1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「こちらです」

 俺の思考を妨げ、ヴァルトが言った。

 ヴァルトは指し示した部屋の扉を開け、俺たちを中に招いた。
 
 俺は軽く会釈をし、部屋の中に入った。

 豪勢な部屋が俺たちを出迎えてくれた。
 
 吹き抜けのような高い天井に、そこから吊り下げられた煌びやかなシャンデリア、革張りの大きなソファーに大理石のテーブル。

 壁にはなにやら高額そうな絵が飾られ、床には細かな絵柄を編み込んだカーペットが敷かれていた。

「豪華な部屋だね」

「貴賓室です。どうぞおくつろぎください」

 俺はうなずき、革張りのしっかりとした四人掛けソファーの端に腰かけた。

 ゼロスは絨毯の感触を確かめながら、俺が座ったソファーの横に寝転がった。

「ふむ、寝心地の良いカーペットだ」

 ゼロスが久しぶりに声を発した。

 というのも、ヴァルトはゼロスがしゃべることを知っているからだ。

 ヴァルトは微笑み、言った。

「それでは支店長を呼んでまいりますので、少々お待ちください」

 ヴァルトはそう言って部屋を出ていった。

 俺はしばしの間、壁の絵などを鑑賞した。

 あらためて豪勢な部屋だ。

 アリアスの居室に勝るとも劣らない。

 これだけでバーン商会の権勢がよくわかる。

 首都に置かれた支店とはいえ、ここは決して本店ではない。

 にもかかわらず、この貴賓室の贅沢さ。

 やはりこのバーン商会を、味方にしているのは心強いと思う。

 しばらくして、ヴァルトが女性を伴なって戻ってきた。

 一緒にいるのは、年の頃四十代の妙齢の女性だ。

 彼女は、俺たちの前に立つと深々とお辞儀をした。

「当支店を預かっております。支店長のバーブラ・レッチェと申します。以後お見知りおきください」

「カズマ・ナカミチだ。よろしく」

 俺が挨拶を返すと、バーブラはヴァルトとともに、テーブルを挟んだ向かいのソファーに腰かけた。

「当商会創始者のバーン翁にお会いになりたいとか」

「ああ。その仲介を頼もうと思って、ここに来たんだ」

「承知しました。わたくしの方から連絡しておきます。それと、わたくしとヴァルトの連名の手紙も添えさせていただきます」

「それはありがたい」

「いえ、それよりもグランルビーの件はお聞きになりましたか?」

 グランルビーとは、この世界で採れる大変珍しい鉱石のことだ。

 俺が転移した窪地の岩場で大量に採れたため、アルデバラン王国復興の資金源とするべく、バーン商会の番頭であるガッソを中心にして現在世界各地で売りさばいている。

「グランルビーがどうかしたのか?」

「世界各地で値崩れが起き始めているようです」
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