1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 レノアが怒髪天を衝く勢いで怒った。

「本意じゃなかったで済むものか!」

 俺は苦笑いを浮かべる。

「それはそうだが、色々と驚きの事情が書いてある」

「驚きの事情?」

 レノアはそう言うと、やはり険しい顔で文面を覗き込む。
 
「……本当に読みづらいな、字が汚いどころの騒ぎじゃない!」

 レノアはかなりイライラした様子で言った。

 俺はこれまた苦笑する。

「俺も判読するのに、だいぶ時間がかかったよ」

「それで?なんて書いてあるんだ?」

「ワイズマンは、ゼークル伯爵の義兄だそうだ」

 レノアは顔を前に突き出し、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 俺はそのあまりの様子に、笑いを必死に噛み殺した。

「義、義兄~?」

 俺はフッと鼻から息を吐き出した。

「どうやらそうらしいぞ」

「そんな馬鹿な!義兄って……じゃあ本来ゼークル伯爵となるべきは、ワイズマンだったってことになるぞ」

 俺は被りを振った。

「いや、そうはならない」

 レノアがこれ以上ないくらいに眉根を寄せる。

「……庶子か?」

 俺はゆっくりとうなずいた。

「そのようだ。ワイズマンの母は、身分が低い……というか、そもそも貴族ではないらしい。ワイズマンという姓は、その母親のものだそうだ」

 レノアはうんうんと何度も首を縦に振った。

「対してゼークルの母親はれっきとした貴族。だから伯爵位を継いだのはゼークルの方ってわけか」

「そうらしい」

「ならばやはり最初から、僕たちをたばかるつもりだったわけか」

 俺はまたもかぶりを振った。

「その文面を信じるなら、そうではないようだ」

 レノアが険しく眉を寄せる。

「なんだって?」

「ワイズマンは、本当にゼークルに愛想をつかしていたそうだ。だが、いざ捕まえてここに連れてきたところ、泣き落としにあったらしい」

「……その話が本当かどうかわからない」

「確かにな。だが文面を読む限りはそうだ。ワイズマンは若い頃にゼークル伯爵家を飛び出し、諸国を放浪していたのだそうだ」

 レノアは険しい表情のまま、俺の言葉を急かす。

「それで?」

「ふたりは幼い頃は仲良く一緒に遊んだこともあったらしい。だが久しぶりに帰って顔を合わせてみると、ゼークル伯爵は変節していた」

「女性虐待の変態になっていた」

 俺は苦笑いを浮かべてうなずいた。

「しかも、ワイズマンに対する態度も変わっていた」

「仲良かったころの面影はまるでなしってところか」

 これまた俺はうなずいた。

「汚いものを見るような目で見られたそうだ。もっとも、前の伯爵だった父親から、ワイズマンが帰ったらよく面倒を見てやるようにと言われていたらしい。だからゼークル邸への滞在は許したそうだ。それに給金ならぬ小遣いもな」
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