１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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「わたしもレノアの発想自体は素晴らしいと思っている。エルブリーズの大軍が国境線沿いに姿を現せば、ベルガンはそれに対処せざるを得ない。結果、我らが対する敵軍の総数はかなり減らされるだろう。だが、日頃消極的な思考の者は、動かざるを得ない時にさえ、消極的な行動しか出来なくなるのだよ。残念だが、それがひとの性さがというものさ」

「確かにそれは、B・Bの言うとおりだと俺も思う。だけどレノアのことだ。きっと何か策があるはずだ。俺はそれを信じているんだ」

「あんなに弱っちく倒れて寝込んでいる奴をか？」

　B・Bは両手を広げて手のひらを上に向け、肩をすくめて小馬鹿にするように言った。

　俺は友人を侮辱され、腹の底から憤懣が湧き起こったものの、なんとかそれを飲み込んだ。
　
「腕っぷしの強い弱いは関係ない。レノアの頭脳と弁舌がものをいうはずだ」

「ふむ、確かに口は達者だな。だがそれでなんとかなる連中かな？」

「さあな。俺はエルブリーズ人と出会ったことがない。だからエルブリーズの中枢にいるのがどんな連中かはわからないが、レノアならきっとうまくやるさ」

　B・Bは深い溜息を吐いた。

「頭脳と弁舌か……それに我らの個としての武力。果たしてそれで、本当に奴らを説得出来るものなのか……」

　B・Bはそう言って厳しい表情で黙りこくった。

　そうなのだ。B・Bも国を、アルデバランを心底から憂いているんだ。だから不安なんだ。

　実際、エルブリーズが動かなかった場合、アルデバラン奪還作戦の成功はかなりおぼつかなくなる。なんといってもベルガンのアルデバラン駐留軍の数が多すぎるのだ。俺が突進し、点と線を奪えたとしても、面を奪還する間もなく、奪ったはずの点と線を奪い返されてしまうだろう。

　そう。数は力なのだ。数がなければ守れない。せっかく奪っても、守り切れないのだ。

　だからエルブリーズを動かすことが重要になってくる。いや、最重要といっていい。これによって戦局が大きく左右されるからだ。だからなんとしてもエルブリーズを動かさねばならない。

　それ故、B・Bは苦悩しているのだ。

　だがそれでも、俺はやはりレノアを信じる。今は弱弱しくベッドに寝込んでいるけども、エルブリーズにたどり着きさえすれば、千人力となってくれるはずだ。それほどの頭脳の持ち主なんだ。

　だから俺はなんの迷いもなく、レノアを信じる。

　大丈夫だ。レノアなら、レノアならきっとうまくやってくれる。

　俺は、隣部屋ですやすやと寝入るレノアに視線を向け、笑みを湛えてうなずいた。