1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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「ああ。わかっている。本番はエルブリーズ到着後なんだから……」

 そこでレノアの顔が苦渋に満ち始めた。

 何やら深く考え込んでいる。腕を組んで首をあっちこっちに捻り始めた。ついでに唸り声まで出し始めた。

 まさか、もうすでに酔っているんじゃないだろうな?

 俺がそう心配した途端、レノアが顔を上げて言った。

「やっぱり、少しゆっくり走ってくれるかい?」

 俺は苦笑しつつ、答えた。

「わかった。ゆっくり行こう」

 そうして俺は速度を若干緩め、街道をひた北上させた。



「この先に町が見える。入るか?」

 俺は遠い地平線の彼方に浮かび上がる、夕焼けに染まった町並みを見つめながら、傍らのレノアに問いかけた。

「入ろう。そろそろ馬を替えた方がよさそうだ」

 速度を多少緩めたためか、レノアは依然元気だ。

 ならばと、そこで速度を上げた。

 オルダナ王国の王都ミラベルトを出発して、丸一日以上が経過している。昼夜を問わず、駆け抜けたのだ。

 だがまだ依然としてオルダナ領内からは出ていなかった。

「どれくらい来たかわかるか?」

「北西に進み始めてから、だいぶ経っているからねえ……たぶんギアルナまでは、あと半日ってところじゃないかな」

「まだだいぶあるな。レノアはまだ大丈夫か?」

「おかげさまで、このペースなら大丈夫みたいだ」

「そうか。ゼロスたちは平然としているから、もう少しペースを上げてみてもいいかもしれないな」

「そうだね。僕も具合が悪くなりそうなら言うし。あの町で馬を替えたら、少しペースを上げてみよう」

「わかった」

 俺は言うなり、手に持つ手綱を波打たせた。

 それに呼応して、馬がさらに速度を上げる。

 遥か先の町並みが、徐々に大きなものとなっていく。

「ああ、あれか。僕にも見えてきたよ」

「結構大きな町のようだ。あそこなら、いい馬が手に入れられそうだ」

「そうだね。小さい町だと、やせ細った馬ばかりで替える意味がなかったりするしね」

「あの町なら、頑丈でスタミナがありそうな馬を手に入れられるだろう」

「そうだといいね」

「これくらいの速度でどうかな?」

「たぶん、これくらいなら問題ないと思うけど、長期に渡った場合はわからないね」

「そうだな。まあとにかく、具合が悪くなりそうだったら言ってくれ。悪くなってからでは遅いだろうし」

「そうさせてもらうよ。僕も、出来ればあんなにつらい思いはしたくないしね」

「そういうことだ。それにしても、酔い止めの魔法とかはないのか?」

 レノアが肩をすくめた。

「さあ、聞いたことはないね。でも、もしかしたら探せばあるかも」
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