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第四十三話 打算
「……陛下。謹んで申し上げます。どうやらその者たちは、ジーク=テスターに対してよからぬことを考えたようです。ですが、わたくしは関係ございません。それこそわたくしは、その者たちと会ったこともなければ、見たこともないのですから」
すると直情径行なガーズが、血相を変えて何事かを叫ぼうとした。
だがその瞬間、ダスティが素早くガーズの鳩尾に強烈な肘を入れた。
呻きながらうずくまるガーズ。
その耳元に、冷徹なラーグルが何事かを囁いた。
ガーズは肘が入った鳩尾を押さえながらラーグルの言葉に耳を傾け、最後にこくりとうなずいた。
どうやら話はついたらしい。
ダスティは、ベノンの分まで罪をかぶるつもりのようだ。
でもそれは潔いとかそういうことじゃない。
打算の結果だ。
ダスティはベノンにまで累を及ぼすと、自分たちを救い出す者がいなくなると思ったんだ。
こいつらの罪は現状殺人未遂に過ぎない。
投獄は免れないとしても、死刑はない。
ならばいずれベノン子爵が手を回して自分たちを牢から出してくれる。
もしそうでないならベノンとの繋がりをしゃべる。
そう判断したんだ。
それで乗り切るつもりだ。
ベノンも同じ考えだろう。
言葉も交わさずによくもまあ話がまとまるもんだ。
事前に打ち合わせなんて出来なかっただろうし、この短い時間で双方共に思い至ったんだろう。
まったくもって実に嫌な奴らだ。
悪党ってのは、考えることは同じなのかね。
俺がそんなことをつらつらと考えていると、壇上の国王陛下が俺に向かって言ったのだった。
「ジーク=テスターよ。ベノンがこの者たちと繋がる証拠はあるか?」
証拠……証拠ね。
確かにこいつらとベノンの繋がりを証明する何かがなければ、ベノンの罪は問えない。
先程のやり取りで、こいつらは互いに面識はないと言い張るだろうことは確実だからな。
だから証拠は必要だ。
俺はにこりと微笑むと、すっと後ろを振り返った。
「ドーラ!」
俺が叫ぶように名前を呼ぶと、ナイスバディーな妙齢の女性が歩み出た。
「ここにいるよ!」
ドーラと呼ばれた女性はその右手に太い麻縄を掴んでおり、その縄の先にはみすぼらしい小男が縛り上げられていた。
「陛下にご説明を」
俺がそう言うと、ドーラがさらに一歩前へと進み出た。
「陛下、お初にお目にかかります。わたくしは冒険者ギルドに務めますドーラと申す者にございます。ご説明申し上げてもよろしいでしょうか」
国王は大きくうなずいた。
「うむ。苦しゅうない、申せ」
「有り難き幸せ」
ドーラは恭しく礼をすると、右手に持った縄を力強く引いた。
「この者はアンガスと言いまして、ジークがわたしのいるギルドにドラゴンスレイヤーになりたいという相談をしに来た際、わたしたちの会話を盗み聞きした者にございます」
「ほう……盗み聞きとな」
「はい。そしてこやつはそこにいるダスティたちを雇い入れ、ジークの謀殺を計ろうとしたのです」
貴族たちがざわめく。
国王も眉根を寄せる。
「では、その者が直接の依頼者だというわけか?」
「その通りでございます。そして……」
ドーラはそこで一旦言葉を句切ると、ベノンをきつく睨みつけた。
「このアンガスは、ベノン子爵の小間使いなのです!」
貴族たちのざわめきが大きくなった。
ドーラは手に持った縄を強く引くと、アンガスが悲鳴を上げた。
「そうだな?アンガス!」
ドーラが言うと、アンガスが悲鳴混じりに叫んだ。
「は、はい!その通りです!」
その瞬間、大聖堂内にひしめく貴族たちのざわめきは、最高潮に達したのだった。
すると直情径行なガーズが、血相を変えて何事かを叫ぼうとした。
だがその瞬間、ダスティが素早くガーズの鳩尾に強烈な肘を入れた。
呻きながらうずくまるガーズ。
その耳元に、冷徹なラーグルが何事かを囁いた。
ガーズは肘が入った鳩尾を押さえながらラーグルの言葉に耳を傾け、最後にこくりとうなずいた。
どうやら話はついたらしい。
ダスティは、ベノンの分まで罪をかぶるつもりのようだ。
でもそれは潔いとかそういうことじゃない。
打算の結果だ。
ダスティはベノンにまで累を及ぼすと、自分たちを救い出す者がいなくなると思ったんだ。
こいつらの罪は現状殺人未遂に過ぎない。
投獄は免れないとしても、死刑はない。
ならばいずれベノン子爵が手を回して自分たちを牢から出してくれる。
もしそうでないならベノンとの繋がりをしゃべる。
そう判断したんだ。
それで乗り切るつもりだ。
ベノンも同じ考えだろう。
言葉も交わさずによくもまあ話がまとまるもんだ。
事前に打ち合わせなんて出来なかっただろうし、この短い時間で双方共に思い至ったんだろう。
まったくもって実に嫌な奴らだ。
悪党ってのは、考えることは同じなのかね。
俺がそんなことをつらつらと考えていると、壇上の国王陛下が俺に向かって言ったのだった。
「ジーク=テスターよ。ベノンがこの者たちと繋がる証拠はあるか?」
証拠……証拠ね。
確かにこいつらとベノンの繋がりを証明する何かがなければ、ベノンの罪は問えない。
先程のやり取りで、こいつらは互いに面識はないと言い張るだろうことは確実だからな。
だから証拠は必要だ。
俺はにこりと微笑むと、すっと後ろを振り返った。
「ドーラ!」
俺が叫ぶように名前を呼ぶと、ナイスバディーな妙齢の女性が歩み出た。
「ここにいるよ!」
ドーラと呼ばれた女性はその右手に太い麻縄を掴んでおり、その縄の先にはみすぼらしい小男が縛り上げられていた。
「陛下にご説明を」
俺がそう言うと、ドーラがさらに一歩前へと進み出た。
「陛下、お初にお目にかかります。わたくしは冒険者ギルドに務めますドーラと申す者にございます。ご説明申し上げてもよろしいでしょうか」
国王は大きくうなずいた。
「うむ。苦しゅうない、申せ」
「有り難き幸せ」
ドーラは恭しく礼をすると、右手に持った縄を力強く引いた。
「この者はアンガスと言いまして、ジークがわたしのいるギルドにドラゴンスレイヤーになりたいという相談をしに来た際、わたしたちの会話を盗み聞きした者にございます」
「ほう……盗み聞きとな」
「はい。そしてこやつはそこにいるダスティたちを雇い入れ、ジークの謀殺を計ろうとしたのです」
貴族たちがざわめく。
国王も眉根を寄せる。
「では、その者が直接の依頼者だというわけか?」
「その通りでございます。そして……」
ドーラはそこで一旦言葉を句切ると、ベノンをきつく睨みつけた。
「このアンガスは、ベノン子爵の小間使いなのです!」
貴族たちのざわめきが大きくなった。
ドーラは手に持った縄を強く引くと、アンガスが悲鳴を上げた。
「そうだな?アンガス!」
ドーラが言うと、アンガスが悲鳴混じりに叫んだ。
「は、はい!その通りです!」
その瞬間、大聖堂内にひしめく貴族たちのざわめきは、最高潮に達したのだった。
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