1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

文字の大きさ
157 / 402
第二章

434

しおりを挟む
「ゼークルのやつめ!絶対に許さないぞ!」

 レノアが反射的に天井を見上げ、叫ぶように言った。

 俺も同感だ。

「斬りつけたのは、ゼークルだったか。だが、ワイズマンもその場にいたんじゃないのか?」

 俺の問いかけに、ヴァルトがうなずく。

「おっしゃる通りです。ゼークル伯が、ワイズマンとともに館から脱出しようとした際、王女殿下と運悪く出くわし、先頭にいたワイズマンが弁明をしている際に、ゼークル伯が後ろから、ワイズマンが腰に差していた短剣を抜き放ち、殿下に斬りつけた模様です」

「ゼークル!あの卑怯者!ワイズマンの影から殿下に斬りかかったのか!」

 レノアが怒りをにじませ、ソファーの前に置かれた大理石の大きな机を、拳で思いきり叩いた。

 俺は今の報告を聞き、眉根を寄せる。

「斬りつけたのはゼークルでも、ワイズマンがゼークルを連れて逃げ出そうとしていたのは、間違いなさそうだな」

 俺の問いに、ヴァルトが答える。

「はい。ワイズマンは、アリアス王女殿下と出くわした際、殿下に何をしているのかと見とがめられ、「いや、これはその……」などとしどろもどろとなり、殿下がいぶかしんでいるところ、その隙を縫ってゼークル伯が……ということのようです」

「で、その後、一緒に逃げたと」

「そのようです」

「護衛は?」

「二人いたようですが、どうやら殿下の後ろにいた模様です。ワイズマンの後ろに、ゼークル伯が潜んでいたとは思っていなかったようです」

「ちょっと待ってくれ。ゼークルと出くわしたんじゃなかったのか?」

「出くわした場所は廊下の角に当たり、王女殿下や護衛たちからは、先頭のワイズマンしか見えなかった模様です」

「そういうことか。ゼークルは角に隠れて息をひそめていたってわけだ」

「ワイズマンがつけていたというマントのような服も、隠れ蓑に都合が良かったようです」

 ああ、あれか。あのポンチョのような服か。

「それで、アリアスが斬りつけられた後、護衛たちはどうしたんだ?」

「護衛たちは、殿下を護ることに専念したようです。相手は二人のため、犯人逮捕よりも殿下の御身の安全をはかることを優先したのでしょう」

「そして、まんまと逃げられたということか」

「どうやらそのようです」

 結局、ワイズマンがゼークルを逃がしたことには変わりがないということか。

「わかった。他には何か書いてあるか?」

 俺の問いに、ヴァルトが手元の紙をめくる。

 そして最後のページを見て、アッという顔をして早口で言った。

「逃げた先が判明しております!」

「逃げた先が?何処だ?」

「はい。報告によりますと、ゴート公爵の邸宅に逃げ込んだ模様です」
しおりを挟む
感想 324

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。