1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 キンムー兄弟のことだ。

「あいつらか」

「知っているのか?」

 アルフレッドが、少し驚いた様子を見せた。

「ああ、俺と翁とで、さっきやっつけた」

 アルフレッドは、今度は大きく驚いた。

「マジかよ。さすがだな。俺はまったく歯が立たなかったぜ」

「仕方ないさ。あいつら、三人ともSランクだったからな」

 俺の説明に、アルフレッドはこれまた驚きの表情を見せる。

「そうなのか!?どうりで俺が手も足も出ないはずだ」

「アルフレッドを解放したら、そいつらを尋問しようと思っていたところなんだ」

「へえ、あいつら何処にいるんだ?」

「この先の大きな部屋で寝ているよ」

「お前とじいちゃんで、のしたんだな?」

「そういうこと」

 と、バーン翁がアルフレッドの腕を取った。

「どれ、わしがおぶってやる」

 アルフレッドは嫌そうな顔をした。

「ちょっと待ってくれよ。助け出された上に、じいちゃんにおんぶされるなんて、ちょっと情けなさすぎるぜ」

「文句を言うな。早いところ脱出せねばいかんのだ」

「いや、でもなあ……」

 ごねるアルフレッドを、 バーン翁が説得する。

「いいから、ほれ。お前が小さい頃はよくおんぶしてやったもんだ」

 バーン翁はアルフレッドの腕を強引に引っ張り、自らの背に負うた。

「ちぇっ!」

 アルフレッドは舌打ちをしつつも、脱出が先決という言葉に納得せざるを得ず、不承不承従った。

「それでは改めて脱出と行こう」

 バーン翁はアルフレッドを背に、スタスタと歩き始めた。

 俺も続く。

「キンムー兄弟の尋問もしないとな」

 だがバーン翁からの返答はなかった。

 俺たちはアルフレッドが捕らえられていた牢屋から出て、さきほどの小さめな部屋に移った。

 さらにその部屋を通り抜ければ、キンムー兄弟や憲兵たちと戦った大部屋へ出る。

 バーン翁は足早に小さめの部屋を突っ切り、大部屋へ至る扉の向こう側を覗き見た。

「奴らめ、おらんのう」

 バーン翁がわかっていたかのように言った。

 俺は驚き、翁の背中越しに大部屋を覗き見た。

「いない……キンムー兄弟がいない!」

「ちと時間をかけ過ぎたようじゃの。どうやら逃げられたようじゃ」

「くそっ!あいつら、三人だけで逃げやがったのか」

 大部屋の中にはたくさんの憲兵たちが倒れていた。だがその中に肝心のキンムー兄弟はいなかった。

「もっと早く錠を解除できていれば……」

「まあ致し方なしじゃ。気にするな」

 バーン翁が俺を慰める。

 俺は大きく深呼吸して、気持ちを切り替えた。

「わかった。とにかく脱出しよう」
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