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第十八話 肉弾戦
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俺は思わずちらりとエニグマを見た。
するとエニグマが仕方ないとばかりにため息を吐きながら肩をすぼめた。
そして何やら右手を前に差し出すと、掌を下に向けた。
するとその掌の先から煌々と輝く一振りの剣が現れ出でた。
エニグマはその剣の柄を掴むと、俺に向かって放り投げた。
俺は甲高い金属音を奏でて目の前の地面に落下したその剣を、すかさず拾い上げた。
これで戦うしかない。
物理威力MAXが、俺の力を上方修正してくれるはずだ。
俺は覚悟を決めると、一歩前へと足を踏み出した。
そして次々に足を前へと繰り出し、恐るべき巨竜に向かって速度を上げていく。
するとその時、ドラゴンが耳をつんざくような咆哮を上げた。
恐怖に身がすくみそうになるのを堪え、俺はさらに前へと進んでいった。
近い。
もう目の前だ。
こいつを倒したら俺のステータス画面に、ドラゴンスレイヤーの文字が現れるんだろうか。
ええい、今はそんなことを考えるな。
とにかくこいつを倒すんだ。
俺は両手に握った大ぶりの剣を頭上高く振りかぶった。
そして、全身の力を両手に伝えて力一杯に振り下ろした。
ぶっとい肉を斬り付けた、鈍い音が響き渡る。
次いでドラゴンの悲鳴が鳴り響く。
俺の剣は間違いなくドラゴンの硬い鱗を切り裂き、その太い左脚に深々と食い込んでいた。
「斬れた!」
だが切り落とせたわけじゃない。
俺は深々と食い込んだ剣を力一杯に引き抜いた。
その勢いで後ろに倒れそうになる。
だがレベル45に上がっているからか、膂力が強くなっているのだろう。
難なく右脚を後ろに一歩引くことによって、倒れるのを防いだ。
もう一発!
俺が剣を再び頭上高く振りかぶると、その瞬間何か巨大なものに横殴りにぶん殴られたかのように身体が吹っ飛んだ。
地面を転がり、十メートルほども飛んでようやく止まったようだ。
「……な……何だ?……」
俺は衝撃で頭を打ち付けたのか、激しいめまいがしていた。
視界がぼんやりとしつつ、くるくると景色が回っている。
気持ちが悪い。
それに全身にひどい痛みがある。
殴られた?
何に?
俺の思考回路もひどくやられているようで、考えがまとまらない。
今俺はどうなっている?
たぶん倒れていると思う。
恐らくは吹き飛んで地面に寝転んでいるのだろう。
ようやく考えがまとまるようになってきた。
おそらく尻尾だ。
ドラゴンの尻尾にぶん殴られたんだ。
くそっ!油断した。
いけるか?
俺は四肢に力を込め、なんとか四つん這いの姿勢まで持ってきた。
ドラゴンは何処だ?
俺は四つん這いの姿勢で首を巡らし、ドラゴンを見た。
どうやら大丈夫のようだ。奴も回復に手一杯でその場に留まっており、追撃してくる様子はない。
なら俺も回復に努めるべきだ。
HP自己回復能力はどうした?
俺はステータス画面を開くと、HP欄を見た。
HP:163/257
くそっ!100近く削られている。
一撃でこれかよ。
俺は深く深呼吸をすると、四肢にさらに力を込めてゆっくりと立ち上がった。
ふらふらとするが、なんとか立てた。
剣は?
