1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 それは思いのほか大きな音であり、レノアはもちろん、ゼロスや、ラーズ族までもが笑った。

 俺は怒りに打ち震えた。

 だがレノアがそんな俺にまた声をかける。

「さあ、そんなところに突っ立っていないで座りなよ。なにがあったかしらないけどさ、とにかくまずは食事をとろう。お腹が満たされれば、きっと怒りも収まるはずさ」

 俺はどうしようか迷った。

 だが空腹には勝てない。なにより左右両隣のテーブルから匂いたつ料理の香りがたまらない。

 一旦休戦とするか。

 俺は仏頂面のまま歩き、仕方なく女の隣の席へと座った。

 この間、女はずっと無言だった。

 どうも先ほどから不気味で仕方ない。俺にとって嫌なタイミングを見計らっているんじゃないだろうか。

 だが横を見る勇気はない。見た途端に、速射砲のように罵詈雑言を浴びせかけられそうな気がするからだ。

 レノアが楽しそうにメニューを見ている。何度もページをめくっては戻し、まためくっては戻しという動作をしている。よほど決めかねているようだ。

 だがついに決まったらしく、メニューを閉じた。

 そしてラーズ族たちに向かって言う。

「君たちは僕と同じメニューでいいかな?」

 ラーズ族は話言葉はわかるものの、文字は読めない。

 それゆえレノアは聞いたのだ。

 ラーズ族が一斉にうなずく。
 
 次いでレノアが足元に寝そべるゼロスに聞いた。

「ゼロスも同じでいいよね?」

 ゼロスは無言で軽くうなずいた。

「よし、じゃあ最後は君だけど……」

「同じでいい」

 俺はそっけなく言った。

 レノアが肩をすくめる。

「わかった。じゃあ全員同じものだね」

 すると、さっとレノアが右手を上げた。

 すかさず近くの店員がやってくる。

 レノアは店員にメニューを見せながら料理名を指さし、注文していく。

 そして同じものを全員分と伝え、最後に足元のゼロスには食べやすいように平皿で用意するよう言うと、店員はうやうやしくお辞儀して去っていった。

「楽しみだね」

 レノアが、右隣りの女をすっ飛ばしてさらに右に座る俺に向かって言った。

「ああ」

 俺は仏頂面で、そっけなく言った。

 するとちらりと女が俺を横目で見た。

 来るか?

 だが女は無言のまま辺りを見渡し、視線を正面に戻した。

 まずは食事だ。レノアも言っていたように、空腹が満たされれば多少は気分が良くなるだろう。とにかく腹に入れることだ。そうすれば……

「ところでさ、一体君たちの間で何があったんだい?」

 俺は思わず顔をひきつらせた。頬がぴくぴくと波打つ。

 おい、どういうことだ。まずは腹を満たすんじゃなかったのか。

 俺は怒りを込めてレノアを睨みつけた。
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