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第二章
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「だから仕方なく、脱出に加担したと言っているのか?」
レノアが再び怪気炎を上げる。
だがやはり先ほどの勢いは、もうすでにない。
俺は落ち着き払った声で言う。
「そうだ。かつては可愛い弟だった者に、助けてくれと懇願されて心が動いてしまったということだ」
「勝手なことを!その結果、王女殿下はお怪我をなされたんだぞ!」
俺はうなずきつつ、さらに言った。
「そのことをとても悔いている。手紙の最後の方だ。ここは俺の口からじゃなく、実際にワイズマンの手紙を読んでみてくれ」
レノアは一度俺を睨みつけたものの、すぐに視線を落とし、文面の上を走らせる。
だがやはり読みにくいのか、眉根を寄せる。
それでも、レノアは苦労しながら文面を読んだ。
そして、顔を上げた。
その顔は、複雑怪奇なものであった。
口を尖らせたり、眉尻を上げたり、百面相をしているようであった。
俺はレノアの胸中もよくわかるため、しばし黙った。
レノアはその間、色々と考えたようだ。
しかしついに意を決したか、レノアが声を発した。
「だからって許されることか」
レノアは力なく言った。
俺は黙ってうなずいた。
「そうだな。アリアスが怪我を負ってしまったのは事実だ。だが、ワイズマンとしては不測の事態だったと言っている。もっとも、それもワイズマンが言っているだけであって、事実かどうかを判別することは出来ない。今のところはな」
俺の最後の言葉に、レノアが反応した。
「今のところはって?」
「確認できる奴がいるだろう?」
俺の言葉に、レノアの顔が曇った。
「ゼークルに聞けってことか」
「そうだ。ワイズマンの主張が事実かどうかは、ゼークルに聞けば判別できるんじゃないか?」
だがやはりレノアの顔は沈んだままであった。
俺は気になり、問いかけた。
「どうした?さっきまでゼークルの尋問をしていたんだろう?なにか聞き出せなかったのか?」
俺の問いに、レノアが渋面を作った。
「ダメだったんだ。奴め、予想外の手を使ってきたんだ」
俺は率直に驚いた。
先ほどの様子を見ていれば、いずれはゼークルも口を割るだろうと思っていたからだ。
「予想外の手とは、一体なんだ?」
レノアは渋面のまま、かなり業腹な様子で答えた。
「魔法だよ。奴め、沈黙魔法を自分自身にかけたんだ」
「沈黙魔法?それはどういうものなんだ?」
「文字通り、かけられた者が沈黙する魔法さ」
「どうやってかけたんだ?俺が部屋にいたときは奴はしゃべっていた。その後にかけたってことか?」
レノアは渋々と言った様子でうなずいた。
レノアが再び怪気炎を上げる。
だがやはり先ほどの勢いは、もうすでにない。
俺は落ち着き払った声で言う。
「そうだ。かつては可愛い弟だった者に、助けてくれと懇願されて心が動いてしまったということだ」
「勝手なことを!その結果、王女殿下はお怪我をなされたんだぞ!」
俺はうなずきつつ、さらに言った。
「そのことをとても悔いている。手紙の最後の方だ。ここは俺の口からじゃなく、実際にワイズマンの手紙を読んでみてくれ」
レノアは一度俺を睨みつけたものの、すぐに視線を落とし、文面の上を走らせる。
だがやはり読みにくいのか、眉根を寄せる。
それでも、レノアは苦労しながら文面を読んだ。
そして、顔を上げた。
その顔は、複雑怪奇なものであった。
口を尖らせたり、眉尻を上げたり、百面相をしているようであった。
俺はレノアの胸中もよくわかるため、しばし黙った。
レノアはその間、色々と考えたようだ。
しかしついに意を決したか、レノアが声を発した。
「だからって許されることか」
レノアは力なく言った。
俺は黙ってうなずいた。
「そうだな。アリアスが怪我を負ってしまったのは事実だ。だが、ワイズマンとしては不測の事態だったと言っている。もっとも、それもワイズマンが言っているだけであって、事実かどうかを判別することは出来ない。今のところはな」
俺の最後の言葉に、レノアが反応した。
「今のところはって?」
「確認できる奴がいるだろう?」
俺の言葉に、レノアの顔が曇った。
「ゼークルに聞けってことか」
「そうだ。ワイズマンの主張が事実かどうかは、ゼークルに聞けば判別できるんじゃないか?」
だがやはりレノアの顔は沈んだままであった。
俺は気になり、問いかけた。
「どうした?さっきまでゼークルの尋問をしていたんだろう?なにか聞き出せなかったのか?」
俺の問いに、レノアが渋面を作った。
「ダメだったんだ。奴め、予想外の手を使ってきたんだ」
俺は率直に驚いた。
先ほどの様子を見ていれば、いずれはゼークルも口を割るだろうと思っていたからだ。
「予想外の手とは、一体なんだ?」
レノアは渋面のまま、かなり業腹な様子で答えた。
「魔法だよ。奴め、沈黙魔法を自分自身にかけたんだ」
「沈黙魔法?それはどういうものなんだ?」
「文字通り、かけられた者が沈黙する魔法さ」
「どうやってかけたんだ?俺が部屋にいたときは奴はしゃべっていた。その後にかけたってことか?」
レノアは渋々と言った様子でうなずいた。
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