175 / 417
第二章
437
ミラベルトに入ると、案の定大騒ぎとなった。
事前にバーン商会のひとたちによって、都のひとたちに告知されていたとはいえ、デュランドルの巨体は、彼らにとって一大センセーションを巻き起こした。
本来、大通りの中央にある街路樹をすべ事前に伐採し、上り下りの両方の道をすべて通行止めにして行進するデュランドルたちを、都のひとびとは熱狂的に出迎えた。
それは一種、狂乱の様相を呈しているといっても過言ではないほどであり、さすがに俺も驚いた。
「前回のときよりも凄い騒ぎだな」
俺は、長椅子にうつぶせに寝そべっているレノアに向かって言った。
だが、レノアからは返事がない。代わりにゼロスが答えてくれた。
「前回というのは、ティラノレギオンを形成するレアモンスターたちを、大量に連れ帰ったというときのことか?」
「ああ。そのときは各町に立ち寄ったから、どこでも大騒ぎだったんだけど、今回はそれ以上だ」
「やはり、デュランドルの巨体はわかりやすいのだろう」
「そうだな。この熱狂を生んでいるのは、間違いなくデュランドルだろう」
デュランドルは、俺たちが乗る馬車のすぐ後ろを行進している。
その雄姿は朝日に照らされ、神々しささえ感じられる。
そりゃあ熱狂もするか。
「でも、ゼロスがしゃべることが出来ると知ったら、さらに大騒ぎになりそうだ」
そう言うと、ゼロスが軽く首をひねった。
「わたしは、しゃべらない方がよさそうだな」
俺も少し考え込む。
「そうだな……確かに、あまりしゃべらない方がよさそうだ。事情を知る者たちだけがいるところなら、しゃべっても問題ないが、知らない者がいるときには、あまりしゃべらない方がいいかもしれない」
「わかった。そうしよう」
「頼む。ゼロスの存在は、デュランドル以上に貴重だからな。俺たちもゼロスが変なことに巻き込まれないよう、細心の注意を払うようにするよ」
「そうか。面倒をかけるな」
「何を言うんだ。面倒をかけているのは俺たちの方だよ」
すると、ゼロスが笑みを浮かべた。
「正直わたしは今、少し興奮している」
俺は驚き、問い返した。
「ゼロスがか?」
「わたしが知る人間たちは、あの小さな集落の者たちとお前たちだけだ。だが、この町には……いや、都か。ここには、恐ろしいほどの数の人間がいる。そして、この大きな家々……人間とは、凄いものだな」
ゼロスが感慨深げに、外の景色を見つめる。
俺は何度か小さくうなずいた。
「確かに、凄いかもしれない。だが、どうだろうな。面倒ごとも多いと思うよ」
事前にバーン商会のひとたちによって、都のひとたちに告知されていたとはいえ、デュランドルの巨体は、彼らにとって一大センセーションを巻き起こした。
本来、大通りの中央にある街路樹をすべ事前に伐採し、上り下りの両方の道をすべて通行止めにして行進するデュランドルたちを、都のひとびとは熱狂的に出迎えた。
それは一種、狂乱の様相を呈しているといっても過言ではないほどであり、さすがに俺も驚いた。
「前回のときよりも凄い騒ぎだな」
俺は、長椅子にうつぶせに寝そべっているレノアに向かって言った。
だが、レノアからは返事がない。代わりにゼロスが答えてくれた。
「前回というのは、ティラノレギオンを形成するレアモンスターたちを、大量に連れ帰ったというときのことか?」
「ああ。そのときは各町に立ち寄ったから、どこでも大騒ぎだったんだけど、今回はそれ以上だ」
「やはり、デュランドルの巨体はわかりやすいのだろう」
「そうだな。この熱狂を生んでいるのは、間違いなくデュランドルだろう」
デュランドルは、俺たちが乗る馬車のすぐ後ろを行進している。
その雄姿は朝日に照らされ、神々しささえ感じられる。
そりゃあ熱狂もするか。
「でも、ゼロスがしゃべることが出来ると知ったら、さらに大騒ぎになりそうだ」
そう言うと、ゼロスが軽く首をひねった。
「わたしは、しゃべらない方がよさそうだな」
俺も少し考え込む。
「そうだな……確かに、あまりしゃべらない方がよさそうだ。事情を知る者たちだけがいるところなら、しゃべっても問題ないが、知らない者がいるときには、あまりしゃべらない方がいいかもしれない」
「わかった。そうしよう」
「頼む。ゼロスの存在は、デュランドル以上に貴重だからな。俺たちもゼロスが変なことに巻き込まれないよう、細心の注意を払うようにするよ」
「そうか。面倒をかけるな」
「何を言うんだ。面倒をかけているのは俺たちの方だよ」
すると、ゼロスが笑みを浮かべた。
「正直わたしは今、少し興奮している」
俺は驚き、問い返した。
「ゼロスがか?」
「わたしが知る人間たちは、あの小さな集落の者たちとお前たちだけだ。だが、この町には……いや、都か。ここには、恐ろしいほどの数の人間がいる。そして、この大きな家々……人間とは、凄いものだな」
ゼロスが感慨深げに、外の景色を見つめる。
俺は何度か小さくうなずいた。
「確かに、凄いかもしれない。だが、どうだろうな。面倒ごとも多いと思うよ」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)