1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「上手くいきましたな」

 船上から船長が顔をのぞかせ、言った。

 他の船員たちも笑顔で、俺に向かって手を振っている。

 俺も右手を上げて応えると、ネーレウス号へ乗り込むための橋げたに向かった。

 すると船員たちが、ロープで縛り上げられ自由を奪われた帝国兵を伴ない、橋げたから次々に下りてきた。

 船員たちは、帝国兵たちを下ろしきると、丁度橋げたにたどり着いた俺に向かって言った。

「こいつら、どうしますか?」

 俺は肩をすくめた。

「逃がしてやれ。他の帝国兵たちと同様にな」

 船員は「承知しました!」と答えると、帝国兵たちが縛られているロープを次々にナイフで切っていった。

 自由の身となった帝国兵たちは、少し戸惑いの表情を見せて互いの顔を見合わせた後、思い思いに逃げていった。

「さあ、乗ろう。早速出発したいからな」

 俺はそう言って、橋げたに足をかけた。

 船員たちが続く。

 橋げたを登り切ると、ゼロスたちが待っていた。

 俺は笑顔を見せた。

「上手くいったな」

 ゼロスも笑みを浮かべる。

「うむ。万事予定通りにいった」

「ゼロスの策のおかげだ。これでオルダナに無事に帰ることが出来る」

「策と呼べるほどのものではない」

「そんなことはない。謙遜しなくていいよ。今後も頼りにしているぜ」

 ゼロスが苦笑した。

「どうする?早速出立するか?」

「もちろんだ。一刻も早く戻りたいからな」

 脇で聞いていた船長が応じた。

「かしこまりました。おい!出港準備だ!」

 船長の号令一下、船員たちが全速力で散っていった。

 そしてそれぞれの持ち場に着くなり、それぞれが為すべきことを為した。

 大きなロープが、ところどころで引かれて波打つ。

 船体中央に高くそびえたつマストに、巨大な白い帆がスルスルと上がっていく。

 皆きびきびと、そして生き生きと絶え間なく動いている。

 ほどなくして、三本あるマストにすべて帆が張られた。白く大きな布地が風を孕み、激しく揺れている。

 船内の至る所で、船員たちが次々に声を張り上げた。それらを真剣な表情で船長が聞いている。

 船長はそれらの声が止むと同時に、俺に向かって言った。

「出発準備、完了しました」

 俺は満足げにうなずいた。

「では、出発してくれ」

「かしこまりました」

 船長は答えると、踵を返した。

 そして甲板上の船員たちに向かって、大音声で叫んだ。

「出港!」

 船員たちが「おお!」と一斉に応じた。

 と同時に、またも船員たちが勢いよく動き出す。
 
 しばらくして、大きな舵輪を両手でしっかりと握った操舵手が、その舵輪を勢いよく回転させた。

 と同時に三本の白い大きな帆が、一斉に向きを大きく変えた。

 いよいよだ。いざオルダナへ。

 俺は新たなステージの幕開けに心躍らせ、船の揺れに身を任せた。
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