1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「小屋じゃと?どんな小屋じゃ?」

「小屋は二つ。ひとつは川べりに一人用のものが。もうひとつはグランルビーの採掘地のすぐ近くに十人程が暮らせるものがあった」

「ふむ、すでに採掘者がいたということか。バッティングしたんじゃな」

「いや、人はいなかったんだ。だからこれも恐らくなんだが、採掘したグランルビーを運んでいるところだったんじゃないかと思う」

「なるほどな。運よく鉢合わせしないですんだということか」

「ただ問題は、俺が転移したクレーターは広大な未開拓の森の中にあって、とてもじゃないが普通では運び出せそうもないんだ」

 するとバーン翁が考え込んだ。

「となると……大きな小屋は採掘者用。小さな小屋は雇用者であり、用心棒のものってところか。それにしても、ひとりで十人を守るとなると……」

 俺はバーン翁の言葉を引き取った。

「そうなんだ。恐らくそいつはSランクだ」

 バーン翁はうなずいた。

「妥当な線だな。しかし、となると……」

 俺は再び、バーン翁の言葉を引き取った。

「このことは、この間ゼロスとも話していたんだが……もしかすると、そいつは転移者かもしれない」

 バーン翁は納得気に何度もうなずいた。

「さもありなん。充分に有り得ることじゃ。しかもその転移者が、お前さんと同じくそのクレーターに転移した者だとしたら、そこにグランルビーが何故あることを知っていたかの答えにもなろう」

「そうなんだ。しかもグランルビーはとても希少価値の高い鉱石なのに、数年前から少しずつ相場が下がっているんだ。つまりそれは……」

 今度はバーン翁が俺の言葉を引き取った。

「その転移者が数年前から採掘し、売りさばいていたってことじゃな」

「その可能性は高いと思う。そして今も掘り起こし、世界各地で売りさばいている。だから、ガッソたちの予想を超えて現在値崩れを起こしているんだと思う」

「辻褄が合うな」

「たぶん間違いないだろう。もちろん何処かの国で新たにグランルビーの鉱床が発見された可能性はあるがな」

 するとバーン翁がにんまりと微笑んだ。

「それでよい。断定するのはいつでも出来る。今はまだその可能性があるくらいにとどめておくことじゃ」

 俺は素直に肯定した。

「わかった」

 やはりあのクレーターには、いずれ戻らなければならない。

 あそこには、あまりにも多くの謎が残っている。

 俺はあのわずか一か月あまりのクレーターでの生活を思い起こした。

 そして、思い出した。

 俺はハッとしてバーン翁に問いかけた。

「ちょっと聞きたいんだが、こちらの世界に、ドラム缶ってあるのか?」
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