１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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「くそっ！もういい！」

　俺はこの腹の立つやり取りを切り上げ、女を避けてすれ違おうとした。

　だがそんな俺に、女が鋭く声をかけた。

「待て。お前、何処に行くって？」

　俺は女を横目で睨みつけつつ言った。

「そんなのお前に言う必要はない！」

　すると女が俺を鼻で笑った。

「ふん、ならいいさ。せいぜい気をつけていくがよい」

　俺は何か気の利いた捨て台詞でも言おうかと考えたが、思いつかなかった。

「お前もな！」

　俺はそう言って女から遠ざかっていった。

　くそっ！気分が悪い！あんな女に、こんなところで出会うなんて！もしかして特異点の性質が発動したとでもいうのか？だとしたら冗談じゃない。そんな性質、願い下げだ。

　俺は腹立たしい思いを抱えつつ、大通りを進んだ。

　すると、右手にかなり豪勢な佇まいのホテルを見つけた。

　よし、気分を直そう。ここはだいぶよさそうだ。

　俺はそう思い、そのホテルへと足を向けた。

　だが気分はカッカしたままだ。頭に血が上っている。少し冷静になろう。

　俺は一旦そこで立ち止まり、大きく息を吸い込んだ。そして肺腑の中を完全に満たすと、中の空気を一気に口から放出させた。

　よし、だいぶおさまった。

　俺は再び歩き出し、ホテルへと向かった。ホテルの玄関は大通りから一段高いところにあり、その前には五段ほどの扇型の幅広い階段があった。

　俺はその階段を一歩ずつ上がっていく。上がり切ると、大きな扉の前にはドアマンらしき男が立っていた。

　その男が階段を上り切って近づく俺に気付いた。と同時に俺に向かって会釈をした。

　俺も軽く会釈を返すと、ドアマンが素早く大きな扉を全身を使って一気に開け放ってくれた。

　俺はもう一度ドアマンに軽く会釈すると、遠慮なく扉の向こうに歩を進めた。

　扉を抜けると、床一面の大理石が俺を出迎えてくれた。

　ほう、かなり豪華な造りだな。

　天井の高さは五メートルはある。その天井からは煌びやかなシャンデリアが垂れ下がっていた。

　一流ホテルといって間違いないな。

　よし、ここに決めよう。

　俺は右手にある受付カウンターへと足を向けた。

　カウンターの向こうのホテルマンが俺に気付いた。

「何か御用がおありでしょうか？」

「部屋は空いているかな？ツインが六部屋なんだけど」

　俺とレノア、それにゼロスはひと部屋でいい。ラーズ族は十人だから、五部屋。合わせてツインが六部屋あれば事足りる。

　ホテルマンは笑顔で言った。

「少々お待ちください。確認いたします」

　そう言って男は視線を下に移した。

　手元のファイルで空き室の確認をしているようだ。

　と、男が笑顔を張り付けたまま顔を上げた。