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第二章
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俺たちはキンムー兄弟の尋問は諦め、この危険な帝国駐屯地からの脱出のみに集中することにした。
アルフレッドを背負ったバーン翁に続き、大部屋を出て長い廊下を早足で通り抜ける。
そして吹き抜け構造の広大なロビーを階段上から見下ろした。
俺は階段を降りながら、違和感を感じ取った。
「うん?なんか……」
すると、バーン翁が冷静な声音で俺の違和感の説明をしてくれた。
「ひとっこひとりおらんの」
「本当だ!さっきは、それなりにひとがいたはずだ。なのに今は、誰一人いないぞ」
「ふむ、気をつけねばならんな」
俺はバーン翁の言葉に、気を引き締めた。
俺たちは一階ロビーにたどり着き、誰もいない広々としたロビーを出口に向かって突っ切った。
「静かだな……」
俺が呟くように言うと、バーン翁が口角を上げた。
「嵐の前の静けさ、といったところじゃろう」
俺たちは最短距離でロビーを突っ切り、ついに外に出る扉にたどり着いた。
「いるかな?」
俺の問いに、バーン翁がさらに口角を上げた。
「おるに決まっておる」
バーン翁はそう言うなり、扉を開け放った。
どうやら俺たちの予想は当たっていたらしい。
扉の向こうは、見渡す限りの兵で埋まっていた。
「万単位でいるな」
俺がぼそっと言うと、バーン翁が口元に笑みを湛えた。
「おるのう」
「俺が前に出る。後から付いて来てくれ」
俺はそう言って前に出た。
「頼む」
翁はそう言って、大人しく後ろに引き下がった。
だが背中のアルフレッドが不平を漏らした。
「おい、下ろしてくれ。俺も戦うぜ」
しかし翁はにべもなかった。
「けが人は大人しくしておれ。これくらい、カズマひとりでもどうにでもなろう」
「だけど……」
「足手まといは黙っとれと言っておる」
翁の強烈な一言に、さすがのアルフレッドも沈黙した。
「さて、それじゃあ大戦といくか」
俺は肩を回して準備運動をし始めた。
そのとき、夥しい数の兵たちを掻き分け、騎馬が一頭近づいてきた。
その背に乗るのは、懐かしくも、嫌な顔つきであった。
「これはこれは、大商会の創始者ともあろうおひとが、何故我が帝国の駐屯地におられるか?」
ソウザ・デグラント。
嫌味で卑怯な槍使い。アルデバラン脱出の折には、散々俺たちを苦しめた男だ。
「くっ!あの野郎……」
バーン翁の背に負わされたアルフレッドが、苦々しげにつぶやいた。
その声を聞き、バーン翁が言った。
「あの男が、ソウザか?」
アルフレッドが答える。
「そうだ。あいつがこの駐屯地の司令官だ!」
アルフレッドを背負ったバーン翁に続き、大部屋を出て長い廊下を早足で通り抜ける。
そして吹き抜け構造の広大なロビーを階段上から見下ろした。
俺は階段を降りながら、違和感を感じ取った。
「うん?なんか……」
すると、バーン翁が冷静な声音で俺の違和感の説明をしてくれた。
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「本当だ!さっきは、それなりにひとがいたはずだ。なのに今は、誰一人いないぞ」
「ふむ、気をつけねばならんな」
俺はバーン翁の言葉に、気を引き締めた。
俺たちは一階ロビーにたどり着き、誰もいない広々としたロビーを出口に向かって突っ切った。
「静かだな……」
俺が呟くように言うと、バーン翁が口角を上げた。
「嵐の前の静けさ、といったところじゃろう」
俺たちは最短距離でロビーを突っ切り、ついに外に出る扉にたどり着いた。
「いるかな?」
俺の問いに、バーン翁がさらに口角を上げた。
「おるに決まっておる」
バーン翁はそう言うなり、扉を開け放った。
どうやら俺たちの予想は当たっていたらしい。
扉の向こうは、見渡す限りの兵で埋まっていた。
「万単位でいるな」
俺がぼそっと言うと、バーン翁が口元に笑みを湛えた。
「おるのう」
「俺が前に出る。後から付いて来てくれ」
俺はそう言って前に出た。
「頼む」
翁はそう言って、大人しく後ろに引き下がった。
だが背中のアルフレッドが不平を漏らした。
「おい、下ろしてくれ。俺も戦うぜ」
しかし翁はにべもなかった。
「けが人は大人しくしておれ。これくらい、カズマひとりでもどうにでもなろう」
「だけど……」
「足手まといは黙っとれと言っておる」
翁の強烈な一言に、さすがのアルフレッドも沈黙した。
「さて、それじゃあ大戦といくか」
俺は肩を回して準備運動をし始めた。
そのとき、夥しい数の兵たちを掻き分け、騎馬が一頭近づいてきた。
その背に乗るのは、懐かしくも、嫌な顔つきであった。
「これはこれは、大商会の創始者ともあろうおひとが、何故我が帝国の駐屯地におられるか?」
ソウザ・デグラント。
嫌味で卑怯な槍使い。アルデバラン脱出の折には、散々俺たちを苦しめた男だ。
「くっ!あの野郎……」
バーン翁の背に負わされたアルフレッドが、苦々しげにつぶやいた。
その声を聞き、バーン翁が言った。
「あの男が、ソウザか?」
アルフレッドが答える。
「そうだ。あいつがこの駐屯地の司令官だ!」
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