１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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「全員、敬礼！」

　中央に位置する男の号令一下、男たちは俺たちに向かって整然と敬礼をした。

「……取り越し苦労だったな」

「うむ。それよりも、敬礼に応えたらどうだ？」

　ゼロスに言われ、俺は見よう見まねで敬礼してみた。

　ゼロスの鼻が鳴る。

　うるさい。やったことないんだ。仕方がないだろう。

　俺が心中で愚痴るも、警備員たちは微動だにせず、頭に右手を当てた敬礼の姿勢のままであった。

　俺はどうしたものかと、同じく右手を頭に当てたまま、内心で狼狽した。

　が、すぐに中央の警備員が号令をかけた。

「止め！」

　またも号令一下、警備員たちは綺麗に揃って右手を下げた。

　俺も、少しだけ躊躇しつつも、右手を下ろした。

　と、中央に位置する、先ほどから号令をかけている責任者と思われる男が、言った。

「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

　責任者の男が、手をかざして門の中を指し示した。

　俺は軽く会釈し、門の中へと向かう。

　警備員たちは微動だにせず、一点を見つめ続けている。

　その間を通るようにして、俺たちは門の中に入っていった。

　中は、南国風の木々が生い茂っていた。

　その隙間を曲がりくねった道が通っている。

　俺は、その道の先にある建物を眺めた。

　木々でかなり覆い隠されているが、相当に大きな建物だ。

　やはり、バーン商会の創始者の別荘ともなると、これほどの規模となるか。

　俺は感心しつつ、歩いた。

　警備の責任者は黙々と先頭を歩いている。

　俺たちは、建物にたどり着くまで無言で歩いた。

　建物の前には、執事やメイドと思われる者たちが待っていた。

　俺たちが目の前まで来ると、彼らは一斉にお辞儀をした。

　そして建物の中を指し示した。

　扉はすでに開いている。

　俺たちはそのまま、軽く会釈をしつつ中へ入った。

「凄いな……」

　建物の中は、外観よりも驚くべきものだった。

　目の前には広大な玄関ホールが広がり、二十メートルはあろうかという高い天井からは、とてつもなく巨大で煌びやかなシャンデリアがぶら下がっていた。

　壁や柱には、装飾が所狭しと施されており、奥の大階段は左右二手に分かれ、優美なカーブを描いて二階へと繋がっていた。

　その豪華さは、ミラベルトの王宮すら凌ぐのではないかというほどであった。

　俺は先頭を行く警備責任者や執事たちとともに、カツンカツンと硬質な靴音を立てながら大理石の床を歩き、大階段に向かっていった。

　だが彼らは大階段を上ろうとはしなかった。

　その左右に分かたれた大階段の中央にある、大きな扉へと向かっていく。

　と、その大扉が左右に開かれた。