1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「その窪地というのが気になるな……」

 ゼロスが呟くように言った。

「まだ何かあるのか?」

「確定ではないが、もしもそのSランクが転移者なら、お前と同じようにその窪地に転移したのだろうか?」

「つまり、あの窪地が転移者を引き寄せているということか?」

 ゼロスがすかさずかぶりを振った。

「わからない。だがその可能性はあると思ってな」

 俺はよく考え、うなずいた。

「そうだな。俺もそう思う。しかし……」

 俺が言葉を区切ると、ゼロスがあとを補うように言った。

「窪地は旧アルデバラン領内にあり、現在はベルガン帝国の支配下にある……だな」

「その通りだ。とてもではないが、今は調査には行けない場所だ」

「うむ。だが、搦め手もあるだろう」

「搦め手?」

「そうだ。直接窪地の調査は出来ないが、間接的な調査は出来る」

「どうやって?」

「そもそも今回の我々の目的はなんだ?」

「バーン翁に会うことだな」

「会ってどうする?」

 俺は納得してうなずいた。

「かつて出会ったという転移者の話を聞きに行くんだったな」

「そうだ。翁から話を聞くことが出来れば、謎の一端くらいには迫れるかもしれない」

 俺は再び強くうなずいた。

「よし!ゼロス、バーン翁の元へ急ごう」

「うむ。そうしよう。わたし自身、この謎を解きたくてたまらなくなっている」

「俺もだ。特に俺にとっては自分自身のことだからな。ゼロス以上に知りたいぜ」

 ゼロスが高らかに笑った。

 そして立ち止まり、言った。

「では、乗れ」

「いいのか?」

「今更、気兼ねする間柄でもなかろう。わたしの方がお前より足が速い。遠慮はするな」

「わかった」

 俺はそう言うと、ゼロスの背に跨った。

 そしてゼロスの肩口から出ている触手を掴んだ。

「では出発するぞ。振り落とされないようにな」

「大丈夫だ。だがまさかべラクーンまで走り切るつもりじゃないだろうな?」

「ダメなのか?」

 俺は驚いた。

「べラクーンまで走り通せるのか!?」

 するとゼロスが笑った。

「先ほど聞いた話だと、距離的には問題ない」

「そうなのか!?かなりの長距離だし、それに俺を背負ってだぞ?」

「途中休憩はするつもりだが、そうであれば問題ないぞ」

「凄いな……そんなに長く走れるのか」

「我らはあの広大な森の中を、何日も駆け続けることもあるのだ」

「そうだったのか。では、頼む。疲れたら言ってくれ」

「うむ。無理をしない程度に走るつもりだ。心配するな」

「わかった」

「では、準備はいいか?」

「もちろんだ!」

「では、行くぞ!」

 ゼロスはそう言うと、しなやかな身体をむちのようにくねらせ、疾駆した。
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