１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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　ネーレウス号が停泊している埠頭へと向かう道の途中、怪訝そうに顔を覗き込む俺に、船長は言った。

「もしかすると帝国兵は、形勢が悪くなったと判断したところで、ネーレウス号に火をつけるかもしれないと思いまして……」

　俺はギョッとした。

「確かに……それはまずいな」

「ええ。ですので、何らかの対策を講じておきませんと」

　すると突然、俺の足にゼロスがすり寄ってきた。

　俺は辺りを見回し、人目につかない場所を探した。

　すると、すぐ近くに細い路地を発見した。

「船長だけついて来てくれ」

　俺はそう言って、すぐさまその路地に向かって歩き出した。
　
　他の船員たちが立ち止まる中、船長が俺のあとに続く。そして当然のようにゼロスも付いてきた。

　俺たち三人は他の船員たちを道に残して路地に入ると、あらためて周囲に人がいないことを確認した上で、相談を始めた。

「さっきの話だけど、ゼロスに何か考えがあるみたいだ」

　俺が話を向けると、ゼロスがゆっくりと口を開いた。

「わたしが先に船へと潜り込もう」

「帝国兵に見つからずに出来るか？」

「先程見たところでは、ネーレウス号の先端部分からロープが伸びて、埠頭に繋がれていた。それを伝っていけば帝国兵に気付かれずに船内へ潜入出来ると思う。帝国兵たちは船の中央部分に密集しているからな。まず見られることはあるまい」

「なるほどな。そして船の中に帝国兵がいたら、制圧しておくということか」

「そうだ」

「だが数が多ければ難しいんじゃないか？」

「それはそうだが、そう多くはおるまい。だが不安ならば、船員たちにも協力してもらうとしよう」

「どうやる？」

「まずはお前が暴れて帝国兵たちの注意を引き付ける。その隙に左右に分かれた船員たちが帝国兵の後ろに回り込み、橋げたを昇って船に侵入すればいい」

「そう上手くいくかな？」

「お前の暴れっぷりいかんだな」

「わかった。ではその案でいこう。船長もいいか？」

「かしこまりました。では船員を二手に別け、左右の路地から進みます」

「そうしてくれ」

「ではわたしは一足先に船に潜入するとしよう。お前はゆっくりとネーレウス号に向かって真っすぐに進んでくれ」



「さあ、どうした？やるのか、やらないのか？どっちだ！」

　俺の怒号に、帝国兵たちが雪崩を打って逃走を始めた。

　誰もが我先にと、陸地に向かって逃げていく。

　指揮官ははじめ、彼らを押しとどめようとしていたものの、流れを引き戻せるはずもなく、結局自らも脱兎のごとく走り出した。