1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 俺は、翁の提案に賛同し、早速スプーンを手にしながら言った。

「店長が一流なら、給仕も一流だな」

 翁もスプーンを手に、言葉を返す。

「当然じゃ。一流の元でこそ、一流は育つからな」

 俺は少しだけ引っかかった。

「そうかな?そうじゃない場合もあるんじゃないのか?」

 翁は口にスープを流し込み、幾度か満足げにうなずくと、言った。

「他の業種では、ひとりで勝手に育つこともあろう。だがこういう店の場合は、まず基本をしっかりと身に着けねばならない。その後に応用じゃ。独学ではちと厳しいじゃろう」

 俺は納得してうなずき、スプーンをゆっくりと傾けてスープを飲んだ。

「美味い。これは絶品だ」

 翁は胸をそびやかし、偉そうに言った。

「当然じゃ。わしが選んだ店じゃぞ」

 俺は鼻息を吐き出し、苦笑した。

「そうかい。それはよかったな。しかし、先ほどの話は確かにそうだな。マナーとか所作ってのは、ひとりじゃどうにもなりそうもない」

「そういうことじゃ。お前さんはひとりで勝手に育ったじゃろうが、この店で給仕として育つには、教えを受けねば無理じゃ」

「いくらレベルアップし続けるといっても、こういうのは教わらないとどうしようもないか」

「わしも始めはこちらの世界の道理を学ぶのに苦労したわ。その辺は、レベルアップでどうにかなるものではない。特に、人間関係という奴はな」

 人間関係か……確かにこればっかりはどうにもならない。まさに今、俺はそれで悩んでいるくらいだ。

 他者とのコミュニケーション能力も、どんどんレベルアップしてくれたら助かるんだが……

 俺は思わず口先をひねって考え込んだ。

 すると翁が、俺の珍妙な顔を見て笑った。

「どうした?なにか悩みでもあるのか?」

 俺は肩をすくめた。

「まあ、多少」

 俺の言い方が面白かったのか、翁は呵々と大笑いした。

 そしてひとしきり笑い終えると、滋味深い笑みを浮かべた。

「ほれ、人生経験豊富なわしに、話してみい」

 俺は少しばかり考えるも、同じ転移者ということもあり、すでに胸襟は開いているため、アリアスとの冷えた関係性について語り始めた。

 すると話しているうちに、翁の顔がみるみると曇ってきた。

 俺は気になり、問いかけた。

「まずいかな?」

 翁は真面目な顔となった。

「大いにまずいな。王女は、占領されてしまったアルデバラン王国の象徴じゃ。そして、お前さんはそのアルデバラン奪還の最強戦力であり、最重要人物といえる。この両者が不仲であるというのは、対外的にも問題じゃが、内的に特に、大問題じゃ」
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