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第二章
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「ゼークルのやつめ!絶対に許さないぞ!」
レノアが反射的に天井を見上げ、叫ぶように言った。
俺も同感だ。
「斬りつけたのは、ゼークルだったか。だが、ワイズマンもその場にいたんじゃないのか?」
俺の問いかけに、ヴァルトがうなずく。
「おっしゃる通りです。ゼークル伯が、ワイズマンとともに館から脱出しようとした際、王女殿下と運悪く出くわし、先頭にいたワイズマンが弁明をしている際に、ゼークル伯が後ろから、ワイズマンが腰に差していた短剣を抜き放ち、殿下に斬りつけた模様です」
「ゼークル!あの卑怯者!ワイズマンの影から殿下に斬りかかったのか!」
レノアが怒りをにじませ、ソファーの前に置かれた大理石の大きな机を、拳で思いきり叩いた。
俺は今の報告を聞き、眉根を寄せる。
「斬りつけたのはゼークルでも、ワイズマンがゼークルを連れて逃げ出そうとしていたのは、間違いなさそうだな」
俺の問いに、ヴァルトが答える。
「はい。ワイズマンは、アリアス王女殿下と出くわした際、殿下に何をしているのかと見とがめられ、「いや、これはその……」などとしどろもどろとなり、殿下がいぶかしんでいるところ、その隙を縫ってゼークル伯が……ということのようです」
「で、その後、一緒に逃げたと」
「そのようです」
「護衛は?」
「二人いたようですが、どうやら殿下の後ろにいた模様です。ワイズマンの後ろに、ゼークル伯が潜んでいたとは思っていなかったようです」
「ちょっと待ってくれ。ゼークルと出くわしたんじゃなかったのか?」
「出くわした場所は廊下の角に当たり、王女殿下や護衛たちからは、先頭のワイズマンしか見えなかった模様です」
「そういうことか。ゼークルは角に隠れて息をひそめていたってわけだ」
「ワイズマンがつけていたというマントのような服も、隠れ蓑に都合が良かったようです」
ああ、あれか。あのポンチョのような服か。
「それで、アリアスが斬りつけられた後、護衛たちはどうしたんだ?」
「護衛たちは、殿下を護ることに専念したようです。相手は二人のため、犯人逮捕よりも殿下の御身の安全をはかることを優先したのでしょう」
「そして、まんまと逃げられたということか」
「どうやらそのようです」
結局、ワイズマンがゼークルを逃がしたことには変わりがないということか。
「わかった。他には何か書いてあるか?」
俺の問いに、ヴァルトが手元の紙をめくる。
そして最後のページを見て、アッという顔をして早口で言った。
「逃げた先が判明しております!」
「逃げた先が?何処だ?」
「はい。報告によりますと、ゴート公爵の邸宅に逃げ込んだ模様です」
レノアが反射的に天井を見上げ、叫ぶように言った。
俺も同感だ。
「斬りつけたのは、ゼークルだったか。だが、ワイズマンもその場にいたんじゃないのか?」
俺の問いかけに、ヴァルトがうなずく。
「おっしゃる通りです。ゼークル伯が、ワイズマンとともに館から脱出しようとした際、王女殿下と運悪く出くわし、先頭にいたワイズマンが弁明をしている際に、ゼークル伯が後ろから、ワイズマンが腰に差していた短剣を抜き放ち、殿下に斬りつけた模様です」
「ゼークル!あの卑怯者!ワイズマンの影から殿下に斬りかかったのか!」
レノアが怒りをにじませ、ソファーの前に置かれた大理石の大きな机を、拳で思いきり叩いた。
俺は今の報告を聞き、眉根を寄せる。
「斬りつけたのはゼークルでも、ワイズマンがゼークルを連れて逃げ出そうとしていたのは、間違いなさそうだな」
俺の問いに、ヴァルトが答える。
「はい。ワイズマンは、アリアス王女殿下と出くわした際、殿下に何をしているのかと見とがめられ、「いや、これはその……」などとしどろもどろとなり、殿下がいぶかしんでいるところ、その隙を縫ってゼークル伯が……ということのようです」
「で、その後、一緒に逃げたと」
「そのようです」
「護衛は?」
「二人いたようですが、どうやら殿下の後ろにいた模様です。ワイズマンの後ろに、ゼークル伯が潜んでいたとは思っていなかったようです」
「ちょっと待ってくれ。ゼークルと出くわしたんじゃなかったのか?」
「出くわした場所は廊下の角に当たり、王女殿下や護衛たちからは、先頭のワイズマンしか見えなかった模様です」
「そういうことか。ゼークルは角に隠れて息をひそめていたってわけだ」
「ワイズマンがつけていたというマントのような服も、隠れ蓑に都合が良かったようです」
ああ、あれか。あのポンチョのような服か。
「それで、アリアスが斬りつけられた後、護衛たちはどうしたんだ?」
「護衛たちは、殿下を護ることに専念したようです。相手は二人のため、犯人逮捕よりも殿下の御身の安全をはかることを優先したのでしょう」
「そして、まんまと逃げられたということか」
「どうやらそのようです」
結局、ワイズマンがゼークルを逃がしたことには変わりがないということか。
「わかった。他には何か書いてあるか?」
俺の問いに、ヴァルトが手元の紙をめくる。
そして最後のページを見て、アッという顔をして早口で言った。
「逃げた先が判明しております!」
「逃げた先が?何処だ?」
「はい。報告によりますと、ゴート公爵の邸宅に逃げ込んだ模様です」
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