14 / 55
第十四話 エニグマ
『エニグマ』
すると突然、俺の背後に気配が。
俺は咄嗟に振り向いた。
するとそこには、俺と同い年か、もう少し若いくらいの少女が立っていた。
「お呼びですか。二ムバス様」
エニグマと呼ばれた少女が恭しくお辞儀をしながら言った。
『うむ。こいつの特訓の準備をしてくれ』
「かしこまりました」
エニグマは再び二ムバスに対して深々とお辞儀をすると、やおら俺に向き合った。
「それではどうぞこちらへお越しください」
エニグマはそう言うと踵を返し、明かりの射す入り口に向かって歩き始めた。
「あ、ああ……」
俺は気圧されながらも、エニグマの後を追った。
するとその背に、二ムバスが声を掛けてきた。
『せいぜい俺のために頑張ってくれ』
俺は振り返りもせずに二ムバスに答えた。
「お前のためになんて誰が頑張るかよ。頑張るとしたら俺自身のためだ」
『どっちでもいい。結果はおなじなのだからな』
二ムバスはそう言うと、高らかに笑うのであった。
「やっぱり眩しいな」
俺は再び半透明に光り輝く世界に戻ってきた。
周囲はダイヤモンドかと思わせる程の光沢を放つ物質に囲まれている。
だが俺の言葉にエニグマは一切反応しない。
結果として俺の言葉は独り言となった。
俺は少し気まずい思いを胸に、さらにエニグマの後を付いていった。
するとエニグマは神殿を抜け、大階段をも下っていった。
そして神殿の前の土気だった広大なスペースの真ん中辺りまで来て、ようやく止まった。
エニグマはゆっくりと振り向き、言った。
「準備はよろしいでしょうか?」
俺は戸惑った。
準備と言われても、困る。
どうすればいいのか逡巡していると、エニグマがすかさず言った。
「心構えだけで結構です。特に武器などは必要ございません」
「そうなのか……なら、まあ」
「では参ります」
エニグマは時間が惜しいとばかりに早速始めようとした。
俺はさすがに押しとどめた。
「ちょっ!ちょっと待ってくれ!……もう少し時間と……後、もう少し聞きたいことがある」
「何でしょう」
エニグマは常に感情を一切表に表わさず、冷静そのものといった様子である。
俺は少し心を落ち着かせて、問い掛けた。
「その、特訓というのは魔物とってことだよね?」
「左様です」
「じゃあその魔物を……君が召喚するって感じかな?」
「その通りです」
「その魔物なんだけど……俺でも倒せるレベルなのかな?」
「もちろんです。貴方が必死に戦い、ようやくギリギリで勝てるレベルの魔物を召喚いたします」
「げっ!……マジで?」
「無論です。そうでなければレベルが上がりません」
「それはそうだろうけど……」
「もうよろしいでしょうか」
「い、いや、もうちょっと待って」
俺は右手を上げて、エニグマを止めた。
「その……ちなみに最初はレベルいくつの魔物を召喚するつもりなの?」
エニグマはスーッと目を細めて、ジッと俺を見つめながら答えた。
「初めはレベル50でよろしいかと」
俺は目が飛び出そうになるくらいに驚いた。
「ちょっと待って!無理!無理無理無理無理!レベル50なんて瞬殺されるよ!無理に決まってんじゃん!」
「そんなことはないかと」
「いや!あるって!瞬殺だって!」
「無論、今の貴方よりかは格上ですが、決して勝てない相手ではないかと」
「何言ってんの!勝てるわけないじゃん!俺のレベルいくつだと思ってんのさ!レベル8だよ?」
だがエニグマは顔色一つ変えずに言った。
「それは二ムバス様が中に入られる前のレベルだと思いますが」
「え?……もしかして一万分の一が入ってレベル上がったとか?」
「ご自分で確認されたらよいのでは?」
俺は慌てて『ステータス』を唱えた。
すると、そこには驚くべき数字と忌まわしい言葉が羅列されていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
ジーク=テスター
レベル:45
HP:257
ちから:302
すばやさ:331
まもり:258
かしこさ:192
MP:161
クラス:
特殊能力:毒無効 暗闇無効 麻痺無効 沈黙無効
物理威力MAX 魔法威力MAX
物理耐性MAX 魔法耐性MAX
炎魔法MAX 氷魔法MAX 雷魔法MAX 地魔法MAX 風魔法MAX
闇魔法MAX 召喚魔法MAX
HP自己回復MAX MP自己回復MAX
称号:悪魔王の分身
すると突然、俺の背後に気配が。
俺は咄嗟に振り向いた。
するとそこには、俺と同い年か、もう少し若いくらいの少女が立っていた。
「お呼びですか。二ムバス様」
エニグマと呼ばれた少女が恭しくお辞儀をしながら言った。
『うむ。こいつの特訓の準備をしてくれ』
「かしこまりました」
エニグマは再び二ムバスに対して深々とお辞儀をすると、やおら俺に向き合った。
「それではどうぞこちらへお越しください」
エニグマはそう言うと踵を返し、明かりの射す入り口に向かって歩き始めた。
「あ、ああ……」
俺は気圧されながらも、エニグマの後を追った。
するとその背に、二ムバスが声を掛けてきた。
『せいぜい俺のために頑張ってくれ』
俺は振り返りもせずに二ムバスに答えた。
