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第二章
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だが、そんなことも言っていられない。なんといってもエルブリーズが動かなければ、アルデバラン奪還作戦の成功がおぼつかないからだ。
例え俺が無敵の快進撃をしたところで、アルデバラン王国の国土は広い。
アルデバラン領内を縦横無尽に駆け回ったところで、それは地図に線が引かれるだけのことだ。だがその線も、俺が通りすぎればベルガン兵たちによって次々に消されていってしまうだろう。そうなれば元の木阿弥だ。
だから、大事なのは面を抑えることだ。そうでなければ奪還にはならない。
各地を奪った後には、その地を守らなければならない。そのためには大量の兵士が必要となる。
だが現状、ベルガン駐留軍の兵士の数の方が、我々よりも遥かに多い。
いくら俺が戦術的に多くの勝利を挙げたとしても、それで戦略的な勝利となるわけではない。
やはりベルガンの兵数を減らしたい。そのためには、なんとしてもエルブリーズを動かさなければ――
「カズマ様」
造りのしっかりした一人掛けソファーに身を沈めてくつろぐ俺に、召使が声をかけてきた。
俺は現在、アリアス邸を出て、レアモンスターたちが収容されている公園近くの一軒家に居を構えている。
理由は当然、アリアスの俺への嫌悪が原因だ。
俺の人格が変わって以降、ますますその傾向は加速した。結果、アリアスは今ではまったく俺とは視線を合わさなくなった。それどころか、思いきりそっぽを向いて話す。
見かねて、レノアが一旦冷却期間を置こうと提案した。
あれだけあからさまに嫌悪感を全面に出されると、さすがに俺でもきつい。
俺はレノアの提案を聞くや、すぐに飛びついたというわけだ。
「どうかしたか?」
俺が応えると、召使が首を垂れながら答えた。
「レノア様がお越しでございます」
タイミングがいいな。
「通してくれ」
俺が言い終わった途端、ドアの向こうの笑顔が見えた。
「もう通ったよ」
レノアがそう言いつつ部屋に入ってきた。
「もちろん構わない。レノアなら、いつでも大歓迎だ」
レノアは俺と対面するソファーに腰かけるや、いきなり切り出した。
「僕と一緒に、エルブリーズに行ってくれないか」
俺は大層驚いた。恐らくその時の俺の顔は、とても間抜けなものだったろう。
「……ずいぶんといきなりだな。だが、意味は分かる。直接行ってエルブリーズと交渉するってわけか」
「そうだ。このままでは埒が明かないんでね」
「わかった。俺は護衛役だな」
「それもある」
俺は首を横に四十五度傾けた。
例え俺が無敵の快進撃をしたところで、アルデバラン王国の国土は広い。
アルデバラン領内を縦横無尽に駆け回ったところで、それは地図に線が引かれるだけのことだ。だがその線も、俺が通りすぎればベルガン兵たちによって次々に消されていってしまうだろう。そうなれば元の木阿弥だ。
だから、大事なのは面を抑えることだ。そうでなければ奪還にはならない。
各地を奪った後には、その地を守らなければならない。そのためには大量の兵士が必要となる。
だが現状、ベルガン駐留軍の兵士の数の方が、我々よりも遥かに多い。
いくら俺が戦術的に多くの勝利を挙げたとしても、それで戦略的な勝利となるわけではない。
やはりベルガンの兵数を減らしたい。そのためには、なんとしてもエルブリーズを動かさなければ――
「カズマ様」
造りのしっかりした一人掛けソファーに身を沈めてくつろぐ俺に、召使が声をかけてきた。
俺は現在、アリアス邸を出て、レアモンスターたちが収容されている公園近くの一軒家に居を構えている。
理由は当然、アリアスの俺への嫌悪が原因だ。
俺の人格が変わって以降、ますますその傾向は加速した。結果、アリアスは今ではまったく俺とは視線を合わさなくなった。それどころか、思いきりそっぽを向いて話す。
見かねて、レノアが一旦冷却期間を置こうと提案した。
あれだけあからさまに嫌悪感を全面に出されると、さすがに俺でもきつい。
俺はレノアの提案を聞くや、すぐに飛びついたというわけだ。
「どうかしたか?」
俺が応えると、召使が首を垂れながら答えた。
「レノア様がお越しでございます」
タイミングがいいな。
「通してくれ」
俺が言い終わった途端、ドアの向こうの笑顔が見えた。
「もう通ったよ」
レノアがそう言いつつ部屋に入ってきた。
「もちろん構わない。レノアなら、いつでも大歓迎だ」
レノアは俺と対面するソファーに腰かけるや、いきなり切り出した。
「僕と一緒に、エルブリーズに行ってくれないか」
俺は大層驚いた。恐らくその時の俺の顔は、とても間抜けなものだったろう。
「……ずいぶんといきなりだな。だが、意味は分かる。直接行ってエルブリーズと交渉するってわけか」
「そうだ。このままでは埒が明かないんでね」
「わかった。俺は護衛役だな」
「それもある」
俺は首を横に四十五度傾けた。
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