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第二章
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そこで馬車が、三度大きく進路を変えて右折し、裏門目がけてひた走る。
そのとき俺は、はたとあることに気づいた。
ちょっと待て。この壁をどうやって超えるんだ。
いや、俺は問題ない。だが肝心のラーズ族はどうだ?どうやってこの壁を超えるんだ?
ラーズ族もかなり身体能力は高い。だがそれでも、あの高さの壁は自力では越えられないだろう。
俺は心配になり、レノアの元へ戻った。
「レノア、あの壁をどうやってラーズ族が超えるんだ?ロープをかけたら越えられるかもしれないが、そこを見られたらどうする?ラーズ族は透明でも、ロープは見えてしまうぞ」
レノアはにやりと笑った。
「ラーズ族は、壁を超えたりしないよ」
「壁を超えない?じゃあどうやって潜入するんだ?」
レノアは肩をすくめる。
「決まっているじゃないか。裏門からだよ」
そうか。ラーズ族は透明になれる。なら裏門が開いている時を見計らって潜入するってわけか。
しかしそれでも……
「裏門が閉まっていたらどうするんだ?というより、通常裏門だって閉まっているものだろう」
レノアはうなずいた。
そして口を開きかけた時、ちらと御者の肩越しに前方を見た。
「あ、そこの左手の路地に入ろう。裏門の真ん前に止めるわけにもいかないからね」
俺は即座に御者のところに戻り、レノアが言った通りの指示を出す。
御者はうなずいて了解の合図をすると、手綱を引いた。
ゆっくりと馬車の速度が落ちていく。
そして路地に差しかかるとゆっくりと左折した。
俺はレノアのところに戻ると尋ねる。
「入ってすぐのところに止めていいか?」
「うん。それでいい」
俺は素早く御者席に戻り、伝える。
御者はさらに手綱を引き絞り、馬車はゆっくりと止まった。
俺は、レノアのところに戻ると再び尋ねた。
「それで、どうするんだ?裏門が開くのを待つにしても、いつ開くかわからないぞ」
レノアはにやりと笑う。
俺は長椅子に座りながら、ひとつため息を吐いた。
「張り込みってわけか。結構時間がかかるかもしれないぞ。俺はこういうの、正直得意じゃない」
「だろうね。君はだいぶせっかちなようだ。過去のカズマとは大違いだ」
俺は肩をすくめる。
「まあな。正直、俺自身よくないところだとは思っているよ」
俺はそこで再び考える。
『僕』と『俺』の性格の違いについて。
やはり性格というのは、厳然とあるのだろうか。
レノアは今、過去のカズマとは違うと言った。
つまり、両者には明確な差異があるということだ。
そしてそれは、両者を決定的に分かつものだと言っている。
二つの人格。二つの性格。人格と性格の違いはなんだ?
俺は仄暗い思考の海に、さらに深く沈んでいった。
そのとき俺は、はたとあることに気づいた。
ちょっと待て。この壁をどうやって超えるんだ。
いや、俺は問題ない。だが肝心のラーズ族はどうだ?どうやってこの壁を超えるんだ?
ラーズ族もかなり身体能力は高い。だがそれでも、あの高さの壁は自力では越えられないだろう。
俺は心配になり、レノアの元へ戻った。
「レノア、あの壁をどうやってラーズ族が超えるんだ?ロープをかけたら越えられるかもしれないが、そこを見られたらどうする?ラーズ族は透明でも、ロープは見えてしまうぞ」
レノアはにやりと笑った。
「ラーズ族は、壁を超えたりしないよ」
「壁を超えない?じゃあどうやって潜入するんだ?」
レノアは肩をすくめる。
「決まっているじゃないか。裏門からだよ」
そうか。ラーズ族は透明になれる。なら裏門が開いている時を見計らって潜入するってわけか。
しかしそれでも……
「裏門が閉まっていたらどうするんだ?というより、通常裏門だって閉まっているものだろう」
レノアはうなずいた。
そして口を開きかけた時、ちらと御者の肩越しに前方を見た。
「あ、そこの左手の路地に入ろう。裏門の真ん前に止めるわけにもいかないからね」
俺は即座に御者のところに戻り、レノアが言った通りの指示を出す。
御者はうなずいて了解の合図をすると、手綱を引いた。
ゆっくりと馬車の速度が落ちていく。
そして路地に差しかかるとゆっくりと左折した。
俺はレノアのところに戻ると尋ねる。
「入ってすぐのところに止めていいか?」
「うん。それでいい」
俺は素早く御者席に戻り、伝える。
御者はさらに手綱を引き絞り、馬車はゆっくりと止まった。
俺は、レノアのところに戻ると再び尋ねた。
「それで、どうするんだ?裏門が開くのを待つにしても、いつ開くかわからないぞ」
レノアはにやりと笑う。
俺は長椅子に座りながら、ひとつため息を吐いた。
「張り込みってわけか。結構時間がかかるかもしれないぞ。俺はこういうの、正直得意じゃない」
「だろうね。君はだいぶせっかちなようだ。過去のカズマとは大違いだ」
俺は肩をすくめる。
「まあな。正直、俺自身よくないところだとは思っているよ」
俺はそこで再び考える。
『僕』と『俺』の性格の違いについて。
やはり性格というのは、厳然とあるのだろうか。
レノアは今、過去のカズマとは違うと言った。
つまり、両者には明確な差異があるということだ。
そしてそれは、両者を決定的に分かつものだと言っている。
二つの人格。二つの性格。人格と性格の違いはなんだ?
俺は仄暗い思考の海に、さらに深く沈んでいった。
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