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第二章
454
鬱蒼とした木々が生い茂る林を抜けると、何処までも長く続く、高くそびえたった壁が目に飛び込んできた。
「でかいね。さすがはオルダナ王国で一番の大貴族といわれるゴート公爵の邸宅だ」
レノアが、遥か先の壁の中央に威風堂々と佇む巨大な鉄門を見つめながら言った。
「壁も巨大なら門もとても大きいね。それにとても頑丈そうだ。さすがの君でも、力づくであの門を開けるには、相当時間がかかりそうだね」
レノアの問いに、俺は苦笑交じりにうなずく。
「そりゃあ、さすがにあれだけ頑丈そうなら時間はかかるよ。でもあのくらいの高さの壁なら、跳躍で越えられると思うけどな」
「確かに。君の跳躍力は桁外れだからね。でも正面からだと邸宅が遠い。前庭があるからね。だから裏門へ向かおう。そちらの方が色々とやりやすそうだ」
俺はうなずき、馬車内の長椅子から立ち上がった。
そして御者のところに向かい、裏門へ向かうよう指示した。
そこであらためて正面に見える高い壁を見つめた。
思っているよりも高いな。まだ距離があるから正確じゃないが、近づいたら実質五メートルくらいはあるんじゃないだろうか。
到底、常人に越えられる高さではない。だが俺なら、五メートルくらいならば一気に飛び越えられる。
馬車は車輪を激しく回転させ、それにともなってどんどん邸宅へと近づいていく。
やはり五メートルくらいだ。問題ない。あの高さなら、飛び越えられる。
馬車はそこで大きく舵を切り、巨大な壁に沿って左折した。
しかし、それにしても高い壁だな。ほとんど城のようだ。
俺はしばらく馬車の先頭で、御者の肩越しにそびえたつ壁を見つめる。
ゴート公爵家は、かつてオルダナ王国建国の際に多大な貢献があった英雄の子孫らしい。それも、恐らくは武によってだろう。
この壁は高く頑丈そうだが、決して優美ではない。どちらかといえば武骨だ。
ゴート公爵のひととなりと一致する。
そこで馬車は再び舵を切って右折し、邸宅の横を進みはじめる。
ゴート公爵の質実剛健といわれる性格は、この武骨な家系から生み出されたものなのだろう。
そういう教育を代々ほどこしてきたからだと思われる。それが当代まで、連綿と続いているということだ。
性格か……あらためて性格について考えてしまう。性格とはいったいなんなのだろうか。性格とはそんなにはっきりと、人間の心の中に厳然と存在しているものなのだろうか。
ゴート公爵の性格は質実剛健だと皆が言う。だがそれはほんとうに一個人のものなのか?そういう教育を代々ほどこされたから形成されたのではないか?
だとしたら、ゴート公爵の性格とは一個人のものではなく、ゴート公爵家に起因するのではないだろうか。
「でかいね。さすがはオルダナ王国で一番の大貴族といわれるゴート公爵の邸宅だ」
レノアが、遥か先の壁の中央に威風堂々と佇む巨大な鉄門を見つめながら言った。
「壁も巨大なら門もとても大きいね。それにとても頑丈そうだ。さすがの君でも、力づくであの門を開けるには、相当時間がかかりそうだね」
レノアの問いに、俺は苦笑交じりにうなずく。
「そりゃあ、さすがにあれだけ頑丈そうなら時間はかかるよ。でもあのくらいの高さの壁なら、跳躍で越えられると思うけどな」
「確かに。君の跳躍力は桁外れだからね。でも正面からだと邸宅が遠い。前庭があるからね。だから裏門へ向かおう。そちらの方が色々とやりやすそうだ」
俺はうなずき、馬車内の長椅子から立ち上がった。
そして御者のところに向かい、裏門へ向かうよう指示した。
そこであらためて正面に見える高い壁を見つめた。
思っているよりも高いな。まだ距離があるから正確じゃないが、近づいたら実質五メートルくらいはあるんじゃないだろうか。
到底、常人に越えられる高さではない。だが俺なら、五メートルくらいならば一気に飛び越えられる。
馬車は車輪を激しく回転させ、それにともなってどんどん邸宅へと近づいていく。
やはり五メートルくらいだ。問題ない。あの高さなら、飛び越えられる。
馬車はそこで大きく舵を切り、巨大な壁に沿って左折した。
しかし、それにしても高い壁だな。ほとんど城のようだ。
俺はしばらく馬車の先頭で、御者の肩越しにそびえたつ壁を見つめる。
ゴート公爵家は、かつてオルダナ王国建国の際に多大な貢献があった英雄の子孫らしい。それも、恐らくは武によってだろう。
この壁は高く頑丈そうだが、決して優美ではない。どちらかといえば武骨だ。
ゴート公爵のひととなりと一致する。
そこで馬車は再び舵を切って右折し、邸宅の横を進みはじめる。
ゴート公爵の質実剛健といわれる性格は、この武骨な家系から生み出されたものなのだろう。
そういう教育を代々ほどこしてきたからだと思われる。それが当代まで、連綿と続いているということだ。
性格か……あらためて性格について考えてしまう。性格とはいったいなんなのだろうか。性格とはそんなにはっきりと、人間の心の中に厳然と存在しているものなのだろうか。
ゴート公爵の性格は質実剛健だと皆が言う。だがそれはほんとうに一個人のものなのか?そういう教育を代々ほどこされたから形成されたのではないか?
だとしたら、ゴート公爵の性格とは一個人のものではなく、ゴート公爵家に起因するのではないだろうか。
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