１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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「選択か。つまりは世界統一への道を行けと？」

『それが、お前が強くなるために最良の道であるならば、そうしてほしい』

「バーン翁や百年前の鍛冶屋にも、世界統一を進めたよな？」

『したかもしれない』

「覚えてないのか？」

『わたしはあまりにも永く生きている。過去のことは、もうあまり覚えていない』

「どれくらい生きているんだ」

『答えられない』

「なんでだよ！それくらいいいだろう」

『今は、答えられない』

「くそっ！」

　俺はこの日何度目かの舌打ちをした。

　だがそうしたことで、何かが変わるわけではない。
　
　俺は思い出そうとする。他に質問はないだろうか。

　ひとつ思いついた。

「あの窪地……俺が転移したクレーターには、何か秘密があるのか？」

『ある』

　俺は驚き、色めき立った。

「それはどんな秘密だ？」

　俺は勢い込んで聞いた。

『そのような質問には答えられない』

「じゃあ具体的に聞けばいいのか？なら聞くが、あのクレーターは、隕石が落ちた跡だな？」

『そうだ』

「やっぱりか！バーン翁も同じようなクレーターに転移させられたと言っていた。つまり、転移させるにはクレーターである必要があるんじゃないのか？」

『その通りだ』

「それは何故だ？」

『まだ答えられない』

「なんなら答えられる？教えてくれ。何でもいい。あのクレーターの秘密で、他に答えられることを教えてくれ」

『あのクレーターには、他に何人も転移させたことがある』

「そのうちのひとりはもしかして、あの小屋を作ったやつか？」

『それは知らない』

「違うのか!?まあいい、そいつらの名前を教えてくれ？」

『それには答えられない。だがお前はすでに、そのうちのふたりに会っている』

「本当か!?ひとりはヴィルヘルム・バーンだな。もうひとりは誰だ？」

『答えられない』

　すでに会っている人物……誰だ？俺はどこでそいつと出会ったんだ？

「そいつは、俺と会ったことを認識しているのか？」

『認識していない』

「なら、互いにすれ違っただけなんじゃないのか？」

『会話をしている』

「俺とか!?そいつはどんな奴なんだ？」

『答えられない』

「なぜ答えられないんだ!?」

　俺は少し切れ気味に問いかけた。

　だが答えは同じだった。

『答えられない』

「じゃあ、あのクレーターに転移した者の数は？」

『答えられない』

　幾ばくかの情報は得た。だが多くは謎のままだ。

　他に質問はないか？

　思いつかない。

「また、呼べば話せるか？」

『時と場合による。わたしも忙しい』

「そうだったな。他にも転移者を抱えて、色々とやっているんだろう？」

『それ以外にもやることがある』

「それは……どうせ聞いても答えられないんだろ？」

『そのとおりだ』