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第二章
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こんなところで時間を使っても仕方がない。
俺はそう思い、槍を後ろ手に引いた。
大盾を構えた重装兵たちが、びくりと反応してガチャガチャと大きな音を立てる。
だったら引けばいいのに。
そういうわけにもいかないか。
ならば仕方がない。
俺は一歩前に足を踏み出した。
そして蒼龍槍を頭上に押し上げ、振り回す。
片手で勢いよく振り回し、ぶおんぶおんと鈍く空気を切り裂く音を立てる。
重装兵たちがたじろぎ、大きな音を立てて後ろに一歩引き下がった。
その後ろに控える指揮官は、重装兵たちの様子を見て大いに慌てるも、どうしたらいいのかわからないといった様子で、ただ右往左往している。
さて、どうしたものか。時間をあまり使いたくはないものの、ここまで怯えた様子を見ては、さすがに少し気が引けてくる。
俺は頭上で振り回している蒼龍槍をギュッと握りしめると、重装兵たちに穂先を向ける形でビタッと止めた。
「どけと言っているのが、わからないのか!」
俺は重装兵たちを、怒髪天を衝く勢いで怒鳴りつけた。
すると、途端に雪崩を打って前線が崩れた。
一列に並んでいた重装兵たちが、大盾を捨て去り、一斉に後ろの裏口に向かって逃げ出したのだ。
それを慌てた様子で押しとどめようとする指揮官。だが逃げる重装兵たちによって弾き飛ばされ、後ろ向きに無様にしりもちをつく形となった。
指揮官は、逃げていく重装兵たちのあとを追おうとするも、腰が抜けているのか、四つん這いの姿勢でよちよちと歩きしか出来ない。
それでも必死で俺から逃れようとしている。
俺は思わず深い溜息を吐いた。
そこで、階段の上から何者かの声がした。
「貴方は……」
俺は声のする方向を見た。
数名の者たちが折り重なるようにして一階の惨状を覗き込み、驚きの表情を浮かべていた。
「バーン商会の者か?」
代表者と思われる男が返事をする。
「は、はい。そうです。わたしはこちらの支店長でございます」
「そうか。俺はカズマ・ナカミチ。バーン翁やアルフレッドと懇意の者だ」
すると、バーン商会の者たちが気色を表に現した。
「おお!聞いております。貴方がカズマ殿でしたか!」
「ちょっと聞きたいんだけど、上にネーレウス号の乗組員はいないか?」
「おります!皆さま、こちらに軟禁されておりましたので」
大当たりだ。俺は笑顔を見せつつ、まだ這う這うの体でいる指揮官を無視して、階段に向かった。
「カズマ殿、バーン翁とアルフレッド様は……」
「無事だ。ただ、今は別の場所にいる。いずれ翁から連絡が入ると思う」
俺はそう思い、槍を後ろ手に引いた。
大盾を構えた重装兵たちが、びくりと反応してガチャガチャと大きな音を立てる。
だったら引けばいいのに。
そういうわけにもいかないか。
ならば仕方がない。
俺は一歩前に足を踏み出した。
そして蒼龍槍を頭上に押し上げ、振り回す。
片手で勢いよく振り回し、ぶおんぶおんと鈍く空気を切り裂く音を立てる。
重装兵たちがたじろぎ、大きな音を立てて後ろに一歩引き下がった。
その後ろに控える指揮官は、重装兵たちの様子を見て大いに慌てるも、どうしたらいいのかわからないといった様子で、ただ右往左往している。
さて、どうしたものか。時間をあまり使いたくはないものの、ここまで怯えた様子を見ては、さすがに少し気が引けてくる。
俺は頭上で振り回している蒼龍槍をギュッと握りしめると、重装兵たちに穂先を向ける形でビタッと止めた。
「どけと言っているのが、わからないのか!」
俺は重装兵たちを、怒髪天を衝く勢いで怒鳴りつけた。
すると、途端に雪崩を打って前線が崩れた。
一列に並んでいた重装兵たちが、大盾を捨て去り、一斉に後ろの裏口に向かって逃げ出したのだ。
それを慌てた様子で押しとどめようとする指揮官。だが逃げる重装兵たちによって弾き飛ばされ、後ろ向きに無様にしりもちをつく形となった。
指揮官は、逃げていく重装兵たちのあとを追おうとするも、腰が抜けているのか、四つん這いの姿勢でよちよちと歩きしか出来ない。
それでも必死で俺から逃れようとしている。
俺は思わず深い溜息を吐いた。
そこで、階段の上から何者かの声がした。
「貴方は……」
俺は声のする方向を見た。
数名の者たちが折り重なるようにして一階の惨状を覗き込み、驚きの表情を浮かべていた。
「バーン商会の者か?」
代表者と思われる男が返事をする。
「は、はい。そうです。わたしはこちらの支店長でございます」
「そうか。俺はカズマ・ナカミチ。バーン翁やアルフレッドと懇意の者だ」
すると、バーン商会の者たちが気色を表に現した。
「おお!聞いております。貴方がカズマ殿でしたか!」
「ちょっと聞きたいんだけど、上にネーレウス号の乗組員はいないか?」
「おります!皆さま、こちらに軟禁されておりましたので」
大当たりだ。俺は笑顔を見せつつ、まだ這う這うの体でいる指揮官を無視して、階段に向かった。
「カズマ殿、バーン翁とアルフレッド様は……」
「無事だ。ただ、今は別の場所にいる。いずれ翁から連絡が入ると思う」
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