１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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　それを確認すると俺も路地に入った。女の脇をすり抜け、レノアやゼロス、ラーズ族を尻目に奥へと進み、列の最後尾を陣取った。

　そうだ。離れて話さなければいいんだ。一番後ろで時間が過ぎ去るのを待とう。

　そこから俺は一時間もの間、ただひたすら無言で嵐が過ぎ去るのを待った。



　女が店の中に入って行く。

　するとレノアが、後ろに陣取る俺に向かって言った。

「一応、次だよ」

　俺は無言でうなずいた。

　と、すぐにレノアに対して店の者が話しかけた。

　レノアがにんまりと笑顔になった。

　そして俺の方に振り返ると、言った。

「用意が出来たってさ」

　早いな。こちらは大人数だ。人数分の席が空くまで、もっと待たされるかと思っていた。

　すると丁度都合よく団体客が店から出てきた。

　なるほど。彼らがいた席ってわけだ。

　レノアが早速店の中に入っていく。

　次いでゼロス、ラーズ族が続く。

　そして最後に俺だ。

　中に入ると、かなり大振りで煌びやかなシャンデリアが出迎えてくれた。

　でかい。客が百人以上は入れそうなほどだ。いや、左手に二階へと続く螺旋階段がある。ならば二百人以上か。

　よほど繁盛しているようだ。

　俺は期待に胸を膨らませた。正直、俺も腹が相当に空いている。空腹は一番の調味料という。ならば、なにを食べてもきっと美味いだろう。しかもこの繁盛店とくれば、どれだけ美味くなるか。

　期待しかない。

　俺はわくわくする気持ちで店の中を闊歩した。

　先頭のレノアが、巨大な円形テーブルを囲む席の一角に座った。

　どうやらあそこが俺たちの席らしい。

　だがそこで俺は、つと足を止めた。

　おい、待て。どういうことだ？

　レノアの右隣に、あの女が座っていやがる。

　すると、ゼロスがそのレノアの脇にすっと座り込んだ。

　次いでラーズ族たちが、時計回りに順番に円形のテーブル席を埋めていく。

　あ、いや、ほんとうに待て。そのままだと……まずい。

　だが俺が声をかけるより早く、ラーズ族は全員席に着いてしまった。

　結果空いている席が、あの女の隣だけとなってしまった。

　俺はその場に立ち尽くした。

　するとレノアが、そんな俺に声をかける。

「さあ、座りなよ」

　俺は据えた目つきでレノアを睨みつけた。

「席がない」

「あるじゃない。僕の隣の隣が空いているよ」

　俺はさらにきつくレノアを睨みつける。

「そこは嫌だ」

「子供じゃないんだから、わがまま言わない」

　駄々っ子をあやすようにレノアが言った。

　俺の怒りは頂点に達しようとしていた。

　だが、そのとき腹の虫が鳴ってしまった。