1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「レノア!」

 いきなり部屋に入ってきた俺を見て、レノアが驚いた顔をする。

 それでも冷静にレノアは言った。

「どうかした?」

 俺はレノアたちに近づきつつ、問いかけた。

「前に話したと思うんだが、アルフレッドの祖父の話」

 すると勘のいいレノアは即座に思い出してくれた。

「ああ!確か、以前に別の転移者にあったことがあるって話だね?」

「そのアルフレッドのじいさんがいるオルダナ西部の避暑地って、何処だかわかるか?」

 レノアは少し考え、答えた。

「確か、べラクーンだったはずだよ」

「べラクーンだな。よし、わかった」

「もしかして、会いに行く気かい?」

「ああ。暇だしな。それにアリアスの警護はゼークルの件があって以降、さらに厳重になったらしいし、俺がいなくても構わないだろう?」

「そうだね。差し当たって君の手を借りなければならないことはないから、僕は構わないよ」

「よし、じゃあ行ってくる」

 早速踵を返した俺だったが、レノアが呼び止めた。

「殿下には言ったの?」

 俺は少々ばつが悪そうな顔をした。

「いや、今さっき思いついたばかりだし……言ってはいない」

 レノアが肩をすくめた。

「いいよ。僕から言っておくから」

 俺は思わずホッとした。

「そうか!じゃあよろしく頼む」

 俺はそう言って、再び踵を返そうとした。

 だが再び、レノアが呼び止めた。

「一応、ゼロスを連れて行ってくれ」

 俺はいぶかしんだ。

「ゼロスを?なんで?」

 レノアはまた肩をすくめた。

「いや、なんとなくだよ」

「なんとなくってなんだよ?」

「なんとなくは、なんとなくさ。ただ、ひとりよりもその方が安全だ」

 俺は苦笑した。

「俺ひとりじゃ不安か?」

 俺の冗談めかした問いに、レノアが真剣な顔で答える。

「正直、今の君は不安定だと思う。だから、ゼロスがついていった方が、僕は安心できる」

 俺は眉根を寄せ、レノアの隣にいるベルトールに視線を合わせた。

「俺が不安定に見えるか?」

 俺の問いに、ベルトールが困ったような顔をして答えた。

「そうですね。もうしわけありませんが、レノア様のおっしゃる通りかと存じます」

 俺はさらに眉間のしわを深くし、レノアを挟んだ反対側にいるシモーヌにも尋ねた。

「シモーヌはどう思っている?レノアやベルトールと同じか?」

 シモーヌも少々困り顔で答えた。

「ええ。少し、危うい感じがしますわ」

 俺は大きく息を吸い込んだ。

 そしてゆっくりと吐き出しながら、気持ちを整えた。

「……そうか。三人ともがそう言うなら、そうなんだろう。わかった。ゼロスを連れていくよ」
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