1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 翁はそう言うと、メニュー表をパタリと閉めた。

 そして張りのある声で言った。

「すまんが店長を呼んでくれるか?」

 翁の言葉にウェイターが答えた。

「かしこまりました。少々お待ちください」

 俺は不思議に思い、尋ねた。

「どうかしたか?」

 翁は肩をすくめた。

「なに、大したことではない」

 するとすぐに、店長と思われる者がやってきた。

「ご無沙汰しております。お元気そうでなによりです」

 店長はそう言って深々と頭を下げた。

「うむ。久しぶりじゃの。どうじゃ、店は繁盛しておるか?」

「はい。おかげさまで。この度、マイヤーにも支店を出させていただきました」

「ほう。マイヤーとな。あそこは商業というより、官公庁が多いと聞いておるが?」

「はい。お役所関係の方々が多くご利用いただいておりまして、おかげさまで繁盛させていただいております」

「それは結構なことだな」

「もしもマイヤーにお越しの際は、是非ともお立ち寄りくださいませ。店は、町の中心部を通りますシモン大通りにございまして、マールスという名の店でございます」

「そうか。それでは立ち寄った際には伺うとするかな」

「はい。是非」

「ふむ、ではわしはオイマン海老のクリームソースをいただこうかな」

「かしこまりました。コースになさいますか?」

「そうじゃな。初めにスープとサラダをもらおう」

「かしこまりました。お連れ様はいかがいたしましょうか」

 店長は俺に向き直り、問いかけた。

「では、同じものをみっつずつ頼む」

 店長は特に顔色を変えず、うなずいた。

「三名様とも、オイマン海老のクリームソースのコースでよろしいでしょうか?」

「ああ。それで頼む」

 店長はにこりと微笑んだ。

「かしこまりました。それでは料理が出来ますまでの間、しばしお待ちください」

 店長は再び深く頭を下げると、サッと踵を返して厨房へ向かった。

 俺は店長の態度に感心した。

「さも当然だといわんばかりに、三名様って言ったな」

「そこで聞き返すようでは、二流以下じゃな。客が言っていることを瞬時に判断し、理解する。それでこそ一流というものよ」

「ここはあんたの店なのか?」

「わしの、というわけではない。だが資本は入っておる」

「なるほど。バーン商会の融資を受け、開店したってところか」

「そんなところじゃ」

 しばらくすると、給仕がスープとサラダを運んできた。

 給仕はまずはテーブル上にそれらを二つずつ置いた。

 その後彼はすぐにしゃがみ込み、テーブル下にスープとサラダを置いた。

 彼は立ち上がると深々と頭を下げ、にこりと笑みを浮かべて立ち去った。

 翁は満足げに微笑み、言った。

「さて、では冷めないうちにいただくとしよう」
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