答に、レノアが「やっぱりね」と言った。

　だがそれは、お互い様だ。

　俺も、レノアも、気になって眠れないのだ。

「でも眠らないとね。詳報が届いたら、すぐ出発だし」

　レノアがささやくように言った。

　おそらく、すでに寝息を立てているゼロスを気遣ってのことだ。

「そうだな。最短で三日とはいえ、強行軍になる。体力は温存しておかなきゃな」

「特に僕はね。カズマは、たぶん大丈夫さ」

「そうだな。ところで、出発はいつでもできるのか？」

「デュランドルたちを取り囲む騎馬隊の手筈は、すでにヴァルトが用意してくれたから、いつでも出発できるよ」

「そうか。なら、寝よう」

「うん。おやすみ」

「おやすみ」

　俺たちはそれからも、しばらくは互いの寝息を確認できなかったが、一時間もすると、二人とも眠りに落ちた。



「失礼します！」

　壮年の男の声がした。

　誰だったか……そうだ、ヴァルトだ！

　俺は一瞬で眠気が吹っ飛び、飛び起きた。

　それはレノアも、ゼロスも同様だった。

「来ましたか!?」

　レノアがベッドに上半身を起こし、ヴァルトに対し叫ぶように問いかけた。

　ヴァルトはうなずいた。

　レノアは勢いよくベッドから下りると、パンパンと自らの両頬を手のひらで叩いた。

　そして、次の間のリビングを指し示した。

　俺たちは急いでリビングへ移動し、それぞれソファーに腰かけた。

　ヴァルトは手に持った数枚の紙を目の前にかざしつつ、口を開く。

「詳報が参りました」

「お願いします」

　レノアがすかさず応じる。

　ヴァルトはうなずき、読み上げていく。

「まず、アリアス王女殿下のお怪我ですが、右手の甲を斬りつけられた模様です。ですがその傷は浅く、命に別条がないのはもちろん、傷も残らないだろうとのことです」

　この報告に、レノアが喜びの声を上げた。

「そうですか！それはよかった！」

　俺もホッとした。

「まずは吉報だな」

　レノアがうなずく。

「だね。このあとも続くといいけど」

　レノアがヴァルトに向き直ってうなずき、先を促す。

　ヴァルトはさらに読み上げた。

「また、アリアス王女殿下に斬りつけたのは、当初の報告ではワイズマンだとされていましたが、実際はゼークル伯だとのことです」