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第二章
503
「見事な景色だな」
ゼロスは俺を背にしながら、白く高い岸壁が美しい岬の突端に位置する煌びやかな街並みを、対岸の小高い丘の上から見下ろして言った。
結局、ゼロスは途中休憩を挟みつつも二昼夜を走りきり、べラクーンへとたどり着いていた。
「本当に、俺を背にしたままべラクーンまで走り切ったな。凄いぞ」
俺はそう言うも、ゼロスは特に誇る素振りは見せない。
それどころか表情をまったく崩さずに言った。
「これくらいの距離ならば、わたしにとってはどうということはない。それにしても、海とは本当に大きいのだな」
べラクーンは、オルダナ西岸の海に張り出した岬の上にあった。
「ゼロスは海を見るのは初めてか?」
「うむ。話には聞いたことがあるが、我らはほとんどあの森を出ることはないのでな」
「そうか。俺もこっちの世界に来てからは、初めて海を見るよ」
「ほう、あっちの世界とは違うか?」
「いや、見る限りは同じに見える。色も青だし、波の感じも、特に違いはないな。地図でも見たが、スケールもほとんど同じくらいだと思う」
「この、今わたしに見えている部分は、海全体から考えると、ほんのごく一部に過ぎないと聞いたことがあるが?」
俺はゆっくりとうなずいた。
「海は、何処までも果てしなく続いているよ。それも、気が遠くなるくらいにな」
「あの森よりも、遥かに大きいのだろう?」
「正直、比べ物にならないな。もっと、ずっと、ずーっと先まで海は続いているんだ。といっても、こればっかりは海に出てみないとわからないよな」
「そうか……遥か、遥か遠くまで続くのか……行ってみたいものだな」
ゼロスは街並みの向こうの水平線の彼方を、目を細めて見つめた。
そこで、俺は一計を案じた。
「たぶん、バーン翁に会うことが出来れば、海に出られるんじゃないかな?」
「そうなのか?」
「いや、まあ確定じゃないが、海沿いの避暑地に広大な別荘を持っている以上、普通は船を所有しているだろうからな」
「ふむ、その船を貸してもらうというわけだな」
「まあ海の果てまでってわけにはいかないだろうが、乗ればある程度は実感できるんじゃないかな。なにせ、ちょっと沖に出れば、周囲三百六十度、そのすべてが水面になるからな」
「ほう、それは、是非とも乗ってみたいものだな」
「よし、じゃあ会えたら頼んでみよう。となればゼロス、あと少しだけ、頼むぜ」
「承知した。では行くぞ」
ゼロスは言うなり、踵を返してべラクーン目がけて走り出した。
ゼロスは俺を背にしながら、白く高い岸壁が美しい岬の突端に位置する煌びやかな街並みを、対岸の小高い丘の上から見下ろして言った。
結局、ゼロスは途中休憩を挟みつつも二昼夜を走りきり、べラクーンへとたどり着いていた。
「本当に、俺を背にしたままべラクーンまで走り切ったな。凄いぞ」
俺はそう言うも、ゼロスは特に誇る素振りは見せない。
それどころか表情をまったく崩さずに言った。
「これくらいの距離ならば、わたしにとってはどうということはない。それにしても、海とは本当に大きいのだな」
べラクーンは、オルダナ西岸の海に張り出した岬の上にあった。
「ゼロスは海を見るのは初めてか?」
「うむ。話には聞いたことがあるが、我らはほとんどあの森を出ることはないのでな」
「そうか。俺もこっちの世界に来てからは、初めて海を見るよ」
「ほう、あっちの世界とは違うか?」
「いや、見る限りは同じに見える。色も青だし、波の感じも、特に違いはないな。地図でも見たが、スケールもほとんど同じくらいだと思う」
「この、今わたしに見えている部分は、海全体から考えると、ほんのごく一部に過ぎないと聞いたことがあるが?」
俺はゆっくりとうなずいた。
「海は、何処までも果てしなく続いているよ。それも、気が遠くなるくらいにな」
「あの森よりも、遥かに大きいのだろう?」
「正直、比べ物にならないな。もっと、ずっと、ずーっと先まで海は続いているんだ。といっても、こればっかりは海に出てみないとわからないよな」
「そうか……遥か、遥か遠くまで続くのか……行ってみたいものだな」
ゼロスは街並みの向こうの水平線の彼方を、目を細めて見つめた。
そこで、俺は一計を案じた。
「たぶん、バーン翁に会うことが出来れば、海に出られるんじゃないかな?」
「そうなのか?」
「いや、まあ確定じゃないが、海沿いの避暑地に広大な別荘を持っている以上、普通は船を所有しているだろうからな」
「ふむ、その船を貸してもらうというわけだな」
「まあ海の果てまでってわけにはいかないだろうが、乗ればある程度は実感できるんじゃないかな。なにせ、ちょっと沖に出れば、周囲三百六十度、そのすべてが水面になるからな」
「ほう、それは、是非とも乗ってみたいものだな」
「よし、じゃあ会えたら頼んでみよう。となればゼロス、あと少しだけ、頼むぜ」
「承知した。では行くぞ」
ゼロスは言うなり、踵を返してべラクーン目がけて走り出した。
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