1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「ふむ、やりおる。わしの掌底をガードするとはな」

 バーン翁は勝ち誇ったように顎をクイッと上げ、仰向けに倒れたスー・キンムーを見下ろした。

 スー・キンムーはにやりと笑うと、足を高く上げた。

 そして勢いをつけて足を下ろすと同時に、その反動で一気に身体をくの字に曲げて起き上がった。

「翁もやりますな。御歳を召したとはいえ、なかなか」

 スー・キンムーは不敵な笑みを浮かべながら言った。

「生意気な奴よ。だが実力は本物のようじゃ。しばし相手をしてやろうぞ」

「これは光栄の極み。では今度はこちらから参りますぞ」

「いつでもかかってくるがよい」

 翁は変わらず顎を上げ、余裕綽々の表情で言った。

 スー・キンムーはそれを見て、口の端をクイッと上げた。

 次の瞬間、スー・キンムーが前に跳び出し、一気に間合いを詰めた。

「ふんっ!」

 スー・キンムーの右拳が、翁のみぞおち目がけて真っすぐに繰り出される。

 だがそれを、翁は前に垂らした右腕を外側に向けるようにして払った。

 かと思うと、その払った右手でスー・キンムーの顔面を殴りにいった。

 しかしこれは、スー・キンムーが後方にのけぞるスウェーバックでかわした。

 翁は瞬時に追撃する。

 一歩前に足を踏み出すと、今度は左拳でスー・キンムーの顔面を狙った。

 スー・キンムーは大きくステップバックして、それをかわした。

 バーン翁はそこで一旦立ち止まり、スー・キンムーの足さばきを見ながら言った。

「やはり相当にやりおるな。生意気な口を利くだけはある」

 スー・キンムーは油断なく構えながら、返答した。

「お褒めにあずかり、恐悦至極」

「それは東方の武術か?」

「しかり。我が地方に古くから伝わるものにございます」

「ふむ、おもしろいの」

「翁の武術も、独特ですな」

「そうじゃろう。わしなりに、長い時間をかけて作っていったからの」

「では翁独自の流派というわけですな?」

「そうなる。ところでお前さん、登録はしておるか?」

「登録と仰ると、例の冒険者登録のことで?」

「そうじゃ」

「あのようなもの、我らには必要ありませんので」

「つまり、未登録か」

「はい」

 翁は据えた目でスー・キンムーを睨みつける。

「やはりおるのう。未登録のSランク」

 翁の言葉に、スー・キンムーは満足げに微笑んだ。

「ええ。登録すれば、恐らくSランクに認定されるでしょうね」

 翁はちらりと後ろを振り返った。

 そこではカズマが、ラー・キンムー、モー・キンムーの兄弟と戦いを繰り広げていた。

「あのカズマがどうやら苦戦しておるようじゃ。となれば、お前さんの弟たちも同じということか」
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