俺は首を巡らして剣を探した。
あった。すぐ近くに落ちている。
俺はすぐさま近寄ろうとするも、身体に激痛が走る。
だが耐えるしかない。
俺は歯を食いしばって足を踏み出すと、しっかりと剣を掴んで拾い上げた。
「物理耐性MAXってのは、どうやって発動させればいいんだ?」
俺は声を振り絞ってエニグマに問い掛けた。
エニグマの顔は見えない。
視界がまだ定まっていないためだ。
だからエニグマがどんな顔をしたのかはわからない。
だけど、恐らくは呆れた顔をしたのだろうな。
「物理耐性は勝手に発動します。つまり、今のは発動していたからその程度ですんだということです」
「くそっ!発動してこれかよ」
俺は吐き捨てるように言った。
「でも、やるしかない。こいつを倒してドラゴンスレイヤーの称号を手に入れてやる。そして、この忌まわしいダンジョンから必ず脱出してやるさ!」
するとエニグマが仕方ないとばかりにため息を吐きながら肩をすぼめた。
そして何やら右手を前に差し出すと、掌を下に向けた。
するとその掌の先から煌々と輝く一振りの剣が現れ出でた。
エニグマはその剣の柄を掴むと、俺に向かって放り投げた。
俺は甲高い金属音を奏でて目の前の地面に落下したその剣を、すかさず拾い上げた。
これで戦うしかない。
物理威力MAXが、俺の力を上方修正してくれるはずだ。
俺は覚悟を決めると、一歩前へと足を踏み出した。
そして次々に足を前へと繰り出し、恐るべき巨竜に向かって速度を上げていく。
するとその時、ドラゴンが耳をつんざくような咆哮を上げた。
恐怖に身がすくみそうになるのを堪え、俺はさらに前へと進んでいった。
近い。
もう目の前だ。
こいつを倒したら俺のステータス画面に、ドラゴンスレイヤーの文字が現れるんだろうか。
ええい、今はそんなことを考えるな。
とにかくこいつを倒すんだ。
俺は両手に握った大ぶりの剣を頭上高く振りかぶった。
そして、全身の力を両手に伝えて力一杯に振り下ろした。
ぶっとい肉を斬り付けた、鈍い音が響き渡る。
次いでドラゴンの悲鳴が鳴り響く。
俺の剣は間違いなくドラゴンの硬い鱗を切り裂き、その太い左脚に深々と食い込んでいた。
「斬れた!」
だが切り落とせたわけじゃない。
俺は深々と食い込んだ剣を力一杯に引き抜いた。
その勢いで後ろに倒れそうになる。
だがレベル45に上がっているからか、膂力が強くなっているのだろう。
難なく右脚を後ろに一歩引くことによって、倒れるのを防いだ。
もう一発!
俺が剣を再び頭上高く振りかぶると、その瞬間何か巨大なものに横殴りにぶん殴られたかのように身体が吹っ飛んだ。
地面を転がり、十メートルほども飛んでようやく止まったようだ。
「……な……何だ?……」
俺は衝撃で頭を打ち付けたのか、激しいめまいがしていた。
視界がぼんやりとしつつ、くるくると景色が回っている。
気持ちが悪い。
それに全身にひどい痛みがある。
殴られた?
何に?
俺の思考回路もひどくやられているようで、考えがまとまらない。
今俺はどうなっている?
たぶん倒れていると思う。
恐らくは吹き飛んで地面に寝転んでいるのだろう。
ようやく考えがまとまるようになってきた。
おそらく尻尾だ。
ドラゴンの尻尾にぶん殴られたんだ。
くそっ!油断した。
いけるか?
俺は四肢に力を込め、なんとか四つん這いの姿勢まで持ってきた。
ドラゴンは何処だ?
俺は四つん這いの姿勢で首を巡らし、ドラゴンを見た。
どうやら大丈夫のようだ。奴も回復に手一杯でその場に留まっており、追撃してくる様子はない。
なら俺も回復に努めるべきだ。
HP自己回復能力はどうした?
俺はステータス画面を開くと、HP欄を見た。
HP:163/257
くそっ!100近く削られている。
一撃でこれかよ。
俺は深く深呼吸をすると、四肢にさらに力を込めてゆっくりと立ち上がった。
ふらふらとするが、なんとか立てた。
剣は?
俺は首を巡らして剣を探した。
あった。すぐ近くに落ちている。
俺はすぐさま近寄ろうとするも、身体に激痛が走る。
だが耐えるしかない。
俺は歯を食いしばって足を踏み出すと、しっかりと剣を掴んで拾い上げた。
「物理耐性MAXってのは、どうやって発動させればいいんだ?」
俺は声を振り絞ってエニグマに問い掛けた。
エニグマの顔は見えない。
視界がまだ定まっていないためだ。
だからエニグマがどんな顔をしたのかはわからない。
だけど、恐らくは呆れた顔をしたのだろうな。
「物理耐性は勝手に発動します。つまり、今のは発動していたからその程度ですんだということです」
「くそっ!発動してこれかよ」
俺は吐き捨てるように言った。
「でも、やるしかない。こいつを倒してドラゴンスレイヤーの称号を手に入れてやる。そして、この忌まわしいダンジョンから必ず脱出してやるさ!」
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