１×∞（ワンバイエイト）　経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

マツヤマユタカ

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第二章

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　すると女は傲然と顎を上げ、俺に蔑むような視線を送る。

「嘘を吐け。わたしを狙っているくせに」

　なんて自意識過剰な女だ！

「誰が狙うかよ！ちょっと列の後ろに並んだだけだぞ！」

「変態はみなそう言うのだ」

「俺は変態じゃない！」

　すると女は再び顎をクイッと上げ、冷めた視線を送って寄越した。

「では、疫病神だな」

　な、なんだと？列が止まったのが俺のせいだって言うのか、この女！

　すると女の前に立つ中年男性が、面倒くさそうに注意した。

「おい、こんなところで騒ぎを起こすな」

　女は鼻息を荒く吐き出し、そっぽを向いた。

　中年男は女の様子を見て、やれやれという表情を浮かべた。

　そして首を伸ばし、俺の方を覗き込むように見て言った。

「すまないな。気にしないでくれ」

　一応謝っているが、あんなことを言われては、俺の腹の虫は治まらない。

「変態とか疫病神とか言われて、あんたは気にしないでいられるのかよ」

　男は深くため息を吐いた。

　すると女が、男に向かって言った。

「これ以上変態を相手にするのはやめておこう」

　女はそう言うと、俺からぷいっと顔を背けつつ、踵を返した。

　そしてさっさと歩き出し、ため息を吐く男と共に横の列の最後尾へついた。

　俺は唖然とした顔で女を見つめた。

　女はプイッと横を向いたままだ。

　俺は怒りで、わなわなと震え出した。

　くそっ！なんて女だ！怒りが腹の中でのたうち回っているぞ。くそっ！くそっ！くそっ！

　俺は女に罵詈雑言を浴びせかけてやろうかどうか、思案した。　

　だが結局はしなかった。

　あんな風にひとを勝手に決めつけて文句をつけるような女に、これ以上関わりたくないと思ったからだ。

　それ故俺はこの場にとどまり、怒りをなんとか押さえつけて、列が動くのを待った。

　だが…………動かない。

　俺は怒りを押し殺して横を見た。

　女の並んだ列は、動いていた。

　と、女が振り向いた。

　そして嘲るような顔つきで、勝ち誇ったように顎を上げ、上から見下ろすような真似をした。

　俺は怒髪天を衝く勢いで怒った。
　
　だがいまさら文句を言いに行くのは、格好がつかない。

　俺は奥歯を噛みしめ、ほぞを噛んだ。

　すると、背後から声がかかった。

「もしや、カズマさんでは？」

　俺が振り返ると、そこにはレボーナの町のバーン商会員で、アリアスが怪我をした事件の詳報もたらしてくれたヴァルトが立っていた。

「おお！ヴァルトか」

「やはりカズマさんでしたか。このようなところで何をしていらっしゃるのですか？」

「バーン商会の創始者に会いたくてね。面会の申し込みをしようと思って、ここに寄ったんだ」

「ヴィルヘルム・バーン翁にですか!?」

　どうやらアルフレッドの祖父は、そういう名前らしい。

「バーン商会の創始者は、ヴィルヘルム・バーン翁っていうのか」

　ヴァルトは少しあきれたような笑みを浮かべた。

「知らなかったんですか？」

「まあね。アルフレッドのじいさんだってことは知っているけど、それ以外はほとんど知らないんだ。それよりヴァルトこそ、何故ここに？」

「わたしは仕事ですよ。まあ出張ですね。しかし偶然とはいえ、ここでお会いできるとは思ってもみませんでした。いや、そんなことよりもカズマさん、ヴィルヘルム・バーン翁にどのようなご用件でお会いになろうと？」

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