「お前のためになんて誰が頑張るかよ。頑張るとしたら俺自身のためだ」
『どっちでもいい。結果はおなじなのだからな』
二ムバスはそう言うと、高らかに笑うのであった。
「やっぱり眩しいな」
俺は再び半透明に光り輝く世界に戻ってきた。
周囲はダイヤモンドかと思わせる程の光沢を放つ物質に囲まれている。
だが俺の言葉にエニグマは一切反応しない。
結果として俺の言葉は独り言となった。
俺は少し気まずい思いを胸に、さらにエニグマの後を付いていった。
するとエニグマは神殿を抜け、大階段をも下っていった。
そして神殿の前の土気だった広大なスペースの真ん中辺りまで来て、ようやく止まった。
エニグマはゆっくりと振り向き、言った。
「準備はよろしいでしょうか?」
俺は戸惑った。
準備と言われても、困る。
どうすればいいのか逡巡していると、エニグマがすかさず言った。
「心構えだけで結構です。特に武器などは必要ございません」
「そうなのか……なら、まあ」
「では参ります」
エニグマは時間が惜しいとばかりに早速始めようとした。
俺はさすがに押しとどめた。
「ちょっ!ちょっと待ってくれ!……もう少し時間と……後、もう少し聞きたいことがある」
「何でしょう」
エニグマは常に感情を一切表に表わさず、冷静そのものといった様子である。
俺は少し心を落ち着かせて、問い掛けた。
「その、特訓というのは魔物とってことだよね?」
「左様です」
「じゃあその魔物を……君が召喚するって感じかな?」
「その通りです」
「その魔物なんだけど……俺でも倒せるレベルなのかな?」
「もちろんです。貴方が必死に戦い、ようやくギリギリで勝てるレベルの魔物を召喚いたします」
「げっ!……マジで?」
「無論です。そうでなければレベルが上がりません」
「それはそうだろうけど……」
「もうよろしいでしょうか」
「い、いや、もうちょっと待って」
俺は右手を上げて、エニグマを止めた。
「その……ちなみに最初はレベルいくつの魔物を召喚するつもりなの?」
エニグマはスーッと目を細めて、ジッと俺を見つめながら答えた。
「初めはレベル50でよろしいかと」
俺は目が飛び出そうになるくらいに驚いた。
「ちょっと待って!無理!無理無理無理無理!レベル50なんて瞬殺されるよ!無理に決まってんじゃん!」
「そんなことはないかと」
「いや!あるって!瞬殺だって!」
「無論、今の貴方よりかは格上ですが、決して勝てない相手ではないかと」
「何言ってんの!勝てるわけないじゃん!俺のレベルいくつだと思ってんのさ!レベル8だよ?」
だがエニグマは顔色一つ変えずに言った。
「それは二ムバス様が中に入られる前のレベルだと思いますが」
「え?……もしかして一万分の一が入ってレベル上がったとか?」
「ご自分で確認されたらよいのでは?」
俺は慌てて『ステータス』を唱えた。
すると、そこには驚くべき数字と忌まわしい言葉が羅列されていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
ジーク=テスター
レベル:45
HP:257
ちから:302
すばやさ:331
まもり:258
かしこさ:192
MP:161
クラス:
特殊能力:毒無効 暗闇無効 麻痺無効 沈黙無効
物理威力MAX 魔法威力MAX
物理耐性MAX 魔法耐性MAX
炎魔法MAX 氷魔法MAX 雷魔法MAX 地魔法MAX 風魔法MAX
闇魔法MAX 召喚魔法MAX
HP自己回復MAX MP自己回復MAX
称号:悪魔王の分身
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
追放された俺、悪魔に魂を売って全属性魔法に覚醒。悪魔契約者と蔑まれるが、まぁ事実だ。勇者? ああ、俺を見下してたやつな
自ら
ファンタジー
灰原カイトのスキルは【魔力親和】。評価F。
「外れスキル」の烙印を押された彼は、勇者パーティで三年間、荷物を運び、素材を剥ぎ、誰よりも早く野営の火を起こし続けた。
そして、捨てられた。
「お前がいると、俺の剣が重くなる」
勇者が口にした追放の理由は、侮蔑ではなかった。恐怖だった。
行き場を失ったカイトの前に、一人の悪魔が現れる。
「あなたの魂の、死後の行き先をちょうだい。代わりに、眠っている力を起こしてあげる」
病弱な妹の薬代が尽きるまで、あと十日。
カイトは迷わなかった。
目覚めたのは、全属性魔法――歴史上、伝説にしか存在しない力。
だがその代償は、使うたびに広がる魔印と、二度と消えない「悪魔契約者」の烙印。
世界中から蔑まれる。教会に追われる。かつての仲間には化け物と呼ばれる。
――まぁ、その通りだ。悪魔に魂を売ったのは事実だし。
それでも。没落貴族の剣姫と背中を預け合い、追放された聖女と聖魔の同時詠唱を編み出し、契約した悪魔自身と夜空の下で笑い合う日々は、悪くない。
これは、世界の「調律者」だった男が、その座を追われてなお、自分の手で居場所を作り直す物語。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。