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第二章
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だが、それでも行く。前へ前へ。ただひたすらに俺は蒼龍槍を振り続ける。
すでに俺たちは、馬車から五十メートルほども遠ざかっている。それほどにがむしゃらに前進しつつ振り続けた。
しかしそれでも当たらなかった。すんでのところで、ことごとく華麗なステップワークで躱されてしまう。
いや、諦めるな。続けるんだ。俺の心の中のなにかが、そう叫んでいる。そうだ。続けるんだ。そうすればいずれ、なにごとかなるはずだ。俺はそう思い、ただひたすらに数分もの間、蒼龍槍を振り続けた。
すると、変化が起きた。B・Bの口元が、固く引き結ばれている。笑みが消えたのだ。よく見ると、額にはうっすらと汗がにじんでいる。疲れか。B・Bはただ後ろにステップしているわけではない。時折、左右にも跳んでいる。
これは思っている以上に、スタミナを要する動きだ。ならば、徐々に動きは鈍くなる。
それに対して俺には、無尽蔵といえるスタミナがある。アルデバラン脱出時に、俺は蒼龍槍を幾度振るったことだろう。数百?いや数千?もしかすると万に届いたかもしれないほどに俺は蒼龍槍を振るい、血路を開いたのだ。
この程度ならば、汗をかくほどでもない。こうなれば長期戦だ。持久力にものをいわせてやる。
俺は次から次へと斬撃を繰り出し、B・Bを追い詰めていく。
と、ついに蒼龍槍の先が、何かに触れた。
髪の毛だ。B・Bの肩まで伸びた黒髪が動きによってなびき、その先端に蒼龍槍が触れた。
チッというわずかな擦過音を立て、髪の毛の先端が断たれ、風に乗って流れていく。
俺はにやりと口角を上げた。
行ける。このまま行けば、いずれ。
それを悟ったか、B・Bが舌打ちをする。
俺の口角がさらに上がる。これで形勢逆転だ。いや、もちろん最初から攻勢に出ていたのは俺の方だ。だがB・Bは余裕をもって躱していた。だから傍から見れば、俺はただ攻めているように見えて、B・Bに攻め込まされているように見えただろう。つまりこれまでは、B・Bの方が形勢が上だったということだ。だが今は違う。今B・Bには余裕がない。形勢は覆ったのだ。
神速の切り上げ、そして切り下げ。左右から次々と俺は斬撃を繰り出した。
するとついに、B・Bがたまらず剣を振り上げ、俺の槍を受けようとした。
甲高い衝突音が街道に鳴り響く。だが――
次の瞬間、B・Bの剣は宙高く舞い上がった。剣は勢いよく回転し、ヒュンヒュンと空気を切り裂く音を立てながら弧を描き、地面に鈍い音を立てて突き刺さった。
すでに俺たちは、馬車から五十メートルほども遠ざかっている。それほどにがむしゃらに前進しつつ振り続けた。
しかしそれでも当たらなかった。すんでのところで、ことごとく華麗なステップワークで躱されてしまう。
いや、諦めるな。続けるんだ。俺の心の中のなにかが、そう叫んでいる。そうだ。続けるんだ。そうすればいずれ、なにごとかなるはずだ。俺はそう思い、ただひたすらに数分もの間、蒼龍槍を振り続けた。
すると、変化が起きた。B・Bの口元が、固く引き結ばれている。笑みが消えたのだ。よく見ると、額にはうっすらと汗がにじんでいる。疲れか。B・Bはただ後ろにステップしているわけではない。時折、左右にも跳んでいる。
これは思っている以上に、スタミナを要する動きだ。ならば、徐々に動きは鈍くなる。
それに対して俺には、無尽蔵といえるスタミナがある。アルデバラン脱出時に、俺は蒼龍槍を幾度振るったことだろう。数百?いや数千?もしかすると万に届いたかもしれないほどに俺は蒼龍槍を振るい、血路を開いたのだ。
この程度ならば、汗をかくほどでもない。こうなれば長期戦だ。持久力にものをいわせてやる。
俺は次から次へと斬撃を繰り出し、B・Bを追い詰めていく。
と、ついに蒼龍槍の先が、何かに触れた。
髪の毛だ。B・Bの肩まで伸びた黒髪が動きによってなびき、その先端に蒼龍槍が触れた。
チッというわずかな擦過音を立て、髪の毛の先端が断たれ、風に乗って流れていく。
俺はにやりと口角を上げた。
行ける。このまま行けば、いずれ。
それを悟ったか、B・Bが舌打ちをする。
俺の口角がさらに上がる。これで形勢逆転だ。いや、もちろん最初から攻勢に出ていたのは俺の方だ。だがB・Bは余裕をもって躱していた。だから傍から見れば、俺はただ攻めているように見えて、B・Bに攻め込まされているように見えただろう。つまりこれまでは、B・Bの方が形勢が上だったということだ。だが今は違う。今B・Bには余裕がない。形勢は覆ったのだ。
神速の切り上げ、そして切り下げ。左右から次々と俺は斬撃を繰り出した。
するとついに、B・Bがたまらず剣を振り上げ、俺の槍を受けようとした。
甲高い衝突音が街道に鳴り響く。だが――
次の瞬間、B・Bの剣は宙高く舞い上がった。剣は勢いよく回転し、ヒュンヒュンと空気を切り裂く音を立てながら弧を描き、地面に鈍い音を立てて突き刺さった。
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